福祉用具の利用ルールの解説【PR】

前回、介護保険制度でレンタルできる福祉用具、購入することができる福祉用具について大まかに紹介しました。しかし、借りたい・買いたいからと言って、誰もがこの福祉用具サービスを使用することができるわけではありません。
ご本人の状態によっては、サービスを利用できない場合もあります。
今回は「どのような方であれば介護保険制度を使って、福祉用具貸与サービスを利用することができるのか」をテーマにご紹介させていただきます。

利用可能なサービスは介護度によって決まる

福祉用具のサービスを利用する基準は、ご本人の介護度によって決められています。一般的に要介護度が高くなるほど、介助者による介護が必要とされています。
そのため、要介護度が低い方と高い方とでは、借りることができる福祉用具が異なります。
以前は、要介護認定を受けていれば、誰でもどの福祉用具でも借りることができました。しかし、2006年の介護保険法の改正によって、軽度者(要支援1、2と要介護1)の方に対する福祉用具貸与の制限ができています。
要介護度ごとに借りることができるアイテムを簡単にまとめると、以下の表のようになります。

● 福祉用具レンタルの対象種目

品名 要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
車いす・付属品車いす・付属品
車いす・付属品の選び方など
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× × ×
特殊寝台・付属品特殊寝台・付属品
特殊寝台・付属品の選び方など
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× × ×
床ずれ防止用具床ずれ防止用具
床ずれ防止用具の選び方など
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× × ×
体位変換器貸与体位変換器貸与 × × ×
手すり手すり
手すりの選び方など
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スロープスロープ
歩行器歩行器
歩行器の選び方など
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歩行補助杖歩行補助杖
歩行補助杖の選び方など
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認知症老人徘徊感知機器認知症老人徘徊感知機器
認知症老人徘徊感知機器の選び方など
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× × ×
移動用リフト移動用リフト × × ×
自動排泄処理装置自動排泄処理装置
自動排泄処理装置の内、便吸引機能を有するもの自動排泄処理装置の内、
便吸引機能を有するもの
× × × × ×
車いす・付属品車いす・付属品
要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
× × ×
× × ×
特殊寝台・付属品特殊寝台・付属品
要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
× × ×
× × ×
床ずれ防止用具床ずれ防止用具
要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
× × ×
体位変換器貸与具体位変換器貸与具
要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
× × ×
手すり手すり
要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
スロープスロープ
要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
歩行器歩行器
要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
歩行補助杖歩行補助杖
要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
認知症老人徘徊感知機器認知症老人徘徊感知機器
要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
× × ×
移動用リフト移動用リフト
要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
× × ×
自動排泄処理装置自動排泄処理装置
要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
自動排泄処理装置の内便吸引機能を有するもの自動排泄処理装置の内、
便吸引機能を有するもの
要支援 要支援 要介護 要介護 要介護 要介護 要介護
× × × × ×

ただし、ご本人の身体状況によっては、要介護度により対象外とされている福祉用具でも、例外給付により申請によって借りることができる場合もあります。例外給付の条件は、下記の通りです。

福祉用具についての詳しい解説はこちら

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要支援1・2、要介護1の方の福祉用具貸与の例外給付条件

車いす・車いす付属品
車いす・車いす付属品
車いす・付属品の選び方など
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次のいずれかに該当する者
  • 日常的に歩行が困難な者
  • 日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者
特殊寝台・特殊寝台付属品
特殊寝台・特殊寝台付属品
特殊寝台・特殊寝台付属品の選び方など
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次のいずれかに該当する者
  • 日常的に起きあがりが困難な者
  • 日常的に寝返りが困難な者
床ずれ防止用具・体位変換器
床ずれ防止用具・体位変換器
床ずれ防止用具・体位変換器の選び方など
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  • 日常的に寝返りが困難な者
認知症老人徘徊感知機器
認知症老人徘徊感知機器
認知症老人徘徊感知機器の選び方など
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次のいずれかに該当する者
  • 意思の伝達、介護者への反応、記憶・理解のいずれかに支障がある者
  • 移動において全介助を必要としない者
移動用リフト
(つり具の部分は除く)
移動用リフト(つり具の部分は除く)
次のいずれかに該当する者
  • 日常的に立ち上がりが困難な者
  • 移乗が一部介助又は全介助を必要とする者
  • 生活環境において段差の解消が必要と認められる者
車いす・車いす付属品

車いす・車いす付属品

次のいずれかに該当する者
  • 日常的に歩行が困難な者
  • 日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者
特殊寝台・特殊寝台付属品

特殊寝台・特殊寝台付属品

次のいずれかに該当する者
  • 日常的に起きあがりが困難な者
  • 日常的に寝返りが困難な者
床ずれ防止用具・体位変換器
床ずれ防止用具・体位変換器
  • 日常的に寝返りが困難な者
認知症老人徘徊感知機器
認知症老人徘徊感知機器
次のいずれかに該当する者
  • 意思の伝達、介護者への反応、記憶・理解のいずれかに支障がある者
  • 移動において全介助を必要としない者
移動用リフト
(つり具の部分は除く)
次のいずれかに該当する者
  • 日常的に立ち上がりが困難な者
  • 移乗が一部介助又は全介助を必要とする者
  • 生活環境において段差の解消が必要と認められる者

