介護保険を滞納したら? 2年以上の滞納にはご注意を!

介護保険を滞納したら? 2年以上の滞納にはご注意を!



介護保険制度により、40歳以上の方に義務付けられている介護保険料は、介護保険制度を支える大切なお金です。
40歳から64歳の方は国民健康保険もしくは会社などの健康保険と同時に支払う介護保険料。65歳以上の第1号保険者になると年金受給額に応じて納付方法が異なります。

低年金者などに多い介護保険料の未納が続いた場合には、どのような事態が待っているのでしょうか?

 

社会問題にもなりつつある高齢者の介護保険料滞納問題

介護保険制度のスタート以来、値上がりし続けてきている介護保険料は、2015年度の全国平均が月あたり5514円となっています。

年金収入のみで生活されている世帯や、収入が少ない世帯の方にとっては、家計の負担ともなりえる介護保険料。

実は厚労省の調査により、65歳以上で介護保険料を滞納し、差し押さえ処分を受けた人が全国で1万人を超えていることがわかっています。

介護保険料の滞納により財産の差し押さえ処分となった高齢者の方の数は、介護保険制度がスタートした2000年と比較して、徐々に差し押さえ処分を受ける方が増えているのが現状です。

気づかない間に未納に!? 65歳以上の介護保険料納付方法の落とし穴

40歳から64歳までの方は、健康保険と一緒に納めている介護保険料ですが、65歳以上になると納付方法が異なります。

65歳以上の介護保険料は、年金受給額が年額18万円以上の方の場合、年金から天引きになるため安心ですが、年額18万円未満の場合は市区町村から送られてくる納付書で直接納付もしくは口座振替での支払いとなります。

そのため、年金額が低い方の場合ついつい支払いが滞ってしまう…というケースが生じやすいのです。

滞納期間別:介護保険料の滞納処置

災害などの特別な事情がないにもかかわらず、介護保険料の滞納が続いた場合、次のような滞納処置が取られます。

納付期限から約20日

市区町村から督促状が発行されます。
介護保険料に加えて督促手数料や延滞金が納期限翌日から納入日までの日数に応じて請求されます。

督促手数料や延滞金は自治体によって異なりますが、手数料は100円程度。延滞金は納期限から1ヶ月までが介護保険料の7%前後、それ以降はさらに倍となる傾向にあります。

納付期限から1年以上

介護保険給付の支払い方法が変更され、介護保険サービスの自己負担割合が1割(一定の所得がある人は2割または3割)から一旦全額を支払わなければいけなくなります。

介護給付分は後から自治体に申請をし払い戻しを受けるための手続きをしなければいけません。

納付期限から1年6か月以上

介護保険料の支払いが1年半以上経過すると、介護保険サービスを利用した場合、全額支払ったサービス料金の9割払い戻し申請資格を失います。

それでも介護保険料を支払わないでいると、未納の介護保険料が介護保険給付額から充当されることもあります。

納付期限から2年以上

介護保険料の未納が2年を超えた場合には、介護保険料の納付は2年が時効となり、2年を超えた分は未納が確定し、追納ができなくなってしまいます。

今は介護保険の利用が必要ないという方でも、将来介護保険サービスを利用することになった際、滞納期間に応じて一定期間介護保険給付が7割に減額され、自己負担割合が1割で済んでいた方も3割負担に引き上げられてしまいます。

また、介護費用が高額になった場合に利用できる高額介護サービス費制度も期間中は利用できなくなってしまいます。

介護保険料の支払いが難しいときにはどうしたらいい?

減免制度などの救済措置

年々上がっていく介護保険料は、年金世帯にとっては経済的負担が大きいのも事実です。
どうしても介護保険料を支払うことが難しい場合には、何も言わずに滞納を続けるのではなく、お住いの市区町村の市民税課などに相談しましょう。

どうしても難しい場合には生活保護の申請も視野に

生活保護受給は、抵抗があるという理由から受給資格があるにもかかわらず申請していない高齢者世帯も多いと言われています。

けれど、生活保護は、申請すると介護保険料などの分も上乗せ支給され、介護保険料の支払いに使うことができます。将来介護保険サービスを全額で受けなければならない、というような事態になるよりは、こうした制度を利用した方がいいというのは明らかです。

>>生活保護とは

まとめ

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年には、介護保険料の全国平均が8000円以上になるとも予測されている今。介護保険料は今後もますます上がっていくことが予想されます。

とはいえ、家計への負担が大きい場合でも、介護保険料を未納のままにしてしまえば、将来介護が必要になった時に、ご自身の身に払ってこなかったツケが回ってきてしまいます。

未納をしない、させないためにも家族間でも声を掛け合い、介護保険料はしっかりと納付していきましょう。