昇降便座 ( トイレリフト )の種類と選び方

昇降便座 ( トイレリフト )の種類と選び方

 

 

昇降便座(トイレリフト)とは何か

昇降便座は、その名前のとおり便座が高くなったり低くなったりと高さが変わります。また垂直方向へ動くだけでなく、ななめ前方へ高くなる動きもあります。

ひざに力を入れてゆっくりと腰を下げていくことが難しい高齢者にとっては、便座が上がることによって落差が減り不安が軽くなります。これならできると自信が持て、排泄の自立ができるきっかけになります。

介助する人にとっては、高い位置でのサポートでよいので、腰への負担はかなり軽減されます。一日に何回ものことなのでこれは助かりますね。

昇降便座(トイレリフト)はどういった場合に使えばいいのか

おすすめする状態や状況についていくつか挙げてみましょう。

高齢者側の状況

  • ひざに痛みがあり、便座に座ったり立ったりするたびにつらい
  • ひざに十分な力が入らず、座るときにドスンと座ってしまい危ない

介助者の状況

  • 排泄介助のたびに低い位置まで腰を曲げなくてはならず、腰が痛い
  • 低い位置から高齢者の身体を持ち上げる力が足りず、ふらついて危ない

双方の心理的な問題

  • 排泄は尊厳にかかわることだけに、高齢者や介護する人が心理的苦痛を感じる

昇降便座(トイレリフト)を使うことによるメリット

  • 便座が高くなるだけで、どちらも楽になるだけでなく、安心して立ったり座ったりできるので、転倒などの事故も減ります
  • 昇降便座(トイレリフト)は斜め前に傾くこともできるので、前にかがみながらなら立ち上がれる場合、介助者がいなくても自立してできます
  • 自立できる期間が長ければ長いほど、双方の尊厳が保たれる良好な関係が長く続きます

昇降便座(トイレリフト)の種類と選び方

動き方や高さで選ぶ

昇降便座(トイレリフト)の動きは2種類です。垂直方向と斜め前方方向です。上がる高さもメーカーによって違いますので、より合うものを選びましょう。

利用者の身長が高ければ、より高くまで上がるものがいいでしょう。落差が大きければ不安定にもなり転倒などの事故につながりやすくなります。

おじぎをするような前かがみで立ち上がれる人は斜め前方に角度をつけて上がるものがよいでしょう。角度で押し出されるようにより楽に立ち上がれます。

介護度が高く介助が常に必要な場合は、介護する人の身体の負担が楽なものを選びます。介護する人の腰に負担があまりかからない高さにまで便座が上がるのがベストです。

高さや角度は、利用者の身長だけでなくひざの曲がり具合、ふんばり具合などによって違うので、できれば実際に試して選べるとよいですね。身体の状況が変わっていくことを考えると、上限高さを設定できるものであればより安心です。

アームレストつきかどうかで選ぶ

アームレストが昇降便座(トイレリフト)の両側についていれば、自分で立ったり座ったりするのにも安心で、排泄を自立でしたい、させたいという人にはおすすめです。

アームレストつきかどうかで選ぶ


引用元:toto.co.jp

アームレストは介護するときや横からのアプローチにはじゃまになるので、はね上げ式であるかどうかもチェックしてください。トイレに手すりがあれば、アームレストは不要という場合もあるでしょう。

デザインもチェックする

他の家族も同じトイレを使う場合は、昇降便座(トイレリフト)であっても、あまり違和感のないデザインがよいでしょう。お掃除のしやすいデザインであるかも気にしたいところです。

デザインもチェックする


引用元:biz-lixil.com

昇降便座(トイレリフト)と介護保険

自立した日常生活を助ける昇降便座(トイレリフト)を購入する場合、介護保険が使えます。ただし通販で買う場合、このサイトからの購入は使えないと書かれている場合もあるので必ず確認してください。

購入前に要介護認定を受けていることが条件です。原則として要介護2以上であれば利用可能です。

要支援1や2、要介護1の場合は、利用者の状態によっては一定の手続きの上で利用できるので、まずは自治体や担当ケアマネジャーに相談してみて下さい。

>>要介護の高齢者をトイレまで移動する方法
>>特定福祉用具販売 とは 特徴と使い方
>>トイレの介護リフォームの方法

 

【この記事の監修者】

中村 静江(なかむら しずえ) /訪問看護ステーションとんぼ

中村 静江

1998年理学療法士資格取得後、永生病院リハビリテーション科に勤務。病棟勤務を経て、訪問リハビリテーションおよびデイケア業務に携わる。2014年国際医療福祉大学大学院にて福祉援助工学分野修士課程を修了し、現在は福祉用具プランナー管理指導者として、福祉用具プランナー研修などの場で講師活動も行う。