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高齢者がペットと幸せに暮らすために介護家族ができること

ミグノン:アイキャッチ

飼い主とともに年を重ねるペットたち。また、高齢者の寂しさを紛らわせるために、ペット飼育を考える介護家族の方もいるかもしれません。

大切な家族であるペットとの生活を、介護家族はどう支えるべきなのでしょうか。一般社団法人ランコントレ・ミグノンで代表を務める友森玲子さんに伺いました。

ペットとの生活の利点や、必要なサポートにはどんなものがあるのでしょうか?

増える高齢者からの相談

―まずはミグノンの活動について教えてください

行政で殺処分される動物を救いたいということで立ち上げた団体です。基本的に東京都の動物愛護相談センターから犬や猫、ウサギなどを受け入れて、付属の病院での治療やサロンでのトリミングをしたのちに、シェルターやボランティア家庭で保護。月に2回の譲渡会で譲渡をしています。

(画像出典元:一般社団法人ランコントレ・ミグノン/Facebook)

(画像出典元:一般社団法人ランコントレ・ミグノン/Facebook)

年間新規で保護をしているのは、大体300頭ほどです。

―元の飼い主や飼育の状況は把握されていますか?

個人情報保護の問題もあり、こちらでは把握していません。

ただし、飼えなくなってしまった飼い主からの電話相談も受け付けており、高齢者からの相談が年々増えてきています。印象としては、6~7割が高齢者からの相談です。

施設に入居するけれど動物を持ち込めないので困っているとか、施設に入らないけれど体調が悪くて犬の散歩ができず、犬がかわいそうなので手放したいというケースが多いです。

飼育破綻させないために必要なこと

―飼育破綻した動物の保護もしているそうですが、どんな状態になっていたら飼育破綻していると考えるといいでしょうか。また、高齢者が陥りやすい飼育破綻のケースを教えてください

高齢者は認知機能が低下しているので、若い飼い主よりもなにかと気づかないことが多くあります。

ご飯の量が適切ではなくて、健康なはずなのに痩せすぎていたり、逆に太りすぎていたり。犬の場合は、爪が伸び切って足の裏に刺さって血が出たり化膿したりしているのに気づかないこともあります。

―介護家族が気を付けるポイントはありますか?

マメに動物の全身を触ってあげてください。

動物病院といい関係を作るのも大切です。自分の生活の維持や家族の介護をしながらでは大変なので、年に1回か2回は何もなくても健康診断に連れていくと、「耳の掃除ができていないね」とか「ブラッシングしないと、皮膚病になっているよ」とか教えてくれます。

自分の体よりも子猫の心配をしたおばあさん

―高齢者からの相談で印象的なエピソードはありますか?

猫を飼っている高齢のおばあさんから、体調が悪くて立てないのでネコのえさもあげられず、「死んでしまうのではないかと心配なので、引き取ってほしい」という相談がありました。

通常であれば一般の方から直接引き取っていないので、譲渡会への参加を促すのですが、ご自身も立てないと言うので、「大丈夫ですか」と聞くと「昨日から食事を取っていない」とのこと。区役所への通報を考えて住所を伺うと、たまたまベテランのボランティアさんの隣のマンションだったため、様子を見に行ってもらうことにしました。

するとおばあさんは本当に立ち上がれない状態でしたので、低血糖と脱水を心配してゼリーを食べてもらい、娘さんに連絡を取ってもらいました。猫はまだ若くて元気いっぱいで、家中を荒らしまわっていたそうです。

その後、猫はまだ若くて純血種だったため、すぐに譲渡会で引き取り先が見つかりました。

そもそもその猫と言うのは、高齢で1人暮らしのお母さんが寂しくないようにと娘さんが連れてきたものでした。おばあさんが「世話ができないから連れて帰って」と言っても、娘さんのマンションはペット禁止なので無理だったそうです。

高齢者にとってはペットの飼育がプラスにならないこともあります。お世話自体が大変なので、十分なフォローができない場合は、負担をかけるだけになることもあります。

マメに様子を見に行ける距離だったり、基本的な世話をしてあげるけど、日中に寂しいだろうからペットを飼うということならいいのですが、丸投げして何かあっても引き取れないという状態では、却って高齢者を追い詰めてしまいます。

