体を拭くことはさほど困難ではないものの、洗髪となるとひときわ困難を感じる方は多いでしょう。
特に寝たきりの高齢者は入浴も困難なので、洗髪をする機会が少なくなってしまいます。
洗髪の回数が減ると、フケがたまるなど清潔さを保つことが難しくなり、かゆみやにおいが出てしまうことも。
本人や介護者の不快感を防ぐためにも、寝たままで洗髪できるようにすることが大切です。ここでは、その具体的な方法をご説明します。
寝たまま洗髪のための準備
寝たまま洗髪を行うときは、事前準備が大切です。
事前準備によって、水やシャンプーによる部屋の汚れや、冷えによる高齢者の体調不良を防ぎましょう。
後頭部の下に洗面器を設置する
ベッドでも布団でも、基本的には仰向けになった状態で洗髪します。
まず、仰向けの状態で後頭部の下にビニールシートをひきます。
さらにビニールシートの上に後頭部を受けるように洗面器を置いて、洗髪中に流れてくるお湯で部屋を濡らさないようにしましょう。イメージとしては、美容院のシャンプー台のようなものを洗面器で作ります。
ベッドの場合、首の下に枕などをはさんで首を安定させてください。さらに、首元や肩がぬれないようにタオルをかけます。
布団の場合は、頭の位置を高くするために、敷布団を折り返すなどして厚みを持たせた後で、後頭部の下に洗面器を設置しましょう。
室温やお湯を十分なあたたかさに
室温や湯温が低いと、濡れた髪が原因で風邪をひきやすくなります。室温は22~26度に設定し、十分に暖めておきましょう。
お湯は38~40度程度のものを用意します。洗面器にはったお湯はすぐに冷めてしまいますので、室温によっては少し熱めのお湯を用意してください。
冷めることを前提に、お湯は洗髪の直前に準備するのもよいでしょう。
用意する物
- 洗面器
- ビニールシート
- 洗髪用のお湯(40度程度)
- ブラシ
- シャンプー
- タオル
- ドライヤー
- 耳栓(必要に応じて)
具体的な洗髪の手順
洗面器にお湯を入れて準備が整ったら、首より低い位置に頭がくる状態にします。そして、ブラシで頭皮をマッサージしながら髪をとかしていきましょう。
次に、毛先の方から頭皮に向けてお湯をかけます。十分にお湯がなじんだら、シャンプーで洗います。
お湯をたくさん用意するのが難しい場合は、すすぎの際にまずタオルで頭を包み込むようにしてシャンプー液をふき取ると良いでしょう。
こうすることにより、すすぎのお湯を節約できます。
なお、襟足や耳回りはシャンプーすすぎが不十分なことがよくありますので、すすぎをしっかりとしてください。
また、洗髪の際は、耳にお湯が入らないように耳栓をするとよいでしょう。目にお湯が入るのが心配な場合は、目元にタオルをかけます。
シャンプーとすすぎが終わったら、髪が含んだ水気をかるく絞り、すばやくタオルで頭髪部分全体を包み込むようにして拭きます。
そのまま、タオルでもみこむようにして水分をふき取りましょう。そして、ドライヤーでよく乾かします。
寝たまま洗髪する際のポイント
ドライヤーの温度に注意
高齢者は、温度に対して感覚が鈍くなっている場合があります。
そのため、身体に害があるほどドライヤーの風が熱い場合でも、自分では「熱い」と気づけない可能性があるのです。
ドライヤーの熱で頭皮や顔の皮膚を傷めないように、ドライヤーは20センチメートルほど離した方がよいでしょう。
声かけする
お湯が突然頭にかかるとびっくりしてしまって、洗髪に対する苦手意識を持ってしまうことがありますので、適度に声かけをしながら洗髪を進めるようにしましょう。
不快感がないかや、かゆいところがないかなども聞くようにします。
寝たまま洗髪するための用具
オカモト洗髪器サッパリさん
ケリーパッドとは寝たまま洗髪のための洗髪器のことです。
こちらの「オカモト洗髪器サッパリさん」は、空気を入れて使うやわらかい素材で作られており、頭が痛くなりません。空気を抜くと小さくなるので持ち歩きや収納も簡単です。
床などに水が飛び散らないようビニール部分が広くついているほか、肩にかけるカバーも一体になっているため、寝たままでの洗髪が楽になります。
洗髪シート 爽やかさん
服やお部屋への水の飛び散りが気になる方は、寝たまま洗髪用の洗髪シートが販売されています。使い捨てのため衛生的です。
洗髪シャワー
こちらの洗髪シャワーは、バケツなどからお湯を汲み取って使えるポータブルシャワーです(バケツはセットでないため別で用意する必要があります)。
シャワーヘッドにお湯のオンオフスイッチがついていて片手で操作できます。
バケツから直接お湯が使えるので、お湯を何度も汲み直す必要がなく、洗髪時間の短縮につながります。
水のいらないシャンプーの使い方
髪を洗い流すのが難しく寝たまま洗髪ができない場合は、水のいらないシャンプーを利用する方法があります。
水のいらないシャンプーの使い方は簡単。頭にシャンプーをつけてマッサージし、シャンプーをタオルで拭き取れば完成です。
1、水のいらないシャンプーをつける
2、頭皮を揉むようにマッサージ
3、タオルで拭き取って完了!
水のいらないシャンプー一覧
リンスイン ドライシャンプー(泡タイプ)
テイコブ リンスイン ドライシャンプー
サルバ ドライシャンプー
※この記事は2020年3月時点の情報で作成しています。