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「手すり」は介護の基本アイテム!役割・種類・選び方を総チェック

高齢者の家庭内事故で最も多い原因は転落や転倒です。そのリスクを防ぐには手すりの設置が効果的。手すりは在宅介護に適した住環境を整える基本アイテムでもあります。本記事で、介護における手すりの役割や種類とともに、選び方の基本ポイントをひと通り確認しましょう。

目次

  1. 便利で安全!介護用手すりの役割・メリット
  2. 手すりは介護保険を利用して設置できる
  3. どのタイプが必要?介護用手すりの主な種類
  4. 適切な手すりを選ぶ基本ポイント
  5. 手すりは高齢者の安全な暮らしに必要不可欠

便利で安全!介護用手すりの役割・メリット

手すりを設置した玄関

足腰が弱くなった高齢者を在宅介護する際、欠かせないのが「手すり」です。手すりは被介護者の日常のあらゆる動作をサポートし、安全で快適な生活に役立ちます。

具体的にどのような役割やメリットがあるのか、チェックしていきましょう。

歩行の補助

手すりの基本機能といえるのが安全な歩行のサポートです。

高齢になると、筋力の衰えや病気による麻痺などの影響でスムーズに歩きづらくなってきます。関節に痛みがある場合は、歩くこと自体が苦痛になってしまう可能性もあります。

でも、必要な場所に手すりが設置されていれば、歩行時に足腰にかかる負担が分散されて歩きやすくなります。室内で安全に移動できるようになれば、高齢者も安心して日常生活を送れるでしょう。

立ち上がり動作のサポート

手すりというと廊下や階段に設置されているものをイメージすると思いますが、介護用手すりには立ち上がりや起き上がりの動作を補助するタイプもあります。

例えば、「トイレから立ち上がる」「ベッドから起き上がる」といった動きは、若い人や健常者は何気なくできますが、高齢者や身体機能が低下している方にとっては大きな負担となります。

ですが、手すりにつかまって身体を支えられれば、比較的スムーズに動作をおこなえるようになるでしょう。介助されず、自分で立ち上がりや起き上がりができるようになることは、被介護者の自尊心の維持にも役立ちます。

転落・転倒の防止

冒頭でもお伝えしたように、手すりには高齢者に多い転落・転倒事故を防ぐ役割があります。

高齢者は筋力だけではなく反射神経も低下してくるので、バランスを崩してもとっさに安全な姿勢をとるのは困難です。そのため、階段で足を踏み外したり、浴室で滑ったりするとそのまま転落・転倒して骨折などの大ケガをしてしまいます。

高齢者にとって、転落や転倒は命とりになる場合も。打ちどころが悪いと寝たきりになってしまうリスクもあるので、危険をともなう場所には適切に手すりを配置したいものです。

さまざまな場所に設置できる

手すりは住宅内のさまざまな場所に設置することができます。具体的な種類については後述しますが、廊下や階段をはじめ、ベッドサイドや浴室、トイレ、玄関などにもよく用いられていて、日常生活のあらゆる動作をサポートします。

高齢者の身体状況に配慮した手すりを要所要所に設置すれば、おのずと活動量が増え、より自立した生活を促すことができるでしょう。

手すりは介護保険を利用して設置できる

手すりの設置について説明する女性

手すりの設置は、介護保険の適用が認められています。介護保険を利用すれば、少ない費用負担で安全な住環境に近づけられるので、条件を確認しておきましょう。

要介護・要支援なら1〜3割負担でレンタル可能

在宅介護のために設置する手すりは、「福祉用具貸与」という制度でレンタルすることができます。

福祉用具貸与は、利用者が要介護または要支援の認定を受けていれば利用でき、手すりも対象品目となっています。ただし、設置工事をともなわないものに限ります。

手すりのレンタル費用の自己負担額は基本的に1割ですが、所得によっては2割または3割負担となります。1割負担の場合、1ヶ月あたり500円前後が目安です。

住宅改修をともなう場合も給付が受けられる

手すりの設置に住宅改修が必要な場合でも、条件付きで給付を受けることができます。

まず、介護のための住環境整備に住宅改修をともなう場合、支給限度額は20万円です。自己負担額は福祉用具貸与と同じく1〜3割ですが、上限が決められているので、限度額を超えた部分についてはすべて自己負担となります。

また、住宅改修費の支給は原則的に1回まで。数回に分けて改修をおこなう場合、基本的に2回目以降は給付対象にならないので注意が必要です。

地域によっては住宅改修補助制度がある場合も

なお、お住まいの地域によっては、国による介護保険給付の他に住宅改修補助制度が利用できる場合があります。

市区町村で独自の補助制度が設けられていれば、介護保険の限度額20万円を超えても補助してもらえる可能性も。

お住まいの地域にそのような制度があるか、ケアマネジャーか市区町村の窓口に確認してみましょう。

どのタイプが必要?介護用手すりの主な種類

手すりを使った介護

次に、手すりの主な種類を見ていきましょう。

水平型

水平型は、最も一般的な手すりのタイプです。文字どおり地面や床面に対して水平に設置し、歩行をサポートします。

住宅では廊下に設置されることが多く、手を滑らせながら移動できます。玄関やトイレに短いタイプを設置すれば、姿勢保持や短い距離の移動に便利です。

縦型(I型)

