変形性膝関節症など骨関節疾患のリハビリ

変形性膝関節症など骨関節疾患のリハビリ

骨関節疾患とは骨や関節の異常や変形によって発症する病気で、含まれる疾患の種類は非常にたくさんあります。

代表的なものは、変形性膝関節症のほか、変形性股関節症、肩関節周囲炎、変形性腰椎症、骨粗しょう症、頸椎症などです。

体を支える骨や骨と骨を連結してスムーズに動かしてくれる関節は、どちらも重要な役割を持っています。

この骨や関節が変形したり、炎症を起こしたりすることで体が思うように動かなくなり、日常生活に支障をきたすというわけです。足なら歩けなくなりますし、腰なら起き上がれなくなります。また、肩なら腕が上がらず、日常の動作がやりづらくなってしまうでしょう。

骨関節疾患は加齢によって生じることも多く、寝たきりや車いす生活など介護が必要な状況に陥ります。しかし、そのまま放っておくとより動かなくなってしまうのが骨や関節です。そこで、大切なのがリハビリとなります。

病気の種類によってリハビリの方法も変わってくるので、変形性膝関節症など代表的な疾患について見ていきましょう。

変形性膝関節症のリハビリ

痛みを薬や注射で抑えて様子を見ることを保存的療養と呼び、リハビリもそのひとつです。

まずはひざ曲げ伸ばしの可動域の回復と太ももなどの筋力増強を目指します。

筋力を強くする理由は、痛みが原因で運動量が減少して筋力が弱まると、関節をしっかりと守ることができ無くなってしまうため、より痛みが強くなってしまうからです。
そのため、筋力を強くするリハビリを行うことで痛みが軽減され、動きやすくなります。

リハビリ方法

●水中ウォーキング
浮力を利用して膝への負担を軽くしながら、脚全体の筋力を鍛えます

●太ももの前側の筋肉を鍛える
脚をまっすぐ延ばして床に仰向けに寝ます。その状態で、片脚ずつ床から約10~30cm上げて10秒停止し、ゆっくりとおろします。椅子に座って行っても大丈夫です。

●太ももの内側を鍛える
両ひざを曲げて仰向けに寝ます。膝の間に筒状にしたタオルやクッションを挟み、つぶすように5秒ほど力を入れます。いったん休んだ後、10~20セットほど無理のない範囲で繰り返しましょう。

●膝の可動域を広げる
可動域を広げる訓練は、膝を温めてから行うと痛みが少ないため、お風呂の中で行うのがお勧めです。体が温まってから、ゆっくりと膝を曲げたり、伸ばしたりを繰り返すのがいいでしょう。

●柔軟性を高める
膝裏の柔軟性を高めるため、床に脚を伸ばして座った状態で、つま先をできるだけ前に伸ばして5秒ほど停止します。続いてつま先をできるだけ反らせて5秒ほど停止。これを片脚ずつ20セット行います。自然に呼吸をしながら続けるのがポイントです。

変形性股関節症のリハビリ

変形性股関節症は、股関節を安定させるために腰に負担がかかり、腰痛の原因にもなります。

股関節への負担を減らすリハビリのポイントとしては、
・自転車こぎなど股関節に負担がかからない運動をして体重を減らす
・腰や股関節の動きが硬くならないようにする
・39~40℃程度のお風呂にゆっくり入る
・ストレッチで内転筋(太ももの内側の筋肉)を伸ばす
・太もも、お尻など股関節を支える筋肉を鍛える
などがあります。

また、無理をすると症状が悪化してしまったり、症状改善のためにも特定の筋肉は鍛えない方がいいと提唱している医師もいるので、独自でリハビリを行うのではなく、医師や専門家の指示を受けながら行うのがよいでしょう。

装具や杖を使って痛みを楽にし、症状を進行させないことも大切です。

変形性腰椎症、頸椎症のリハビリ

腰椎や頸椎とは、背骨の腰の部分や首の部分に当たる部位です。

レントゲンを見ればわかりますが、長い輪切りにしたような骨がいくつも重なって成り立っています。
これらの骨は、何もしなくても加齢とともにゆがんだり曲がったりして変形します。骨と骨の間が狭くなったり、骨自体がつぶれたりすることもあり、高齢者の腰が曲がるのもこの変形が原因です。

また、変形によって周りの神経に骨が触れると、痛みが生じたり、腕や足がしびれたりします。さらに神経の圧迫がひどいと、麻痺を招くこともあるのです。
いくらリハビリでも、変形した骨を元に戻すことはできません。

これら症状が見られる場合、リハビリの目的は関節や骨を守る筋肉を柔らかく保つことで、筋力を強化することになります。

痛みがある場合は無理に動かさず、それぞれの症状に合わせて動きを補助しながら可動域を広げる動作を訓練しましょう。場合によって、温熱やマッサージなども合わせて行うこともあります。