高齢者を狙う詐欺が多発しています。自分の身内もいつか詐欺にひっかかってしまうのではと考えると、家族としては気が気でないですよね。 高齢者を詐欺から守るにはどうしたらいいのでしょうか。高齢者を狙う詐欺の最新手口や、対策、詐欺にあってしまったときの対応の仕方についてご説明します。
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高齢者を狙う詐欺──従来の手口
高齢者は詐欺のメインターゲットです。令和元年上半期を例に挙げると、特殊詐欺被害の認知件数6,600件のうち、65歳以外の高齢者の被害が占める割合は82.2%でした。
従来の詐欺の手口のうちで代表的なものには、オレオレ詐欺や架空請求詐欺、還付金詐欺があります。これらは古くから存在するので、情報番組などを見て知っているという人も多いのではないでしょうか。
- オレオレ詐欺
- オレオレ詐欺とは、別名「振り込め詐欺」とも言って、詐欺師が息子や孫などになりすまして電話をかけ、お金をだまし取る詐欺のことです。
- 犯人は「交通事故を起こしてしまってすぐに〇〇万円必要だ」「会社のお金を使い込んだのがバレてしまった」などと語って、大金を振り込ませたり、キャッシュカードやクレジットカードを手渡しさせたりします。
- 架空請求詐欺
- 実際には支払う必要のない代金や手数料などを請求する文書やメールを送り、支払う義務があるように思い込ませてお金をだまし取る詐欺のことを、架空請求詐欺といいます。
- だまし文句は「〇〇が未納のため今すぐ入金してください」「老人ホームに優先入居する権利が手に入ります」をはじめ多様で、犯人は時に役所や警察などの名を語って、巧みに信じさせようとします。
- 還付金詐欺
- 還付金詐欺では、公的機関などの職員を名乗って電話をかけてきた犯人が、医療費や年金の還付金があると嘘をつきます。
- ATMで還付金が受け取れると説明して、電話をつなげたままATMまで誘導し、操作方法を指示してお金を送金させます。
高齢者を狙う詐欺の最新手口
詐欺は絶えず進化し、次々と新しい詐欺が生み出されています。平成から令和に変わる際には、改元に伴う詐欺が多発するなど、時代状況に合わせて形を変えています。
最新の詐欺にどんな特徴があるかを知っておくことは有効な詐欺対策です。ですので、ここでは、詐欺の最新手口についてご紹介します。
現金を郵送させる「送付型詐欺」が増加
従来の詐欺はお金を振り込ませる「振込型」や、自宅などに直接犯人がやってくる「受取型(手交型)」が主流でしたが、近年、現金を郵送で送らせる「送付型詐欺」が増えています。
警視庁は「『宅配便等で現金送れ』はすべて詐欺」と思うようにと警告しています。(参照)宅配便のほか、レターパックや現金書留などの場合もあります。
キャッシュカードをだまし取る詐欺
キャッシュカードをだまし取る詐欺が増加しています。
「口座が詐欺事件に使われているためすぐにキャッシュカードを提出してください」などの嘘を語り、キャッシュカードを盗んでいきます。犯人が身分を偽って家にまでやってきて、キャッシュカードを受け取り、暗証番号を聞いて去っていきます。
キャッシュカードを一度封筒を入れさせ、その封筒をダミーのキャッシュカードの入った封筒とすり替えて、カードを奪うことも。キャッシュカードを一瞬でも相手に渡さないよう気をつけてください。
キャッシュカードではなく、クレジットカードを奪おうとすることもあります。
時事ネタに関する詐欺
改元やオリンピック、自然災害など、時事ネタを持ち出して騙そうとする詐欺師が多くいます。
例えばオリンピックの詐欺については「オリンピックの入場券が当たりました」と言って代金を振り込ませようとしたり、自然災害に関しては慈善団体の名を語って寄付金を募り、そのお金を自分の懐に入れたり、寄付金の支払いと偽り登録させたクレジットカードの情報を盗みとったりするケースがありました。
ネット詐欺
スマートフォンを持つ高齢者の増加に伴い、インターネットを使った詐欺にだまされる高齢者が増えてきています。
アダルトサイト閲覧中に架空請求画面が表示され、支払う必要のない代金を請求されたり、Amazon、楽天、銀行など有名な名前を語ってメールを送りつけ、口座番号やクレジットカード番号、個人情報などを盗みとられたりします。
実際の高齢者の詐欺事例
実際に高齢者にどんな詐欺が起こっているのか、その事例が見られるホームページをチェックして情報収集しましょう。
詐欺事例が見られるホームページの例
犯行グループからの実際の電話音声(警察庁) |
犯行グループがかけてきた詐欺電話の実際の音声ファイルが公開されています。 |
特殊詐欺手口の実例(警察庁) |
さまざまな詐欺の特徴とその事例がまとめられています。 |
消費者センターへの相談事例(独立行政法人 国民生活センター) |
