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民間介護保険【介護とお金の気になること】

介護とお金の気になること01

介護の現状とお金の問題に詳しい、「特定非営利活動法人 くらしとお金の学校」のファイナンシャル・プランナー等の方々に、介護にまつわるお金の問題について書いていただきました。

執筆:ファイナンシャル・プランナー 新美 昌也

公的介護保険サービスの縮小化と、存在感を増す民間介護保険

介護が必要になったとき、まず頼りになるのが公的介護保険です。介護サービスを1割負担(一部は2割)で利用できます。

ただし、要介護度に応じて受けられるサービスの種類や利用料の限度額が決まっていますし、サービスメニューにないサービスの利用や、限度額を超えた分は全額自己負担になりますので、すべてのサービスが1割または2割負担で利用できるわけではありません。

今後、2025年に団塊の世代が後期高齢者になり介護財政が逼迫することが予想されますので、

介護の給付費の抑制が喫緊の課題になっています。そのため、改正が頻繁に行われています。

2015年、介護保険制度改正で要支援の訪問介護・通所介護が介護保険から外されました。次回改正では、要介護度が軽い人への調理や掃除など生活援助サービスで自己負担を増やす案が検討されています。このように、公的介護保険サービスは縮小化傾向にあります。これに伴い、公的介護保険を補完する民間介護保険に注目が集まっています。

介護費用を預貯金で賄うことはできないか

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(平成27年)によると、介護費用について、住宅改修、介護用ベッドの購入費などの一時費用は平均80万円、月額費用は平均7.9万円となっています。介護期間は平均4年11か月です。これをもとに単純計算すると約546万円が介護費用のひとつの目安になります。

預貯金は必要額を貯めるまでに時間がかかりますが、民間介護保険は一定の要介護状態になれば必要額をすぐに受け取ることができます。介護はいつ起こるかわかりませんし、いつ終わるかもわからないという特徴があります。

したがって、介護による将来の経済的損失に備えるには、預貯金が既に十分ある方を除いて、預貯金だけで備えるのは不安ですので、一部は民間介護保険で備えましょう。

民間介護保険のしくみと特徴

保険契約に定める所定の要介護状態になると介護保険金がもらえます。公的介護保険と異なり、使途自由の「現金給付」である点が最大の特徴です。40歳未満でも契約することができます。また、公的介護保険では、40歳以上65歳未満の人は16種類の特定疾病で要介護状態になったときにしか介護サービスを受けることができませんが、民間介護保険にはこのような制限はありません。要介護状態でも100歳まで加入できる民間介護保険もあります。

税メリット

毎年払い込んだ保険料の一定額が「介護医療保険料控除」の対象となり、所得税や住民税が軽減されます。また、被保険者などが受け取った介護保険金や介護年金は非課税です。

民間介護保険の選び方

民間介護保険の内容は保険会社によってさまざまです。以下のチェックポイントを参考にニーズに合った保険を選びましょう。

保険契約に定める支払条件(所定の要介護状態)は?

保険契約に定める所定の要介護状態には3つのタイプがあります。
①公的介護保険の一定の要介護状態以上に該当した時に保険金を受け取ることができるタイプ(公的介護保険連動型)
②保険会社が独自に定める要介護状態に該当した時に保険金を受け取ることができるタイプ(独自基準)
③公的介護保険連動型と独自基準のどちらかに該当した時に保険金を受け取ることができるタイプ(併用型)があります。

公的介護保険連動型と独自基準のメリット、デメリット

公的介護保険連動型は支払基準が明確ですが、公的介護保険制度の変更が将来行われたときに、契約時の支払基準が変更になるリスクがあります。また、連動型と言っても、すべての要介護度に連動しているわけではありません。要介護2以上が主流ですが、要介護4以上というものもあります。公的介護保険連動型は支払基準となる要介護度を必ず確認しましょう。

一方、独自基準は、公的介護保険の対象とならない要介護状態をカバーできる点、公的介護保険制度の変更の影響を受けない点がメリットですが、要介護状態に該当するかどうかの判断を保険会社が行う点が難点です。また、独自基準では、要介護状態に該当しても、その状態が一定期間継続しなければ保険金を受け取ることができませんので留意しましょう。

保険金の受け取り方は?

