杖 の種類と選び方

 杖 の種類と選び方

足腰が弱ってきた、足に痛みがある、機能障害で歩行が困難になった。 杖 の種類は様々ありますが、身体の状態にあったものを選びたいですね。ここでは、 杖 の役割や種類、選び方について説明していきます。

杖 とは

杖 とは、体を支えるために使われる細長く真っ直ぐな道具です。福祉用具としては歩行補助杖と呼ばれています。
>>歩行補助杖とは 種類と選び方

自分の足の長さ程度のもので、手で持つのに適しています。木製のものが多いのですが、象牙や金属のものもあります。

杖の役割

杖には、次のような役割があります。

3本目の足になる

杖が3本目の足になることで、歩行が安定します。

安定感が増す

足を揃えているときより、開いて立っているときの方が安定感が増します。杖をつくことでさらに面積が広くなるため、より高い安定感を得られるのです。

脚にかかる体重の負担を軽減

マヒや障害のある足にかかる体重の負担を軽減します。これによって、足に痛みがある人は膝や股関節への負担を減らすことが可能です。

探索機能

視覚障害のある人が利用すると、手で触れることができない遠くのものに気付くことができます。杖の先にある障害物や溝、段差などが、杖からの感触で分かるのです。

心理的効果

杖を持つことで安心感を得られ、足のこわばりが軽減します。バランスを崩したときの支えにもなり、足が悪いという自覚も持てるでしょう。すると、歩行時に無茶することがなくなります。

杖の種類

杖にはさまざまな種類があります。代表的なものを、ここでご紹介しましょう。

一本杖

シャフト(棒)がグリップと繋がり、1本になっています。

ただしグリップの形状にも種類があり、例えば「銘木」と呼ばれる希少木材を使った高級品の杖は、そのほとんどが一本杖です。長く愛用でき、杖職人が作る杖は多くがこのタイプです。

木製一本杖

>かいごDB(木製一本杖 (樫L型))

歩行バランスが良好であったり、腕の力がまだ十分にあったりする人に適しています。

折りたたみ式杖/伸縮式杖

折りたたみ式杖は、シャフトが4〜5つに分かれています。この各シャフトを、ゴムひもやワイヤなどで連結して使用する杖です。旅行に持っていくなど、収納時は折りたたんでバッグの中に入れておけます。そのため、持ち歩きに便利でしょう。

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>かいごDB(アルミ製折りたたみ伸縮杖)

組み立てや折りたたみは簡単にできます。「念のために持っておこう」「そろそろ杖を使い始めようかな」という人にも適した杖といえるでしょう。

ロフストランド杖

一本杖では下腕力が弱く、体重を支えることが困難な場合があるでしょう。そんなとき、このロフストランド杖が使われます。杖の上部が握りの上まで伸びるようになっており、そこに前腕カフが設けられて腕を通して固定します。
>>ロフストランド杖(クラッチ杖)の選び方
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>かいごDB(ロフストランドクラッチ(オープンカフ))

握りと前腕の2点で支えますので、腕の力も使えて握力がない人でも使用可能です。また、片手しか使えない人でも、前腕カフで杖をさげて作業ができるでしょう。下半身麻痺や骨折、捻挫、股関節症などがあっても使える杖です。

松葉杖

松葉杖は、通常2本1組で使います。松葉型をした2本の支柱の上部より脇当てがあり、途中に握りがあります。重い体重を支えるのに適した杖で、安定性に優れています。
>>松葉杖とは

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>かいごDB(アルミ製伸縮松葉杖(2本組))

骨折などで片足に体重がかけられない場合や、足の筋力が衰えた場合などに使われます。使用時には、握りの高さと脇当ての高さを調節して、自分の身体に合わせることが大切です。上体や体幹の筋力がある程度あり、下半身麻痺、骨折、捻挫、股関節症などの障害がある人に適しています。

4点杖(多点杖)

4点杖(多点杖)は一本杖よりも、より安定を求めて作られたものです。把手は一つですが、脚が4本または3本に分かれています。着地面積が広いので、安定性が高いことが特徴です。
>>4点杖(多点杖)とは 種類と選び方

アルミ製 2段4点支柱杖

>かいごDB(アルミ製 2段4点支柱杖 ショートタイプ)

体重をかけても倒れにくく、立つ姿勢の悪い人の歩行訓練にも使われています。一本杖では歩行が不安定な方、あるいは筋力が低下している方には、4点杖(多点杖)がおすすめです。

白杖/盲人安全杖

視覚障害のある人が使用する杖です。体重をかけて使用するのではなく、進行方向の状況や変化などを探る役割などがあります。身体障害者福祉法で補装具に認定されています

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>かいごDB(アルミ製白杖)

視力障害者や視野障害者として身体障害者手帳を取得すると、白杖を受給できます。使用の前には、歩行訓練の指導を受けるといいでしょう。詳しくはお住まいの自治体の福祉課窓口に問い合わせてください。

杖の選び方

杖を選ぶ際には、次のようなポイントに気をつけてみてください。

軽くて丈夫な杖を選ぶ

杖が重い、ガタガタするという状態では、痛みや障害のある足を十分に補助することができません。杖を選ぶときは、軽くて丈夫な杖を選ぶことが大切です。

身長に合った長さの杖を選ぶ

杖の長さは、使う人の身長に合わせて選びます。長さの合っていない杖は、使っていても安定性がなく非常に危険です。目安の長さは肘を軽く曲げた高さにちょうど持ち手(グリップ)がくるものです。

詳しくは福祉用具専門相談員や専門ショップのスタッフに聞いてみましょう。

握りやすいグリップを選ぶ

グリップは握る部分ですので、やはり握りやすいものを選ぶことが重要です。大きめのものから小さめのものまであり、固さも様々ですので、実際に使用者が握ってみましょう。

体の状態にあったものを選ぶ

握力の弱い方はT字杖よりものロフストランド杖の方が無理なく使えるでしょう。体の状態によって、適した杖は様々です。

どんな杖が適しているのかは、リハビリの専門家や福祉用具専門相談員、専門ショップのスタッフに聞いてみましょう。

介護保険を利用した杖のレンタル方法

杖は、福祉用具貸与の対象です。そのため要支援1以上の人は、1割(一定所得以上の方は2割または3割)の自己負担でレンタルできます。レンタル代金の目安は、介護保険を適用して月額100円~200円(1割負担の場合)が目安となるでしょう。

介護保険制度を利用して杖をレンタルする場合、利用を検討しているものが対象か否かを必ず確認しておきましょう。また、購入やレンタルの際には事前にケアマネジャーへ相談してください。
>>福祉用具貸与(レンタル)とは 特徴と活用方法

T字杖は介護保険対象外

杖の中でも最もスタンダードなT字杖ですが、介護保険を利用してレンタルすることはできません。ただし1,000円以下のものもあり、非常に安価で購入できます。

もちろん、T字杖も利用者本人に合った長さや重さのものを選ぶ必要がありますので、福祉用具の専門員(福祉用具専門相談員)や専門ショップの店員さんに相談したうえで選ぶといいでしょう。

杖の購入方法(介護保険対象外)

杖は福祉用具店などで購入できます。
購入時の価格は、3,000円から3万円程度まで様々です。

杖を無料で支給している自治体も

また、自治体によっては歩くことに不安のある65歳以上の方を対象に、杖を無料で支給しているところもあるので、一度ケアマネジャーに確認をしてみるといいでしょう。

ケアマネジャーのいない方は、地域包括支援センターや自治体の高齢者窓口、社会福祉協議会に問い合わせをしてみてください。

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