※全ての条件に当てはまらなければいけない場合とどれかに当てはまればよい場合があります。

福祉用具の詳しい解説はこちら

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また、その他にも、医師の「医学的な所見」によって、国の示した状態像であると判断された場合は、例外給付の対象と見なされます。
医師からの主治医意見書、またはケアマネジャー等などからの依頼により「医学的な所見」を述べていただいた場合、福祉用具の貸与が認められる場合もあります。

● 福祉用具貸与の例外給付の対象とすべき状態像

  該当項目
疾病その他の原因により、状態が変動しやすく、日によって又は時間帯によって頻繁に表に示す状態像に該当する者 パーキンソン病の治療薬によるON・OFF 現象
疾病その他の原因により、状態が急速に悪化し、短期間のうちに表に示す状態像に至ると確実に見込まれる者 がん末期の急速な状態悪化
疾病その他の原因により、身体への重大な危険性又は症状の重篤化の回避等医学的判断から表に示す状態像に該当すると判断できる者 ぜんそく発作等による呼吸不全、心疾患による心不全、嚥下障害による誤嚥性肺炎の回避

条件に該当すれば必ず借りることができるということではありません。
ご自身で判断をせず、「もしかしたら自分が該当するかも」と思われる方は、まずは担当のケアマネジャーにご相談ください。

福祉用具の詳しい解説はこちら 

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福祉用具を利用するにあたり注意したいケース

利用する場所が施設の場合

使用する場所(入居施設)によっても使用できない場合がありますので注意して下さい。
例えば、グループホームや介護付き有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護)に入居されている方は、福祉用具貸与のサービスを使うことができません。
※介護付き有料老人ホームには、一般型特定施設と外部サービス利用型特定施設の2種類があります。外部サービス利用型特定施設では、施設の担当者が作成した計画に基づいて外部の介護サービスを利用するため、福祉用具貸与の利用が可能です。また、施設の方針で部屋に備品の準備が備わっているということもあるので、福祉用具レンタルを検討される方は、入居先への確認をして下さい。

同じ品目のアイテムをレンタルする場合

また、同じ品目のアイテムを2つ借りるためにも、適切な理由が必要です。
明らかに2つは不必要と思われるアイテム(例えば、電動ベッド)はレンタルすることができません。
ただし、適切な理由がある場合は、認められるケースもあります。
例えば、車いすでの移動を行わなければいけない方が、屋内用と屋外用で使い分けたい場合には、2台借りることができます。
何かの理由があって、同じ品目のアイテムを2つ借りたい場合は、ケアマネジャーやお住まいの地域にある介護保険の窓口に相談してみてください。

付属品のみレンタルするケース

その他によくある質問として、「付属品だけ借りることができるか」ということがあります。
この場合は、要介護度が2以上(または、要介護度が低いが必要な理由が認められる場合)で、かつご自身で車いすや特殊寝台を持っている場合に借りることが可能です。
基本的には、付属品はそれぞれの品目と一緒に使用することが条件となっており、本来の用途と違った利用目的で借りることはできません。
よくある例としては、「リビングなどで椅子に座るとお尻が痛いから、車いすのクッションを借りたい」というケースがありますが、この場合は借りることができません。車いすのクッションは車いすと一緒に使用しなければいけません。
介護保険を利用する要介護度や身体状況、周囲の住環境によって、借りることができたりできなかったりと、利用できるサービスの内容が変わってきます。
福祉用具のサービスを使用したいと思ったときは、まずは担当のケアマネジャーやお近くの福祉用具貸与事業所に相談をしてみるのがいいでしょう。自分のケアマネジャーが分からない、担当がいない際にはお住いの地域包括支援センターへお問合せ下さい。

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今回のポイント

  • ● 基本的には、要介護度によって借りることができない品目があります
  • ● ただし、介護度が低くても例外的に借りることができる場合があります
  • ● お住まいの場所によって、借りることができない場合があります
  • ● 同じ品目を2つ借りる場合には、借りるための理由が必要です
  • ● 分からないことは、福祉用具の専門家やケアマネジャーに遠慮なく聞きましょう

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監修者:山岸駿介
監修者:山岸駿介

理学療法士。臨床経験は7年。
急性期から慢性期、スポーツ分野など幅広い分野を経験。医療・介護・スポーツなど幅広い分野のリハビリに携わり、老若男女に正しい運動で、健康的な生活を送るサポートしている。
>>ホームページ
>>監修者一覧

福祉用具のラインナップ

  • 歩行補助杖

    心身ともに積極性が生まれ、歩く機能の維持につながります。

  • 認知症徘徊感知機器

    徘徊の最初の兆候をとらえ、事前に防ぐことができます。

  • 床ずれ防止用具

    床ずれはご利用者さまにとってとてもつらいもの。防止用具で予防しましょう。

  • 歩行器・歩行車

    歩行訓練や室内での歩みをサポートします。

  • 入浴補助用具

    安心してお風呂を楽しむために。

  • 車いす

    移動するだけでなく、正しい姿勢を保って座れる「いす」の役割も。

  • ポータブルトイレ

    ご高齢者の体にやさしい機能が付いたものもあります。

  • 居室用の手すり

    立ったときの姿勢がふらついて安定しないとき、大きな助けとなります。

  • 特殊寝台

    ご利用者さまの自立のお手伝いをし、ご家族の負担も軽くしてくれます。