座っている時間が長くなると
座ったままの時間が長くなると、下肢の筋力が低下し立ち上がることが困難となります。加えて関節が固くなる、骨がもろくなるなどさまざまな影響がおこります。さらに認知機能が低下する恐れもあります。
立ち上がりに必要なこと
椅子から立ち上がるために、上半身を前に傾けて重心を移動させる、重力に逆らって体をもち上げるため下肢の筋力が重要となります。しかし下肢の筋力が低下するとこれらの動きが困難となるため、介護椅子を利用するなどのサポートが必要となります。
介護用椅子を使うメリット
低下した筋力を補い、立ち上がりをスムーズにする介護用椅子を使うメリットを紹介します。
立ち上がりやすい座面の高さ
座面が低くすぎても高すぎても立ち上がりにくくなります。深く座った時に足の裏がしっかりと床に付き、太ももにしっかりと力を入れることができるよう座面の高さを調整することができます。
立ち上がりやすい姿勢になる
椅子が前に傾く、座面が上昇することにより、楽に立ち上がる姿勢を作ります。必ず足底が床にしっかりとついているか確認しましょう。立ち上がる際、足腰への負担が軽減します。
腕の力を入れやすい
下肢の筋力低下が低下している場合、それを補うために腕の力も必要となります。椅子にひじ掛けが付いていると、それにつかまり、腕に力を入れることができるため立ち上がりやすくなります。
他にも、座面が回転する、肘掛部分を跳ね上げることができる、折りたたみできるなどの機能がついたものもありますので、利用するメリットは多いです。
介護用椅子の種類
立ち上がりをサポートするための機能が付いた介護用椅子を見ていきましょう。
電動昇降椅子
手元にあるスイッチで座面の高さを調節することができます。自分に合った高さにすることで、スムーズに立ち上がることができます。手すりが付いているものが多く、支えにすることもできます。
立ち上がり補助椅子
電動で椅子全体が前傾するもの、座面がばねなどの力により前に傾く物があります。立ち上がりに必要な上半身を前に傾け、重心を前に持っていくことが可能となります。
使用上の注意点
介護用椅子を使用する上での注意点を見てみましょう。転落予防、介護予防の観点を持つことが大切となります。
安全に配慮する
使用する場合は、取扱説明書をしっかりと読み、正しく使用することが大切となります。電動機能は便利ですが、指を挟む、転落するなどの危険性があることも考慮する必要があります。
転落を予防する
ひじ掛けが付いているものが多いのですが、横に体が倒れたり、転落する可能性があります。また、座り損ねて尻もちをついてしまうことも考えられます。さまざまなことを想定し、転倒予防に努めましょう。
座る時間を短くする
長時間座ることは、体に負担となります。立ち上がること、歩くことは介護予防につながります。座りっぱなしにならないよう介護者が声をかけるなどの配慮をしましょう。
購入について
介護用椅子は特定福祉用具の対象外となっているため、自費で購入することになります。しかし、福祉用具貸与の対象となっているためレンタルは可能です。
レンタルの場合の費用
介護保険制度を利用しレンタルする場合は、レンタル額の1割負担(一定以上の所得がある場合は2割)となります。電動昇降椅子は月1500円程度、立ち上がり補助椅子は月700円程度が目安です。電動昇降椅子は、要介護2以上から利用可能です。
購入する場合
介護用品を扱っているお店で購入することができます。付属機能によって金額は異なりますので、取扱店で相談してみましょう。
>>電動昇降機 とは 種類と選び方
>>福祉用具貸与(レンタル)とは 特徴と活用方法
>>介護用品と福祉用具の違い
【この記事の監修者】
中村 静江(なかむら しずえ) /訪問看護ステーションとんぼ
1998年理学療法士資格取得後、永生病院リハビリテーション科に勤務。病棟勤務を経て、訪問リハビリテーションおよびデイケア業務に携わる。2014年国際医療福祉大学大学院にて福祉援助工学分野修士課程を修了し、現在は福祉用具プランナー管理指導者として、福祉用具プランナー研修などの場で講師活動も行う。