医療判断代理委任状とは

医療判断代理委任状とは

医療判断代理委任状とはどんなものか

医療判断代理委任状とは「事前指示書」に含まれる文書の1つです。

医療を受ける際には、患者が医師等からどんな治療法があるのか、またどんなデメリットがあるのかなどの説明を受けたうえで、患者が最終的に治療方針を決定する権利、インフォームドコンセントがあります。しかし、事故や急病・持病の悪化などにより自身で治療方針を決定できない状態となる可能性も否定できません。そのような際にもできるだけ自身の意思を表示できるものが事前指示書です。

そして、事前指示書の中に「リビングウィル」と「医療判断代理委任状」の2つがあるのです。
医療判断代理委任状はもちろんですが、リビングウィルについてもどのような文書なのか解説します。

リビングウィル

患者自身が受ける医療内容の判断が意思表示できなくなる前に、自分の治療に対する意思や希望を表明化した文書です。

医療判断代理委任状

患者自身が受ける医療内容の判断が意思表示できなくなった場合のために、事前に自分に代り、医療内容を判断することのできる人を指定するための文書です。

リビングウィルは自身の意思を表明したものですが、医療判断代理委任状では受ける医療行為を誰かに委ねることになるので、この2つは似ているようですが異なるものです。

医療判断代理委任状を作成するには

医療判断代理委任状には定められた書式はありません。行政書士を介して作成するケースもありますが、家族間でしっかりと話し合って代理人をたてることができます。

決まった書式はありませんが、病院によっては独自に「事前指示書」として準備してあることもありますし、現代ではインターネットで書式をダウンロードして入手することもできます。

作成するタイミングは

健康であったり、治療中でも元気なうちに作成しても実際に病気になってみるとその時の病状などで意思も変わってくるものですから、すぐに作成する必要はないかもしれません。しかし、重症になるような病気に罹ったことがあったり、今後も再発する可能性がある場合、終末期にあるような場合はいつ状態が急変するかわかりません。

医療判断代理委任状の作成を考えているのであれば早めに作成したほうがいいでしょう。

作成するときの注意点

○医療判断代理委任状において代理人の判断したことであっても、ガイドライン的なものはありますが医療従事者が代理人の判断に従わなければならないという法的拘束力はありません。例えば、意識がなく食事が入らず経管栄養や輸液で治療を行っている場合に代理人が「経管栄養を止めてください」と言ってもそれが認められるわけではありません。

法的拘束力がないといっても代理人が選択したものが、法的・倫理的に外れていなければ代理人の意思を尊重して医療を選択し受けることができます。とくにリビングウィルでは事細かく意思を表示することが難しく、病状・状態によってはリビングウィルの内容とは異なる選択が好ましいことも出てくることがあります。リビングウィルだけでは補えない点も、医療判断代理人によって補えるため医療判断代理委任状も重要とされています。

〇代理人とは何度も話をして自分の意思をしっかりと理解してもらう必要があります。代理人となる人に自身の意思をしっかりと理解してもらわなければ、自身が選択したい治療内容とは異なった判断をされることがあります。とくにどんな状態になっても治療を受けたい場合に配偶者・家族を代理人に選ぶと、代理人の精神・情動により医療行為を中断されてしまうことも考えらえます。代理人は一人である必要はないので二名以上の代理人を立てることも検討してみましょう。

〇作成してもどこに保管してあるのかが分からなければ、代理人となった人でもそれを証明するものがありません。家族・代理人には保管場所を伝えておきましょう。また救急搬送となり意思表示ができない場合、家族・代理人との連絡がつかないときは本人の意思とは関係なく救命処置が進められます。病院や救急隊が家族や代理人の連絡先が分かるようにしておくべきでしょう。

まとめ

医療判断代理委任状を作成しておくことで、自身で判断ができなくなった状態においても自身の考え方・価値観に沿った治療を受けることができます。医療判断代理委任状は作ろうと思ってすぐに完成できるような文書ではありません。委任状を作成する行動までは行わなくても、自身の価値観・死生観などを見直す機会を作ってもいいかもしれません。事前指示書は病院や老人保健施設で独自に作成されたものもあるので、施設のホームページから閲覧したりダウンロードして印刷することもできます。もし事前指示書を作成をしたいと思ったときにはそのようなところの事前指示書をいくつも参考にして、リビングウィル・医療判断代理委任状にはどんなことを書けばいいのかを話し合ってみましょう。

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