ドライマウスとは、唾液の分泌が少なくなり、口腔内が乾燥した状態が3ヵ月以上続く状態です。日本語名で「口腔乾燥症」と呼ばれます。
ドライマウスは虫歯、歯周病、口臭のを引き起こすほか、摂食嚥下障害の原因になるため、高齢者が気を付けたい病気です。
また、全身の乾燥状態ともかかわっており、パソコンなどの長時間使用の影響などで起こるドライアイ患者の多くが、ドライマウスの症状を持っていると言われています。
ドライマウスの原因は唾液の分泌量低下
ドライマウスは、唾液の分泌量が低下して口の中が乾燥する病気です。
加齢が唾液の分泌量低下を引き起こすこともあるため、高齢者は特に気を付けたいところです。心疾患・高血圧などの病気や薬の副作用、口呼吸なども原因となります。
また、咀嚼(噛む行為)は、唾液の分泌を促してくれます。しかし噛むことが少なくなると筋肉は衰え、唾液の分泌量が低下してしまうのです。咀嚼や嚥下(飲み込むこと)に障害のある高齢者は、やわらかい食べ物が中心です。そのため咀嚼時間はどんどん短くなり、ドライマウスになりやすくなってしまうのです。
ドライマウスが引き起こす症状
むし歯や歯周病
唾液には口の中を清潔に保つ役割があります。そのためドライマウスになると、むし歯や歯周病が進行しやすくなるのです。
口臭
唾液により口の中が清潔に保たれないと、細菌が繁殖して口臭を引き起こしやすくなります。
摂食嚥下機能の低下
唾液は食べ物を包み込み、飲み込みやすくします。そのため、唾液が減ることで摂食嚥下機能が低下してしまったり、飲み込んだ食べ物で食道や胃が傷ついてしまうことがあります。
その他の症状
口の中が乾燥すると口の中がネバネバしたり、口内炎ができやすくなります。認知症の方は口の中の乾燥を訴えずらいかもしれませんが、「夜中に何度も目を覚まして水を飲んでいる」「しゃべりにくそう」「食事を飲み込むときに飲み物が必要」 といった行動は、ドライマウスが原因かもしれません。
誤嚥性肺炎のリスクアップも
口の中の細菌が繁殖しやすくなります。その菌が誤嚥により肺に入ることで、誤嚥性肺炎が引き起こされることもあります。
>>誤嚥性肺炎とは 原因・症状・対策
胃ろうなど口から栄養を摂取していない人でも、唾液の誤嚥により誤嚥性肺炎となるケースもあるのです。
介護者や周りの家族が注意して、日頃からドライマウスの症状が現れていないかをチェックしておきましょう。
ドライマウスへの対応方法
歯科医や病院で治療を受ける
ドライマウスの診療窓口になるのは歯科です。
口腔のスペシャリストである歯科医がまず問診・触診を行い、口腔内診査や唾液量検査などを用いてドライマウスの原因を特定します。
しかしドライマウスは、他の病気や薬の副作用が原因となっていることも多く、歯科だけでなく医科との連携が重要です。
例えば高血圧症で用いられる降圧剤を服用している人は口の中がよく乾きますが、この場合、循環器内科と連携して対処していきます。
唾液腺マッサージをする
唾液を出す唾液腺をマッサージして、口の中の乾燥を防止しましょう。
3つの唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)の場所や介助者が知っておきたいマッサージのポイントは、日本訪問歯科協会の動画で詳しく紹介されていますので、参考にしてください。
毎日のドライマウス対策
アルコール成分により口の中の乾燥が進んでしまうため、アルコール成分の入った洗口剤などを使わない方がいいでしょう。ノンアルコールで刺激の少ない洗口剤やうがい薬で1日数回、口の中をうがいするのがお勧めです。
また、うがいや口腔ケアの後、就寝前などには口腔用の保湿剤を使用して、口の中を潤しておきましょう。ただし塗りすぎると、乾燥した際に固まってしまい、口の中の粘膜を剥がすことになってしまうので要注意です。
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その他、介護者が知っておきたい高齢者の口腔ケアのポイントについては、下記の記事を参考にしてください。
>>高齢者の口腔ケアの目的と方法