保険金の受け取り方には3つのタイプがあります。
①一時金としてまとまった金額を受け取るタイプ
②年金として毎年受け取るタイプ
③一時金と年金を併用して受け取るタイプがあります。

一時金は、介護用品の購入、住宅のリフォーム、有料老人ホームの入居一時金などに活用できます。年金は、公的介護保険の自己負担分、成年後見人に支払う費用など継続的に必要となる資金として活用できます。年金タイプには、所定の回数の受け取りを保証するものもあります。このタイプでは、被保険者が年金受給中に死亡しても遺族が残りの年金を受け取ることができます。

保障期間や保険料払込期間は?

一定期間だけ保障される「有期」タイプと一生涯保障がある「終身」タイプがあります。

高齢になるほど介護の発生率が高まることを考えると「終身」タイプが安心です。「終身」タイプでは、保険料の払込を一定の年齢までにする方法(短期払い)と一生涯にする方法(終身払い)があります。収入のあるうちに保険料の支払いを済ませる「短期払い」のほうが安心ですが、「終身払い」に比べて保険料が高くなります。「終身払い」をするときには、要介護状態になった時に保険料の払い込みが免除になるタイプが安心です。

貯蓄性は必要か?

「解約返戻金がある」タイプと「解約返戻金がない」タイプがあります。

解約返戻金は老後の生活資金として活用できますが、「解約返戻金がない」タイプに比べ保険料がかなり高くなります。ただ、「解約返戻金のあるタイプ」といっても短期間で解約した場合には、解約返戻金は全くないか、あってもごく僅かなので留意が必要です。まとまった資金があれば、一時払いの介護保険に加入し、預貯金の代りに利用する手もあります。

死亡保険金(死亡給付金)は必要か?

「死亡保険金がある」タイプと「死亡保険金がない」タイプがあります。保険料の掛け捨てが嫌なら死亡保険金のあるタイプを選ぶという手もあります。ただし、「死亡保険金がある」タイプでも数十万円程度しか保険金がないタイプもありますので留意しましょう。

認知症保険は必要か?

認知症患者の介護などの費用はかさむことが多く、最近、認知症に特化した保険が相次いで販売されました。しかし、既存の民間介護保険でも認知症に対応していますので、介護費用のリスクに関しては、まず、民間介護保険を検討してみることをお勧めします。その上、必要に応じ、上乗せの保障として認知症保険を検討してみてはいかがでしょうか。認知症が悪化した場合には、死亡保険の高度障害保険金を請求できる場合もあります。認知症のリスクには、介護費用のほか、収入減や賠償責任などのリスクもあります。就業不能保険や個人賠償責任保険など他の保険も検討してみましょう。

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(クリックすると拡大します)

民間介護保険の留意点

75歳までは要介護の発生率は高くありません。50歳で加入しても保険金を受け取るまでに保険料の支払期間は25年以上あると考えたほうが賢明です。

その間インフレが続けば、お金の価値が下がるので、保険金を受取っても保険金でカバーできるサービスの範囲は縮小します。この点、訪問介護サービスを受けたり、老人ホームへ入居できるといった「現物給付」の民間介護保険の商品開発が期待されます。

また、民間介護保険に加入しても、会社所定の要介護状態にならない場合もありますので、保険金を必ず受け取れるとは限りません

まとめ

要介護にならないのが一番です。栄養、運動、休養を実践し、健康寿命を延ばす努力をしましょう。その上で、万一に備え、貯蓄と民間介護保険でバランスよく介護費用に備えるというのが良いのではないでしょうか。

 


執筆者

新美 昌也

独立系FP会社T&Rコンサルティング有限会社代表。ライププランに基づいた総合的なアドバイスを得意とする。生保の実務経験は20年以上。中小零細企業の経営者に5000万円以上退職金の原資を作る方法を500社以上に提案している。民間介護保険や教育費に詳しいファイナンシャル・プランナー(FP)として新聞の取材や講演の依頼を多数受ける。


介護とお金の気になること:バックナンバー

  1. 介護保険制度の行方
  2. 介護にいくらかかるか
  3. 費用との関係で考える「終のすみか」
  4. 介護のためのお得な情報
  5. 介護費用はどのように準備すればよいか
  6. 民間介護保険
  7. 地域で異なる介護事情と老後の住まい
  8. 介護費用が足りない時は?
  9. 要介護時期の財産管理
  10. 介護費用と家族