【介護漫画】認知症の方に入浴してもらうには?強要せずに引くことも大事

お年寄りの方の中には、お風呂を嫌う方がいます。 お風呂に入らないと匂いがしてしまったり、 何かの病気になってしまうのではないかと心配になったりしますよね。

「無理やり入れるわけにはいかないし……」と悩まれている方は、 こちらの投稿を参考にいてみてはいかがでしょうか?

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認知症の方やお年寄りがお風呂を嫌う理由

どうして年をとるとお風呂嫌いになってしまうのでしょうか? その理由には、こんなものがあげられます。

お風呂に入る理由がわからない

認知症による記憶力や判断力の低下、見識障害などが原因で、 「お風呂に入る=清潔になる」ということが 理解できなくなっているのかもしれません。 この場合には、漫画のように機嫌のいい時に声をかけると あっけなく入浴をしてくれることがあります。

お風呂にちゃんと入れるか不安

何を使ってどう体を洗うのかなど、“お風呂の手順”が わからなくなってしまい、お風呂が不安になっていることがあります。 入浴中に外から声をかけてあげるだけで、安心してもらえますよ。

お風呂上りが不快

もしかしたらお風呂自体を嫌っているのではなく、 お風呂上りに体が乾燥してかゆくなることや 髪を乾かしきらずに風邪をひいてしまうのが嫌なのかもしれません。 どうして嫌なのかを探ってみましょう。

裸を見られたくない

ヘルパーさんや家族に裸を見られるのが恥ずかしいのかもしれません。 外から声をかけてあげながら一人で入浴をしてもらうのが一番ですが、 無理な場合には、裸になる恥ずかしさや不安がなくなるように、 根気強く笑顔で優しく話しかけながら入浴介助を行いましょう。

妄想のため

レビー小体型認知症の方の場合、 「お風呂に入ると病気になる」などの妄想のため、 お風呂を嫌う方がいます。 この場合は妄想のようなことにならないと説明をしてみてください。 もし妄想が治まらない場合には、医師に相談をしてみましょう。 必要に応じて妄想を抑える薬を出してもらえます。

介護施設での入浴は週2、3回

施設での入浴回数はだいたい週2、3回です。

少ないように思えますが、なぜこの回数なのかというと、 “職員の人手不足”が主な理由です。 お風呂の介助よりもフロアの安全管理や 他のアクティビティに時間を費やす方が 入居者の方のQOL(人生の質)向上に良いと考えられています。

施設の中には、ひとりで入浴できる方や 家族が入浴の介助をする場合には回数制限がないところもあります。

他にも毎日お風呂に入らなくてもいい理由には、 ・お年寄りが疲れるから ・お年寄りのストレスになるから ・血圧の急変など体に負担がかかるから ・入浴中の事故防止 などがあげられます。

また、40代よりも上の世代では、 毎日お風呂に入る習慣が子どもの頃にはありませんでした。 そのため、週2、3回の入浴でもすぐに慣れるようです。

安心して入浴してもらうために 介護専門家の意見

入浴拒否や入浴時に暴れて止まらなくなるという要介護者の方について、 「安心して入浴させるにはどうしたらいいか」との質問が投稿されたことがあります。

これに対して介護専門家の方からはこんな意見が投稿されています。

午前中には少し落ち着いてらっしゃるとの事ですので、 入浴はしばらく行わず、職員とのコミュニケーションの時間や軽介助、 付添などの支援を通して、関係を構築していく。 その中で、「気の合う」職員さんが出てくるのではないかと思います。 関係性が一定程度構築された際には、 本人の落ち着いている時間を把握し、その時間の声かけを行う。 もちろん、気持ちを開いて下さる職員さんに限ります。 この職員さんの範囲は、少しずつ広がりを見せていくものと想定されます。 無理強いしても、「あそこは嫌なところ」「行きたくない」 という気持ちばかりが強くなってきます。 時間をかけて、計画をたて、プロセスをみる。という事がよいと思います。 (保有資格:介護支援専門員(ケアマネジャー)の専門家いもさんの回答) 引用元 介護のQ&A 「安心して入浴させるには?」

 

「絶対にお風呂に入れると言う毅然とした態度」で(上から目線ではありませんよ) 向かい合います。 あの手、この手と何度失敗してもあきらめない。 1年ぐらいお風呂に入らなくたって死にませんから・・・ (保有資格:認知症専門介護福祉士、介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)の専門家みなみんさんの回答) 引用元 介護のQ&A 「安心して入浴させるには?」

 

