高齢者の食事の特徴と注意点

高齢者の食事の特徴と注意点

食事は体力と生命維持のための栄養摂取であると同時に、高齢者にとっては大きな楽しみの1つです。

介護者にはその準備が毎日の負担になるでしょう。

しかし、すべての人にとって楽しみである食事を、一緒に楽しめるように工夫したいものです。

食事の際の基本的な介助

介護を行う人は、まず食事の際の基本的な介助について押さえておきましょう。

食事というと、食材の買い物と調理を思い浮かべる人が多いようです。

しかし高齢者に食事を摂ってもらうときには、その他にもいろいろな準備があります。

準備が整っていないと、高齢者が食べ始めてから慌てることになるかもしれません。

次のような点に気をつけ、食事の準備を整えましょう。

食事前

・食事に必要なものを用意する
・食事時間には目が覚めているように高齢者に早めに声をかけておく
・手を洗い、身支度をして整える
・排泄は済ませておく

食事中

・高齢者には姿勢を整えて、できるだけ座って食べられるようにする
・食事中は声をかけるようにして、
工夫をしながら少しでも楽に食べられるようにする。
・食べ始める前に喉をうるおわせる。
・本人の食べるペースに合わせて介助する。

食後

・歯磨きやうがいを行い、入れ歯の洗浄をして口の中を清潔にする。
・食後30分程度は入浴を控えて安静にする。 

食事を摂るときは食べやすい自然な姿勢が基本

また、食事の際には姿勢も大切です。
環境に応じて、次のような点に注意してください。

椅子に座って食べるとき

椅子に座って食べられる高齢者は、かかとが床に着く低めの椅子と、座ったときにテーブルが胸より下に来る状態にします。

椅子に座って前かがみになり、うつむき加減の姿勢で食べることで、飲食がしやすくなるでしょう。

また、むせることを防ぐことができます。

ベッドで食べるとき

ベッドで食べる場合はベッドを傾けて、上半身を無理のない程度に起こします。

クッションや毛布などで体が安定させるようにしましょう。

起きられない高齢者は軽くベッドを起こして、横向きの姿勢にして食べさせてください。

仰向けの姿勢は、食べ物が気管に入りやすくなってしまいます。

これは、むせたり肺炎を引き起こしたりする原因になりますので、避けるようにしましょう。

食事の時間は一定にしましょう

在宅介護では、食事の時間を一定にするように注意しましょう。

もちろん高齢者の生活のリズムや食事のとり方に合わせて、食事の回数は変えても構いません。

しかし、時間は毎日一定にしてください。

さらに、食事は家族と一緒に摂ることを心がけたいものです。

家族と一緒に食事をすることで、高齢者も楽しく食べられるようになります。

また、できるだけ高齢者が自分で食べられるように、食べやすい食器を使うことも大切です。