長く歩けない、しびれ、残尿感―原因は“すべり症”かも?

imasia_3029952_S

もし介護をしているご家族の方が「長く歩けなくなってきた」と感じたら、体力がなくなったからだけではないかもしれません。 もしこんなことに心当たりがあれば、“すべり症”の可能性があります。

・歩き出してしばらくすると、足のしびれや痛みが強くなる

・前かがみになったり、座って少し休むと楽になる

・歩ける距離が日によって違う

・慢性的な腰痛もしくは太ももやお尻の痛みがある

・排尿排便に困難がある

すべり症とは?

すべり症とは高齢者に多い腰の疾患です。

腰には、5つの骨からなっている【腰椎(ようつい)】があります。5つの骨はそれぞれ【椎体】といい、腰には5つの椎体が並んでおり、その5つを腰椎といいます。 また、それぞれの椎体の間には椎間板(ついかんばん)という軟骨などが存在し、クッションの役割をしています。すべり症は腰椎の並びがずれて起こる症状です。

スポーツ選手などに多い「分離すべり症」は、椎体の一部分が分離・骨折してずれることで起こります。骨折・分離後にすぐに症状が出現することもありますが、すぐに椎体がすべる(ずれる)とは限らず、高齢になってから“すべり”が出現して症状が出現することもあります。

一方、高齢者の方に多い「変性すべり症」は、椎間板の老化により椎体が前方に押し出されるようにずれてくるのが原因です。

すべり症の診断

病院では、レントゲンなどで患部を確認して診断します。たまたま撮ったレントゲンで、すべり症が判明することも多いようです。 しかし分離・すべりが実際にあっても症状が出るとは限らないため、なかなか判断しにくい病気です。レントゲン画像と症状による判断が難しい場合はCTやMRIなどの検査を必要とすることもあります。

すべり症の悪化予防

自身ですべり症の悪化を予防する方法は、残念ながらありません。 ただし、すべり症の症状を軽くすると言われている方法にはこんなものがあります。

・腰をさすったり十分な睡眠をとったりして、筋肉を緩める

・冷やさない

・栄養のある食事や有酸素運動で血流を良くする

・疲れを溜め込まない

トイレですっきりしないのもすべり症が原因?

もし高齢者の方が残尿感や尿漏れ、排尿に時間がかかるなど、排尿時の違和感を訴えていたり、便秘や性器から肛門周辺のしびれ、また尿や便の失禁などの症状があるのなら、それは「すべり症」のせいかもしれません。

もし、「トイレですっきりできない」という症状のほかに、「歩いているときにトイレに行きたくなることが多い」や歩行時の足のしびれなどもあるのなら、すべり症によって神経が圧迫されているのが原因かもしれません。

病院での治療は?

すべり症の症状が軽かったり腰痛が主な症状であればリハビリなどの治療で症状の改善が望めることがあります。

しかし、リハビリなどの治療で効果が得られず、排尿・排便困難や歩行困難など、著しく日常生活に支障をきたす場合には手術の適応となることもあります。

すべり症による脚力の低下は防げる?

先日、すべり症と診断されたお母様を持つ方からこんな質問が投稿されました。

《現状》 今回は、初期認知症の母ですが、12月に手首を骨折し今は良くなりましたが、最近左脚がすり足で上がりにくく、ふくらはぎのむくみがあり、病院に症状を伝え腰の影響も考えられるのでレントゲンを撮ったところすべり症が判明し、神経系の影響もあるとの事でした。 リハビリもやっと週2回(まだ3回)行くようになりましたが、極端に左脚の筋力が弱いようです。 家では、畳に座る事が出来てましたが、立ち上がりがきついようで、まるで産まれたての子羊が立ち上がっているようです。 《悩み・相談》 ・対策としてリハビリを続けながら家で筋力をつける為に、左脚上げを気づいた時にやってますがこのまま続けて少しは回復するものなのでしょうか? むくみ解消の為にジェル使用しマッサージや、空気圧での簡単マッサージ機を購入し日に2〜3回やってます。 ・また、近い将来は布団での寝起きが厳しい事が予想出来るのでベットに今から変えた方がいいのか迷っています。 ・外出は毎日は疲れるのでは?と言うアドバイスを元に、1日おきとか母の状況見て外出してます。 ・一人での外出が心配ですか、あまり気にし過ぎるのも良くないですか。 引用元 介護のQ&A 「すべり症の影響で、急激な脚力の低下」

専門家の方の意見をまとめます。

《リハビリ・脚力強化について》

・専門家や主治医に相談してから開始する

・施設で行っているリハビリの中で、家でできるものを聞く

・訪問リハビリを利用する

・目的や目標を設置。趣味を取り入れるなどして苦痛を無くす。

《むくみについて》

・医師に相談する

・むくみ対策の弾性ストッキングなどを利用する

《生活について》

・イスでの生活に変更する

・手すりや寝起きの立ち上がりを助ける福祉用具を利用する →生活内での立ち上がり動作もリハビリになるため

・家族で担当者会議をする

・本人の思いをケアマネジャーなどの第三者に聞いてもらいながら、本人が安心できる環境をつくる

また、被介護者の方だけではなく、介護をしている方も「無理なく行うようにしてください」とのアドバイスもありました。