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海外の介護支援制度

Group of seniors having food in nursing home

日本には介護支援制度の一環として、【介護保険制度】があります。
これは、40歳以上の国民に加入義務があり、介護保険料を支払うことで財源を作り、もし介護が必要になってしまった場合、高齢者は1割の自己負担で介護サービスを受けることができる、という制度です。

昨今、よくニュースで耳にする、介護の世界の人員不足や、就業環境に関する問題などは主に介護保険による介護サービスの世界の話です。
根本的な原因は介護保険料の不足であり、介護が必要な高齢者の負担を1割で抑えるためには何かと資金が不足して、現場で働く介護職員の環境悪化につながってしまっていると推察されます。
ちなみに現在でも財源は保険料だけでは足りない場合が多く、地方自治体や国が公費を拠出して賄っている状態です。
地方自治体によっては介護保険に補助を手厚くし、高齢者が住みやすい地域づくりを目指す動きも見受けられます。

従来、日本では高齢者の介護を行うのはその家族というのが通例でした。
しかし近年では核家族化が進み、また平均寿命も伸びてきました。そのため家族だけで高齢者介護を支えるのはだんだんと難しくなり、2000年に施行されたのが上記で解説した【介護保険】制度です。

以上のように、それなりに問題を抱えてはいるものの、日本では介護保険が整備され、高齢者になってから介護が必要になってもその負担はかなり軽減されるシステムになっています。
では海外の介護支援制度はどのようになっているのでしょうか?

福祉大国として名高いスウェーデンの介護支援制度は?

北欧の国、スウェーデンといえば福祉制度が非常に手厚いで有名な国です。ということは介護支援もかなり手厚いシステムになっているのだろうと考えます。
そもそも日本の介護保険は欧州の制度を参考にして作られたといわれています。
福祉制度が手厚く、国民の幸福指数が極めて高いスウェーデンの介護支援制度は日本と比較してどのような感じになっているのでしょうか?

スウェーデンでは日本の市町村に当たる存在を【コミューン】と呼びます。
スウェーデンでは高齢者のケアサービス、つまり介護サービスを8割がコミューンの財源で賄っています。
つまり日本で例えるなら介護サービスは自治体がメインで行っているという感じです。つまりスウェーデンの介護サービスに用いる財源のメインはコミューン(地方自治体)の財源で、残りは利用者が負担するという形です。この時点で厚生省が介護保険を仕切る日本とは随分事情が異なりますね。
ちなみにスウェーデンは個人が負担する額は上限が全国一律で定められており(日本円でおよそ28,000円程度)さらにそれを支払った後、普通に生活するだけのお金が残らないようならほぼ間違いなく生活保護が適用されます。
このためスウェーデンでは高齢者やその家族が介護費用で生活が困窮するということには制度上、なり得ません。

スウェーデンは2011年の調べで、男性の平均寿命が79,8歳、女性の平均寿命は83,7歳であり長寿国といえます。そして乳児死亡率は1000人中に2人程度と、非常に低く、GDPが世界第3位の日本と比べても遜色のない医療、衛生レベルを誇っています。ちなみにスウェーデンのGDPは世界で24位です。

そして日本との大きな違いは、介護保険の大半を地方自治体に当たるコミューンが管轄しているという点です。
基本的に地方自治体が介護保険を運営し、利用者は負担する上限が決まっており、このシステムでも個人が負担仕切れない場合に、国が生活保護などの制度でフォローするというスタイルで安定しています。

政府が積極的な富の再分配を掲げ、高い社会保障が特徴のスウェーデンは福祉が手厚い国でも有名であり、介護支援制度も日本と比べて非常に手厚く設定されており、その制度上、高齢者とその家族が要介護の際、費用面で困窮しないようなシステムが成立しています。
さすがに福祉大国として名高いスウェーデン、調べれば調べるほど羨ましくなってしまう福祉制度でした。

高齢者介護の対策が遅れているアメリカの介護支援事情は?

GDP世界第1位、世界のお金持ちの8割が集中しているという超経済大国と同時に世界最大の軍事国家でもあるアメリカですが、介護支援事情はどのようになっているのでしょうか?
アメリカは高齢者に対する介護や医療の対策が遅れていることは有名です。そしてアメリカは肥満が社会問題になるような不健康な国という一面もあり、医療問題は極めて重要な状況にあるともいえます。

現在のアメリカは介護支援に関して行政からの支援はあまり期待できず、高齢者介護を負担するのは主に家族です。つまりアメリカでは、高齢者の家族の面倒をどう見るか?というのは極めて大きな問題となります。この、高齢者の介護問題の感覚は日本と近いものがあるかもしれません。

アメリカにも高齢者に対する医療制度は存在しており、高齢者は若い世代よりは安い医療費で受診できます。しかしアメリカの医療はあくまで病気を治すことに重点を置いており、いわゆる高齢者に対する介護やリハビリのようなもの保障がない場合がほとんどです。

家族が介護をする場合、それを担当するのはほとんどが女性であり、子息の配偶者や自身の娘が介護を担当するという風潮が強いようです。その場合、ほとんどは付きっきりによる介護となり、仕事も続けることが出来なくなるケースが多く、その経済的な損失が社会問題となりつつあります。

