【介護漫画】喫煙者の認知症リスクは2倍 禁煙してもらうには

タバコを吸わない人間にとって、タバコの煙は辛いものです。しかも認知症をもつ高齢者の喫煙は、健康のことや火の不始末も気になり、出来れば止めて欲しいと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

認知症で記憶が失われるのは悲しいことですが、こんなことを忘れてくれるなら、ご家族としては大歓迎かもしれません。

【漫画】喫煙者の認知症リスクは2倍 禁煙してもらうには

喫煙者は認知症リスクが2倍に

2014年の日本老年医学会学術集会で発表された内容に、喫煙者は認知症のリスクが2倍になるとの調査報告がありました。

この調査は九州大学の清原裕教授などの研究グループが、福岡県久山町の高齢者(平均年齢72歳)712人を、15年間調査したものです。期間中に認知症を発症したのは202人おり、非喫煙者に比べて喫煙者の発症リスクは2倍も高かったという結果になりました。

また、過去喫煙をしていて禁煙した人と非喫煙者との間には、リスクに差はなかったそうです。

以前、喫煙がアルツハイマー型認知症を予防するという研究が発表されたことがありましたが、現在では複数の研究結果によって否定されています。九州大学の小原知之助教は、「喫煙は脳の老化や動脈硬化などを引き起こし、それらが認知症になりやすくしているのではないか」と分析しています。

 

禁煙してもらうにはどうしたらいい?専門家の意見

それでは認知症の方にタバコを辞めてもらうにはどうしたらいいでしょうか?安心介護には以前、こんな質問が寄せられていました。

75歳の父がタバコをやめてくれず、困っています。 父は去年、認知症を発症しました。そのため、日常的に「自分が何をしていたか、何をしようとしていたか」を忘れてしまいます。なので、始末を忘れてしまうと火事につながりかねない喫煙を、「やめてほしい」と伝えたのですが、愛煙家である父は機嫌を損ねてしまいました。「タバコを吸うと気分が落ち着く」と本人は言います。確かに、長時間タバコを吸えないと父は少々イライラしてくるのですが、1本吸うことができれば機嫌が良くなります。父が機嫌よく穏やかに過ごしてくれるのは私も嬉しいのですが、やはり「火の不始末で火事になったら…」と思いますし、健康の面を考えてもこれを機会に禁煙した方が良いと思うのです。父を説得するなにか良い方法はないでしょうか? 引用元 介護のQ&A:「認知症の父に禁煙してほしい」

これに対して、専門家からはこんな意見があがりました。

だいたいの我慢が可能な時間がご家族の方はわかってらっしゃるのではないでしょうか?もし、わかるのでしたら、基本的にライターもしくはタバコを介護者側で管理する。もしでしたら、空のタバコの入れ物?を一つ用意し、その中に一本だけ入れてお父さんに渡す。それで吸っている間は大変だと思いますが目を離さない。おそらく吸っている間はお父さんはたばこに注意がいっていると思うので、「ゴミ捨てとくね」とでもいい、そのカラになったたばこの入れ物を回収する。それを繰り返し、可能であれば少しずつでも吸わない時間をのばしていく。年単位かもしれませんし、もしかしたら禁煙が厳しいかもしれません。しかし、たばこを渡さないということでまずは「一人で」たばこを吸わないということはできるのではないのでしょうか?(保有資格:介護支援専門員(ケアマネジャー)の専門家)

 

介護者がいるときは、好きなだけ吸ってもらい、不在の時はたばこを預からせてもらうべきです。(保有資格:介護支援専門員(ケアマネジャー)の専門家)

 

「火事になったら、こわいから」と食後〇本、決められた場所でと決め、徐々に本数を減らしながら、食後ゆっくりおしゃべりをして、ほかに興味をそらして、2ヶ月後に成功された方がいます。健康面から云々と説得しても効果はありません。(保有資格:介護支援専門員(ケアマネジャー)の専門家)

 

まずはかかりつけの先生に、ご家族の思いを相談し協力していただくのはいかがでしょうか。最近はとても親身に患者さんとご家族の為に協力してくださる先生もいらっしゃいます。「○○さん、そろそろ体のためにタバコをやめましょう」などお医者様から言われると深刻に考える方は多いようです。(保有資格:介護支援専門員(ケアマネジャー)の専門家)

まとめると、

介護者がタバコや火の管理をする

タバコを吸うタイミングを決める(そのタイミングになると気をそらせるなどして、本数を減らしていく)

かりつけ医に禁煙を促してもらう

などの方法が良いようです。

また、こんな意見もありました。

説得は無理ですね。人の考えを変えるのはその人が納得されないと困難です。特に認知症がおありの場合には思考の変容は難しいですね。認知症が進行すればおのずと吸う行為を忘れてしまいます。それもさみしいことですが、それまでは、介護者の前で吸ってもらえるようにしたいですね。できるだけ介護者が見守れる、1人でいる時間を少なくできるといいですね。(保有資格:介護支援専門員(ケアマネジャー)の専門家)

認知症患者がタバコを吸う行為を忘れてしまうことは珍しくないようです。それまでは嗜好品として、介護者が目を配りながら、“少しの楽しみ”を味わってもらうのも良いかもしれません。

冒頭の漫画は、まこさんよりご応募頂いた介護エピソードを元に作成させて頂いております。漫画として分かりやすくするため内容及び設定を一部改訂させていただいております。この漫画はフィクションであり、実在の人物や団体などとは関係ありません。