状況を考えると、ご本人に理解を求めるのは難しそうです。 ご本人の立場から考えると ざわざわした環境の中で、自発的に衣類を脱ぐことができなかったら、 スタッフが半強制的に脱がせる・・・ 何とか裸になって頂けても、洗身時は暴れないように押さえつけられ・・・ 洗髪に至っては、洗身よりも苦痛・・・ 何が何だか分からない状態で頭からお湯ですから・・・ 考えるだけでパニックになりそうです。 けれど、ご本人の立場からは理解できても いつもいつも、「拒否されて入浴できませんでした。」 では済まない辛い状況もわかります。 お勤めのデイでは、午後が入浴の時間なのですね。 入浴に割ける時間にも制限があるので大変だとは思いますが 一番最後の、比較的静かな時間帯に試してみられてはどうでしょうか。 以前デイに勤めていた時に、やはり同様の方がおられ 臀部や陰部の保清の為にもどうしても入浴が必要な方で 午後の入浴が始まる少し前の時間や、午前中の最後など試してみました。 午後の入浴少し前は、間もなく他の方が来られ、落ち着いた環境でなくなり 午前中の最後は、昼食の準備などでスタッフがゆっくり関わることができず 結局、他の利用者さんの最後の方が浴室を出られる頃に 脱衣所の外の椅子席に簡易的なカーテンで脱衣所を作って そこでマンツーマンで脱衣。他の方が出られたら脱衣所の中を カーテンで仕切り、そこからお一人だけ浴室に移動して頂きます。 (他の方は、その方が浴室に入られたらカーテンを開けて着衣) その方法で、何とか定期的に入浴可能になった方がおられました。 その方も、意思疎通がとても困難な方で、上背もあり 暴れ出すと手が出せない状況の方でした。 (保有資格:介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士の専門家いとうちゃん6529さんの回答) 引用元 介護のQ&A「安心して入浴させるには?」

 

 ・全身状態を観察して、どこかしら痛み、かゆみなどがないか 確認してください。例えば、長期入浴していないことから 老人性乾燥肌が足の太もも付近にあるとします。足浴がもし成功していれば、 『薬を塗りたい。』ことを説明しズボンを脱いでくれることをお願いし「待ち」ます。 もし、脱ぐことに協力的となったら『綺麗にすることで薬の効果も上がる。』 ことを伝え、まずはぬれたタオルなどで足全体を拭いたり、暖めたりします。 大事なことは、痛みであれば痛み止めのくすりなどを用意し、 焦らないことです、 何より『うそ』『騙す』ことはしてはいけないということです。 本人の体の訴えに対して耳を傾け、その苦しみを和らげるつもりで接し 脱衣につなげていきます。 かゆみだけでなく、お年寄りは腰、肩、関節に痛みを感じている方が多いようです。 同じ要領で上半身へとつなげていきます。 本来のこちらの意思(入浴してほしい)とは遠いものの薬を塗りたいという 「騙す」でも、いい意味での…そして「うそではないうそ」を 上手く使ってみる。 ・入浴を嫌がっている方には、雑でも入らないよりはと考えます、 カラスの行水でもいいではないでしょうか、 今後のことも考えて、嫌なことはできるだけ省き、 こちらの思いと、相手の思いの中間を維持できれば継続につながり 良いのではないかと考えます。 (保有資格:介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士、ヘルパー2級の専門家yamadasさんの回答) 引用元 介護のQ&A 「安心して入浴させるには?」

お風呂の代わりになるものは?

専門家のyamadasさんは、お風呂の代わりとして こんな提案をしてくれています。

 ・足浴を試してみて下さい。足に水虫できないように等 声かけし 爽快感、継続が望めます。洗面器・バケツでも結構ですので、 人肌程度に暖めた湯を入れます。 まずは足元から綺麗にしてみてはどうでしょうか。 続いて、手浴、洗顔となったらなお良いのでは、 ・水のいらないシャンプーを試す 薬局等にてムース状のもので髪にその泡をのせ タオルでふき取るタイプのものがあります。 “お風呂嫌い”になる理由も対策もひとつではありません。 あせらずにその人に合った対処方法を見つけるのが 大切なようです。 引用元 介護のQ&A 「安心して入浴させるには?」
(保有資格:介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護福祉士、ヘルパー2級の専門家yamadasさんの回答)

 

冒頭の漫画は、マージさんよりご応募頂いた介護エピソードを元に作成させて頂いております。漫画として分かりやすくするため内容及び設定を一部改訂させていただいております。また、応募いただいたエピソードから漫画を作成しております都合上、登場人物のキャラ設定などが都度異なることがございますが、ご容赦下さい。この漫画はフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係ありません。