アメリカにも老人ホームは存在しますが、日本の介護保険のように国が補助してくれる制度はありません。そもそもアメリカは国民健康保険が存在せず、民営の保険会社の健康保険に加入するのが一般的です。
しかし日本のように99%の人が加入しているような状況ではなく、低所得層は健康保険未加入の人は珍しくありません。そういった人は老人ホームに入居するのは難しい状況です。以上のような事情のため、アメリカの老人ホームはほとんどが民営によるものです。

以上のようにアメリカには日本のような介護保険はなく(国民健康保険も無いのだから当然ですが…)高齢者の介護は家族が行うのが一般的です。しかしその結果として若い世代が仕事を続けられなくなるなどの社会的損失が大きく、アメリカが抱える大きな問題となっています。アメリカは現在、満足な医療や介護を受けることが出来ずに亡くなってしまうケースが多い現状にもあります。

ちなみに先ごろ、アメリカ大統領就任が決まった、ドナルド・トランプ氏ですが、トランプ氏は共和党という政党です。
アメリカは共和党と民主党という二大政党があり、トランプ氏の対立候補だったヒラリー・クリントン氏は民主党です。
現大統領であるオバマ氏も民主党であり、民主党はアメリカの福祉制度を整備することを目標の1つに掲げています。ヒラリー氏は国民健康保険を実現することをスローガンとして長年政治活動を行っています。
アメリカ市民が今回の選挙で共和党のトランプ氏を選んだという事実は、アメリカの抱える福祉問題に対する無関心さを象徴した結果にも見え、アメリカの福祉充実の道はまだまだ険しそうです。

発展途上国の新興国、インドの介護支援事情は?

発展途上国の多いアジアにも目を向けてみましょう。アジアの途上国でも経済成長が著しいインドの高齢者介護支援はどのような感じでしょうか?
まずインドの医療はそれなりに高水準です。【全インド医科大学】という国立の医療学もあり、医療施設は都市部になら充分な数が設置されています。
しかしインドは上記のアメリカと同様、国民健康保険のような存在はありません。そしてインドは貧富の差が非常に大きい国である、という特徴があります。

インドは貧富の差が激しく、都市部に富裕層が集中し、貧困層は地方に住むという状況が常態化しています。
地方に住む貧困層はコミュニティがきちんと出来ている感じで、社会全体で高齢者を支えるという風潮が根付いています。田舎は貧しい人が多いけど近所同士が仲良く、助け合って生きている感じです。
介護が必要な高齢者は自宅介護が多いですが、年長者を敬う文化が根付いており、貧困層は高齢者介護も近隣住民で助け合い、良い意味で明るく開けたコミュニティが形成されています。

都市部に住む富裕層はインド自体の高い医療水準にあやかり、衛生的な生活をしているため平均寿命は高めです。高齢で介護は必要な場合は全額自己負担で介護スタッフを雇う余裕があります。
都市部は医療設備が充実しているため介護施設も多く、高い水準で介護を受けることが出来ます。

貧富の差を象徴する都市部と地方はインフラの差が激しく、まずは地方の農村部のインフラ開発が先決ですが、インドには未だにカースト制が根強く残っており、貧富の差が激しい社会の根本的な原因にも大きく影響しています。

インドは新興国としての成長はめざましいですが、貧富の差が他国と比べても激しく、GDPを国民一人当たりに換算するとかなり低い数字になります。
医療はそれなりに高水準ですが、それを利用できるのは都市部に住む一部の富裕層のみです。
現在のインドの状況を鑑みると健康保険や高齢者支援制度の充実にはかなりの障害があると思われます。
インドは経済成長に伴い、医療制度などの改革が期待されますが、まず貧富の差を改善する必要があります。それには貧困層が多く住む地方の農村部のインフラ整備が優先事項となりますが、インドに根強く残るカースト制の影響が大きな影を落とし、社会全体の改革を妨げています。

まとめ・日本は手厚い介護支援制度を実現していますが、それでも高齢化社会では厳しい状況が続きます

世界には医療が発達している国とそうでない国があります。
医療が発達していれば医療保険も介護支援制度も手厚くなるというわけではない、ということがお分かりいただけたと思います。
社会福祉の充実には高度なインフラが前提となり、医療の発達も不可欠ですが、そこから手厚い医療保険や介護支援制度が実現されるかどうかはその国のお国柄に依る部分が大きく、福祉に無関心な国はどんなに経済発展してもその充実には繋がらないという印象を受けます。

日本は世界の国々と見比べると明らかに福祉を重視し、手厚い介護支援制度を実現している国といえます。しかし日本は世界でも有数の高齢社会国でもあり、比較的手厚い介護支援制度でもその財源は不足しがちである、という現状のようです。

すでに日本の介護保険はその財源不足を国や自治体が負担している現状です。そのため日本の介護支援を根本的に解決するには、介護保険料の値上げが最も現実的な方法かもしれません。
これも高齢化社会特有の問題の1つといえますが、高齢化社会は一瞬で解決できるような問題ではなく、少しずつ緩んでいくものです。
日本は今後数十年、少子高齢化の問題から逃れることは出来ず、日本の福祉制度の重荷になることは避けようがない事実なのです。