車椅子用クッションを選ぶための重要な3つのポイント
車椅子用クッションを選ぶためには、大きく分けて3つの重要なポイントがあります。それぞれのポイントについて、説明していきましょう。
選択その1:車椅子用クッションの種類により大きく異なる価格
車椅子用クッションは、その種類によって価格も大きく異なります。最も安いウレタンフォーム素材のものは2,000円未満で購入できるものがある一方、空気を利用したものでは200,000円に達するものもあります。
単に価格だけで選ぶのではなく、利用者の体の状態に応じて適切な車椅子用クッションを選ぶ必要があります。
例えば、座り直しができない利用者に対しては、ジェル素材や空気を利用したもの等、体圧分散ができるタイプのものを選ぶようにしましょう。
選択その2:レンタルか購入か
車椅子用クッションには、レンタルと購入の2つの方法があります。レンタルは使用者の状態の変化に応じて適した車椅子用クッションを、低廉な費用で使えるメリットがあります。
一方、購入する場合のメリットとしては、万が一車椅子用クッションを汚したり破損したりしても、単に買いかえれば済む点があげられます。また、誰も使っていない新品のものが使えることもメリットといえるでしょう。
選択その3:介護保険を使えるかどうか
介護保険を使えるかどうかも、車椅子用クッションを選ぶ際の重要なポイントとなります。介護保険を使う場合は費用が価格の1割(一定以上の所得がある方は、所得に応じて2割または3割)で済む一方、原則として要介護度2以上であることや車いすを使用している方に限るなどの制限があります。
また、介護保険ではレンタルのみ適用となり、そのため、購入は介護保険の対象外です。
車椅子用クッションの種類と費用
車椅子用クッションの種類と費用は、おおむね以下の通りとなります。
介護保険を使わない場合
介護保険を使わない場合、購入するかレンタルするかの選択肢があります。それぞれの費用について説明していきます。
購入する場合の費用
最も安価なウレタンフォーム素材の価格は座面だけのもので1,600円~40,000円、背中等のクッションがついているもので19,000円~32,000円となっています。
また、ラテックス素材の価格は4,200円~13,000円、ジェル素材の価格は5,700円~40,000円、エア素材など空気を利用したものの価格は18,000円~200,000円となっています。
レンタルする場合の費用
レンタルする場合は、ひと月当たりの価格で設定していることが多いでしょう。
最も安価なウレタンフォーム素材の価格は座面だけのもので1,500円前後、背中等のクッションがついているもので2,400円前後となっています。
また、ラテックス素材の価格は1,000円前後、ジェル素材の価格は2,200円前後、エア素材など空気を利用したものの価格は1,000円~3,600円となっています。
購入とレンタル、どちらが良いか?
購入した方が良いかレンタルした方が良いかは、迷うところだと思います。
以下のような場合は、レンタルした方が良いといえるでしょう。
- 利用者の状況が安定せず、短期間で車椅子用クッションを交換する可能性がある場合
- 数年間レンタルしても購入するより安価な場合
- 利用者は他人が一度使ったものでも、特にかまわないと思っている場合
逆に、以下のような場合は購入した方が良いといえるでしょう。
- 利用者の状況が安定している場合
- 介護用品を汚してしまうことが少なからずあるので、レンタルに不安がある場合
- 他人が一度使ったものを使うことに対して、利用者が抵抗を示す場合
製品の価格だけでなく利用者の状況も踏まえて、購入かレンタルかを決定することが重要です。
介護保険を使う場合の費用
介護保険を使って車椅子用クッションをレンタルする場合、その費用は「介護保険を使わずにレンタルする価格」の1割となります。残りは介護保険から支払われます。
【この記事の監修者】
中村 静江(なかむら しずえ) /訪問看護ステーションとんぼ
1998年理学療法士資格取得後、永生病院リハビリテーション科に勤務。病棟勤務を経て、訪問リハビリテーションおよびデイケア業務に携わる。2014年国際医療福祉大学大学院にて福祉援助工学分野修士課程を修了し、現在は福祉用具プランナー管理指導者として、福祉用具プランナー研修などの場で講師活動も行う。