縦型手すりは、アルファベットの「I」のような形状で、立ち座り動作や段差を上るときなど縦方向の動きを補助します。

入浴時に浴槽から出入りする際や、玄関の上がり框(かまち)を越えるときなど、手すりを持って身体を支え、バランスをとることができます。

L字型

L字型の手すりは、水平型と縦型を一体化したような形状です。トイレや浴室における立ち座りの動作を補助するのに便利で、玄関にもよく用いられています。

立ち上がり動作の場合、手すりを使って重心を移動させながら斜め上方向に身体を起こす必要があるため、設置位置には注意が必要です。

波型

波のようにくねくねと曲がった形状の手すりもあります。トイレなどで座っている状態から立ち上がる際、曲がっている部分をつかむと身体を引き寄せやすくなります。

据え置き型・突っ張り型

水平型や縦型のように壁にとり付けるもの以外に、床に置いて使う据え置き型や、天井と床に突っ張らせて固定するタイプも。必要に応じて設置場所を変えられて便利です。

据え置き型はU字を逆さまにしたような形状のものが多く、リビングや寝室に置いて、ソファやベッドからの立ち上がりに利用できます。 突っ張り型は、いわゆる大きな突っ張り棒のようなもので、主に立ち座りの動作を補助します。

こんなタイプも

他にも、以下のようなバリエーションがあります。

  • 階段型:階段の傾斜に合わせて設置し、転落を防ぎます
  • 玄関型:玄関の土間と上がり框にわたって設置します
  • 可動型:使うときだけ引き出せるタイプ。トイレや浴室に便利です
  • 台付き:小さな台に手のひらや腕を置いて身体を支えます

階段の手すりは左右両側にとり付けるのが理想ですが、できない場合は、利用者が降りるときに利き手で手すりをつかめるように設置しましょう。

円筒形の手すりをつかめない方には、小さな台に手のひらや腕を置いて支えられるタイプがおすすめです。

適切な手すりを選ぶ基本ポイント

さいごに、手すりを選ぶ際に検討していただきたい基本ポイントをお伝えします。

被介護者の身体状況に合っているか

被介護者の身体の状況や介助の必要度は一人ひとり異なるので、手すりを選ぶときはその方の日常動作をチェックし、適切にサポートできるものを選びましょう。

例えば、椅子から立ち上がる際、肘かけや座面を押しながら前傾姿勢で立ち上がる人もいれば、手前のテーブルの端をつかんで身体を垂直に引き上げる人もいます。前者であれば据え置き型の手すりが便利ですし、後者なら突っ張り型がいいかもしれません。

利用者の動作や生活動線に合っていない、ちぐはぐな手すりを設置すると不自然な姿勢になり、かえって転倒リスクを高めることがあるので注意しましょう。

設置場所に合う素材・サイズか

素材選びも慎重におこないましょう。手すりには金属製、プラスチック製、木製などさまざまな素材が用いられているため、それぞれの使い勝手や使用感を踏まえて選択する必要があります。

例えば、ステンレスなどの金属製は耐久性に優れていますが、日差しがあたると熱くなり、冬場は非常に冷たくなるので使用感はあまり良くありません。感触の良さを重視するなら、木製やプラスチック製がおすすめです。

また、必要に応じて滑り止め加工や汚れ防止加工が施されているものを選びましょう。 素材に加え、設置場所に合うサイズかどうかも必ずチェックしてください。場所に対して小さすぎる、大きすぎる状態だと利用しにくくなってしまいますし、利用者の身体状況に悪影響を及ぼす可能性もあります。

握りやすい太さ・形状か

手すりの太さや形状は使い勝手に直結します。利用者の手の大きさや握力に応じて、握りやすい形状のものを選んでください。

一般的な手すりの太さは直径3〜4センチ程度ですが、利用者によっては3センチ以下のほうが握りやすい場合もあります。手すりが太すぎるとバランスを崩したときにとっさにつかみにくく危険です。

形状は断面が円形のタイプがスタンダード。手すりを握るのが難しい方の場合は、やや楕円でひじを乗せがまま移動できるタイプがおすすめです。

ケアマネジャーや専門家に相談しながら選ぼう

利用者の身体状況や住宅環境を踏まえ、ご自身で最適な手すりを選ぶのは難しいかもしれません。手すりを選ぶ際は、ケアマネジャーや福祉用具の専門家に随時アドバイスを求めるようにしましょう。

介護のプロの視点からアドバイスをもらうことで、より安全で使い勝手の良い手すりを選べるようになりますよ。

手すりは高齢者の安全な暮らしに必要不可欠

手すりは身体機能が低下した高齢者の安全な暮らしをサポートし、より自立した生活を促すことができる必須アイテムのひとつ。在宅介護にうまくとり入れれば、ご家族の介助の負担も軽減しますし、精神的なストレスの緩和にも役立ちます。

ここでお伝えした手すりの種類や選び方を参考にしながら、安心・安全な介護環境を整えましょう。

 

(文・ 吉村綾子)

 

監修者 山岸駿介
監修者 山岸駿介
理学療法士。臨床経験は7年。急性期から慢性期、スポーツ分野など幅広い分野を経験。医療・介護・スポーツなど幅広い分野のリハビリに携わり、老若男女に正しい運動で、健康的な生活を送るサポートしている。