詐欺に関する相談をはじめ、消費者センターに寄せられた相談事例が特集されています。 |
【動画】サイバー空間の脅威と対策(政府インターネットテレビ) |
ネット上のトラブル事例やその対策が動画で説明されています。 |
詐欺の手口は刻々と進化していますので、巧妙な手口にだまされないためにも定期的な情報収集をおすすめします。
高齢者向けの詐欺対策とは
詐欺対策グッズを利用する
詐欺の被害が相次ぐ昨今、高齢者を詐欺から守る詐欺対策グッズが生み出されています。
代表的なものとしては詐欺対策機能がついた電話機が挙げられます。この機能がある電話では、電話をかけてきた相手に対して「この通話を録音します」というアナウンスが流れます。詐欺師たちは自分の声や会話を録音されるのを嫌がる傾向があるため、詐欺防止につながります。
詐欺対策機能がついた電話機のほか、普通の電話機に後付けできるタイプの機器が販売されているため、今持っている電話機に詐欺対策機能をつけることもできますよ。
詐欺への注意喚起ステッカー
詐欺に注意するように警告するステッカーも販売されています。詐欺電話への対処法が書かれたステッカーもあり、電話の近くの目立つ場所に貼っておくと、怪しい電話がかかってきたときに冷静に対処できます。
ステッカーと詐欺対策機能つきの電話を組み合わせるとより心強いです。ステッカーは通販などで購入できますし、入手が難しい場合には手作りするのもいいですね。
家族間で普段からコンタクトをとる
また、高齢者と家族が普段からこまめにコンタクトをとることは効果的な詐欺対策になります。
高齢者と離れて暮らしている場合も、日常的に電話などでコミュニケーションをとり、相談できる関係を作っておくことで、詐欺師からの電話がかかってきたとしても、お金をだまし取られる前に防げる可能性が高くなります。
家族の声色や話し方に慣れていたり、近況を知っていたために、オレオレ詐欺を見破ったというケースは多いようです(ただし、犯人が「風邪で声が変になっている」など様子が違う説明をしてくる場合もあるので要注意です)。
また、地域包括新センターや町内会でも積極的に詐欺対策は取組んでいます。 特に、地域包括センターは警察との連携もあり、〇月〇日に詐欺未遂があったという情報が発信されています。そのような情報にも耳を傾けておくことも大切です。 町内会の場合だと、回覧板でも情報が回っていきますので、情報に耳を傾けましょう。
高齢者本人が情報収集が難しい場合は、子や孫が詐欺の最新情報をチェックし、高齢者に注意喚起することも大切です。
高齢者が詐欺被害にあった場合は
詐欺被害にあった場合にはすぐに警察に連絡しましょう。犯人の口座にお金を振り込む「振込型」の詐欺にだまされた場合は、振込先の金融機関ともコンタクトをとります。
すぐに警察に相談を(♯9110)
詐欺にあったと感じたら、すぐに警察に相談しましょう。
最寄りの交番や警察署に足を運ぶという方法もありますが、すぐに向かえない場合は警察相談専用電話「♯9110」にて電話相談ができます。
「♯9110」に電話をかけるとお住まいの地域を管轄している警察本部の相談窓口に接続されます。
振込先の金融機関に口座の凍結を求める
犯人の口座にお金を振り込んだ場合には、振込先の金融機関に連絡すると「振り込め詐欺救済法」に基づき口座の凍結を求めることができます。犯人がまだお金を引き出していなければ、だまし取られたお金が返ってくる可能性があります。
まとめ
詐欺グループはあの手この手で高齢者を騙そうとします。
まさか自分や自分の家族には起こらないだろうと思われるかもしれませんが、実際に詐欺にあった人の多くが「自分が詐欺にあうなんて思っていなかった」と語っています。
そのため、どんな人であっても詐欺のターゲットになったときにだまされないよう、事前に備えておくことが不可欠です。
対策方法としては、最新情報のチェックや詐欺対策グッズの利用、家族間のコミュニケーションを密にとることなどが挙げられます。
高齢者は詐欺の格好のターゲットとなっており、財産や身の安全を守るために1日でも早く詐欺対策するに越したことはありません。もしこの記事が参考になった場合には、シェアをして周囲に拡散をお願いします。
※この記事は2019年9月時点の情報で作成しています。
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2001年、介護福祉士養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得し特別養護老人ホームにて介護職員として勤務する。
その後、介護支援専門員や社会福祉士も取得し、介護以外でも高齢者支援に携わる。現在はソーシャルワーカーとして、
特別養護老人ホームで勤務しており、高齢者虐待や身体拘束、成年後見制度などの権利擁護について力を入れて取り組んでいる。