介護のきっかけチェックリスト

介護のきっかけチェックリスト


お盆休みや年末年始に、実家に帰るという方も多いでしょう。
そんな時に親や親戚に会い、「老けたな」と感じることはないでしょうか?
高齢者には、親や年長者としてのプライドや、子供に迷惑をかけたくないという思いがあります。
そのため、些細なことでは、SOSを出すのをためらう傾向にあります。
家族や周囲の人が、高齢者のちょっとした変化を見逃すと、急に介護が必要な状態になる場合があります。
高齢者が出来るだけ自宅で自立して生活するためには、重度の介護の状態になる前に援助・支援することが大切です。
今回は、介護のきっかけとなる状態をチェックリストにしてお伝えします。

 

①急に痩せたように見える、食欲がない

高齢者に限りませんが、食事は元気の源ですね。
高齢者が食欲が無かったり、食事の量が減ったりすると、カゼやインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
入れ歯が合わなくなっていたり、歯肉の炎症などでよく噛めないままでいると、認知症になる危険性もあります。
噛む力や飲み込む力が弱っていると、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)になる危険が高くなります。
食欲がないということを、年をとったから当たり前と考えていると、突然の介護生活になってしまうかもしれません。

出典:健康にいがた21 口腔機能アップ!元気なお口で寝たきり予防 

出典:歯科医師の立場から見る介護予防

②障子やふすまが破れている、壁紙がはがれたり傷ついている

高齢者は、筋力の低下・バランス感覚の低下・視力の衰えなどから、転びやすくなります。
転倒・骨折は、高齢者に介護が必要となる原因です。
口には出さなくても、壁などが傷ついていたら、転んでいるのかもしれません。
高齢になると、掃除や物の整理整頓が面倒になる場合もあります。
日頃から物を減らし、部屋の中をスッキリさせておくことでも、転倒・骨折が防げます。

出典:新あかし健康プラン21 転倒予防

③カレンダーなどに予定を書き込まなくなった、外出しなくなった

高齢者が家に閉じこもったり外出しなくなると、筋力・認知力が低下する危険性があります。
趣味を持っていた高齢者が、趣味を止めてしまったなどの場合も要注意です。
外出の機会が減っているようなら、さりげなく原因を探ってみましょう。

出典:新あかし健康プラン21 閉じこもり予防・うつ予防

④物を探していることが多い、物をしまう場所を変える

うっかり財布やカギを置き忘れる、ということは誰にでもあります。
その場合には「さっき買い物に行って、ここにカバンを置いたから…」などと、自分の行動を思い出すことで、財布などを見つけることができます。
認知症になっていると、自分の行動を忘れてしまう場合があります。
また、大切な物を盗られると思い込み、隠し場所を変えるということもあります。
「年だから忘れっぽくなる」という思い込みは、禁物です。

出典:認知症の人と家族の会 家族がつくった「認知症」早期発見のめやす

⑤何度も同じことを尋ねる、同じ話を繰り返す

高齢者は、思い出話しなど、同じ話を繰り返すことがあります。
しかし、短時間に同じ話しや質問を繰り返すならば、認知機能が低下している可能性があります。
病院の診察日や人と約束した日時忘れてしまうなどの場合も、認知症の可能性があります。

*④の出典参照

⑥茶碗やメガネなどをよく落とす・壊す

食事中に箸を落とす、茶碗や皿をたびたび壊すなどの場合、脳卒中や神経の障害などで、手の震えや筋力の低下がある可能性があります。
初期の脳卒中では、明らかなマヒとして現れない場合があります。
首の骨の椎間板が老化するなどで、指のしびれや手に力が入りにくいなどの症状が出る場合があります。
脳卒中や椎間板の老化などによるしびれや筋力低下は、治療やリハビリテーションで改善する可能性があります。

出典:国立循環器病研究センター 脳卒中が起こったら 初期症状(その1)

出典:頚椎症とは

⑦夜眠れないと言う、昼間ウトウトしていることが多い

加齢による変化の一つに、眠りの状態の変化があります。
体内時計が前倒しになったり、睡眠が浅くなるなど、眠りの質と量に変化がおこります。
そのため、高齢者は夜眠りにくくなったり、充分な睡眠がとれなくなりがちです。
夜に充分な睡眠がとれないと、昼間に活動する意欲が低下します。
それが、体力の低下や脳の刺激の減少につながります。

認知症の人に睡眠障害が起こることは、よく知られています。
眠れない状態が認知症になるリスクを高める、というアメリカの調査結果もあります。

高齢者は、仕事や家庭での役割が失われたり、家族や友人が亡くなるなどで、抑うつ状態になる可能性もあります。
抑うつ状態にみられる症状は、食欲低下や不眠です。

眠れないことは、抑うつ状態や認知症を疑うサインとも考えられます。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット 高齢者の睡眠

出典:ナショナルジオグラフィック日本版「第28回 認知症と睡眠の切っても切れない関係」

まとめ

加齢による心身の衰えは、現代の医学や科学で止められるワケではありません。
しかし、周囲の人が、高齢者のちょっとした変化を見逃さずに生活環境を改善することで、健康寿命が延びて要介護となる時期を遅らせることができます。

高齢者の状態で、介護のきっかけになりそうな点が見られたら、各自治体で開催されている介護予防や高齢者支援の活動に参加を促してみましょう。
筋力・体力アップの体操教室に通ったり、地域住民のためのサロンに出かけたりすることで、心身共に刺激をたくさん受けることができるでしょう。

病気や運動機能の障害などが疑われる場合は、医療機関に受診することも必要でしょう。