思うように体が動かせなくなるパーキンソン病は、ゆっくりと進行していく病気です。 発症してからのリハビリや心がけで、進行を遅くすることや症状の改善も期待できます。
ではどんなリハビリや心がけをしたらいいのでしょうか?
日常生活でのリハビリ
体が動きにくくなってしまうと、外出や家事を避けたくなりますが、日常生活の動作はすべてリハビリになります。
ボタンを留めにくそうにしていたり、立ち上がるのに苦労しているのを見ると、手を貸したくなりますが、身の回りのことはすべて自分で行ってもらいましょう。
また、仕事もそのまま続けるほか、今まで任せたことのない家事に挑戦してもらうのもいいかもしれません。
体操や有酸素運動を
運動の継続がパーキンソン病の進行予防に効果的なことはよく知られています。
体を柔らかくして、バランスを保つためにはラジオ体操、太極拳、ヨガが効果的だそうです。
また1日30分程度、早歩きで散歩をしてみるのも良いそうです。 もし、すくみ足などが起こり、歩くのが大変な場合には、1・2・1・2と声をかけるなどの「聴覚的刺激」や、等間隔に並んだ線をまたぎながら歩いてもらう「視覚的刺激」を与えながらリハビリを行いましょう。 >>参考記事:「すくみ足」ってなに?すくみ足の原因と対策
パーツごとのリハビリ
全身を動かす体操や有酸素運動のほか、各パーツに起こる症状を理解し、進行予防をしておきたいですね。
【下半身の運動】 関節を動かし、筋肉を鍛えて、足の動きが悪くなるのを防ぎましょう。
【上半身の運動】 指先を動かして、関節が固くなるのを防ぎましょう。 また、背筋を伸ばして、前かがみの姿勢になるのを防ぎましょう。
【顔の筋肉の運動】 表情を作る筋肉を動かして、表情が乏しくなるのを防ぎましょう。
【嚥下(えんげ)訓練】 舌、咽頭部、口の周りの筋肉を動かして、嚥下障害を防ぎましょう。
リハビリは「機能訓練強化型デイサービス」、「デイケア(理学療法士や作業療法士がいるデイサービス)」、「訪問リハビリ」、「外来リハビリテーション科」などで受けられます。 一度、ケアマネジャーさんに相談をしてみてください。
愛情、希望、励ましを与える
パーキンソン病は神経伝達物質であるドーパミンが足りずに起こる病気です。 ですので、ドーパミンを出すことで症状の改善が期待できます。
ドーパミンはこんなときに分泌されます。 ・褒められたとき ・好きなことをしているとき ・楽しいことを計画しているとき ・トキメいているとき
例えばリハビリで小さな目標を設定してクリアするたびに褒めたり、趣味を作って楽しんだり、旅行などの計画を立てたり、恋をしているときにドーパミンは出ているんですね。
長年薬を飲み続けて効果が薄くなってしまった人に、「脳の手術をします」と話をするだけで、希望が生まれて症状がよくなることがあるそうです。
パーキンソン病も長い付き合いになる病気です。患者さん本人にもご家族の方にも無理のない範囲で、リハビリや進行予防を日常生活に取り入れられるといいですね。