【介護での栄養摂取に関する意識調査】在宅介護者の6割以上が「要介護者の栄養が不足している」と実感

在宅で介護をしていると、頭を悩ませるのが「介護での栄養摂取」です。食への興味を失っていたり、噛んだり飲み込んだりという食べる機能が衰えている高齢者は、食事の量が減ってしまう傾向があります。

在宅介護者は、介護での栄養摂取についてどんな課題を抱え、対策をしているのでしょうか。安心介護が行った「介護中の食事・栄養摂取についてのアンケート」から、その内容を紹介します。

【調査内容】 「介護中の食事・栄養摂取についてのアンケート」 調査対象:「安心介護」会員 回答者数:130名 調査期間:2018年10月19日~2018年10月22日

「介護での栄養摂取」に関する意識調査

130名の回答者のうち、同居または別居での在宅介護経験者は102名(78.5%)でした。

在宅介護経験者を対象に、「要介護者の食事でどのような食品を積極的に取り入れていますか?(複数回答)」と伺ったところ、下記のような結果となりました。

Q: 要介護者の食事でどのような食品を積極的に取り入れていますか? (回答数:102 )

要介護者の食事でどのような食品を積極的に取り入れていますか?

「野菜」(71.6%)が最も多く、「魚」(61.8%)「大豆製品」(60.8%)「肉」(56.9%)とたんぱく質が豊富な食品が続いています。

特定の食品を意識して取り入れている理由として多くあがったのが、下記の3つです。

●健康の維持や管理

  • 「栄養バランスを考えて」
  • 「どうしてもたんぱく質が不足しがちだから」
  • 「バランスのとれた物を食べて病気の再発を防ぎたい」
  • 「便秘予防」

…など

●筋力の維持や向上

  • 「筋力が衰えているから」
  • 「筋力が低下しないように」
  • 「リハビリのために筋力をこれ以上落とさせたくないので」
  • 「筋力向上」

…など

●食事を楽しんでもらうため

  • 「本人が好きだから」
  • 「進んで食べてくれるので」
  • 「歯が弱くなり、固めの物は食べにくくなったので、柔らかい食材で栄養がとれる物を使う」
  • 「本人が好きだから。または、好きでなくても不足すると困ると思うから。 たとえば、ふつうのご飯だとあまり食が進まないので、おじやにして卵を入れる。魚は好きなので毎食のメインのおかず。逆に肉はあまり好きでないので、意識して使わないと不足してしまう。豆腐、油揚げはお味噌汁の定番で、大豆そのものも、好物なので煮豆にする。野菜はよく食べるが、好きなものしか使わない」

…など

在宅介護者は、健康や筋力の維持・向上を考えて食事を準備していることがわかりました。食が細くなった高齢者のために、いかに食べてもらうかを工夫している人も少なくありません。

高齢者の栄養摂取で工夫していること

要介護者の栄養が不足していると感じたことはありますか?」という質問には、6割以上が「ある」と回答しています。

Q:要介護者の栄養が不足していると感じたことはありますか? (回答数:102 )

要介護者の栄養が不足していると感じたことはありますか?

不足していると感じる栄養素についての質問に、最も多かった回答が「たんぱく質」(54.0%)、続いて「エネルギー」(44.4%)となりました。

Q:どんな栄養素が不足していると感じますか? (回答数: 63 )

どんな栄養素が不足していると感じますか?

意識して食品から取り入れようとしているにもかかわらず、不足していると感じている人が多いのが「たんぱく質」です。たんぱく質は低栄養の予防や筋力の維持・向上に必要というだけではなく、エネルギー源となる大切な栄養素です。

続いて「エネルギー」があがっていることから、要介護者の食事量が減っていることを気にかけている介護者が多いことが分かります。「要介護者が食事をとらなくて困ったことがありますか?」との質問には、62.7%が「ある」と回答しています。

Q:要介護者が食事を摂らなくて困った事がありますか? (回答数:102 )

要介護者が食事を摂らなくて困った事がありますか?

食事を食べてくれない時の対応についての質問には、63件の回答が寄せられました。本人が好きなものを食卓に並べたり、食べやすいように一口大にカットしたり、会話を盛り上げたりと、様々な工夫をしているようです。

その中でも約3分の1の人があげたのは、栄養補助食品や高カロリープリンなどの市販の商品を使ったり、栄養保持に使われる経腸栄養剤を医師に処方してもらったりと、普段の食事以外で対応しているという声でした。

MCTオイルを上手に使う

手軽にエネルギーアップできる栄養補助食品ですが、せっかくなら栄養のことまで考えて調理した普段の食事で、必要なエネルギーを摂取して欲しいと感じている人も多いのではないでしょうか。しっかりと食べてくれるのが一番ですが、食が細くなっている高齢者にたくさん食べてもらうのは難しいものです。

そこでお勧めしたい成分がMCT(中鎖脂肪酸)です。これはココナッツやパームフルーツに多く含まれている成分で、エネルギーになりやすいことから、高齢者や腎臓病など特定の病気の方向けのエネルギー補給を目的とした、高カロリープリンなどの栄養補助食品や経腸栄養剤に利用されている成分です。

ご飯に混ぜたり飲み物に加えたりと使い方も簡単で、嚥下機能に問題が無ければ、普段のお食事にMCT(中鎖脂肪酸)を加えることで、普段の食事をエネルギーアップすることができるので、ご本人が好きなお料理やご家族と同じお料理を食べることもできます。

もうひとつの働きとして、MCT(中鎖脂肪酸)を摂ることで、高齢者の筋肉づくりにも役立つという研究発表もあります。 (参考:MCTサロン【「フレイル」状態を改善する「MCT」】

要介護者の少食に悩んでいたり、筋肉をつけてほしいと考えている家族には、とてもうれしい成分です。

また、脳はエネルギー源として「ブドウ糖」を使用していますが、MCT(中鎖脂肪酸)から体内で作られる「ケトン体」は、「ブドウ糖」に代わる第二のエネルギー源であると言われます。認知症の発症や進行の予防についての研究が進んでいます。(参考:MCTサロン【脳の栄養不足を助ける「MCT」】

普段の食事にMCT(中鎖脂肪酸)を取り入れて、手軽に栄養摂取対策をしてみてはいかがでしょうか。

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