責任感の強い方が「自分のせいでペットがかわいそうだった」と、深く傷ついている姿も見てきました。

基本的に自己責任になる覚悟を

―急な入院や施設への入居などで、ペットを飼えなくなってしまったらどうするべきでしょうか? また、高齢者やその家族が後悔しないために、その時に向けて準備をしておいた方がいいことがあれば教えてください

基本的に自己責任になる覚悟が必要です。

世話をする場所がなければ長期のペットホテルに預けるか、老犬老猫ホームに預けて飼育や介護をするしかありません。

参考として犬猫の生涯養育費は猫で300万、大型犬で1000万と言われています。大きな病気をしたり、老犬老猫ホームに預ける場合にはさらに費用は掛かります。

高齢者の方が新しくペットを飼う場合には、費用負担や責任について、ご家族の方にもよく考えてもらう必要があります。

老犬老猫ホームにかかる費用

老犬老猫ホームに預ける際には、入居時に入居費用が掛かり、その後毎月もしくは毎年飼育や介護、治療費がかかります。

入居費用はおよそ10~50万円。その後、3~8万円が毎月発生します。この金額は犬と猫、そして犬のサイズによって違うのが一般的です。

高齢者がペットとの生活を続けるには

―高齢者がペットとの生活を続けるために、介護家族ができるサポートのコツやアドバイスがあれば教えてください

家族や周囲の人がより丁寧に、飼育状況を見てあげることが必要です。

高齢者にもワンちゃんを飼っているおかげで元気な方もいれば、ヨロヨロしながら一緒に散歩をしたりしている方もいます。自分の親を年寄り扱いしたくないものですが、認知機能が低下しているので、見た目がしっかりしていても、ちゃんと飼育できていないのではないかと疑ってください。

徘徊まで行っていなくても、疲れにくくなっているため、犬を連れ歩いてすごく遠くまで行ってしまうケースもあります。

お世話がだんだんと難しくなってくるので、朝ごはんをあげたり、散歩に行ったりするたびにチェックをつける、チェックリストを作っている人もいます。量りに「〇g」と書いておいたり。

後は体温調節です。夏なら28度、冬なら19度ぐらいで空調をつけておくか、ホットカーペットを利用してください。自分のためには空調を使いたがらなくても、「ペットのために」と言うと、使ってくれることもあります。

―高齢者にお勧めのグッズはありますか?

基本的にグッズは飼い主の利便性を考えていないものが多いのですが、高齢者は指先が動きにくくなっているので、首輪をベルトタイプからパッチンと留めるタイプにするといいと思います。

後は動物も年を取るとしゃがみにくくなるので、立ったままご飯やお水を口にできるように、台を用意してあげるといいでしょう。

▼ミグノン最高齢猫シャもちゃん

(画像出典元:一般社団法人ランコントレ・ミグノン/Facebook)

(画像出典元:一般社団法人ランコントレ・ミグノン/Facebook)

―ペットを飼育している高齢者、またその家族に向けてメッセージをお願いします

動物との生活は第2の子育てのようにとてもいい刺激になります。また、動物を介してご近所の方や家族とのコミュニケーションが生まれやすくなるので本当にいいことです。

いい面ばかりを見るのではなく、お世話が大変だったり、世話ができなくなった時にどうするかといったことをきちんと考えたうえで飼っていただけたらと思います。

【まとめ】高齢者とペットが幸せに暮らすために介護家族ができること

ペットの健康に目を配る

全身を触ってあげて変化に気づいたり、年に1、2回の健康診断についていきましょう。夏と冬には室温に気を付けるように声をかけてあげてください。空調を使用したがらない親に、エアコンを使ってもらう、いいきっかけにもなりそうですね

チェックリストを作る

ペットを飼育するために必要なことを、チェックリストにしておきましょう。ご飯の量を間違えないために、量りにメモをつけて置いたり、チェックリストを家族が後で見直したりといったケアも大切です

もしもに備える

もし高齢者が一時的もしくは長期的にペットを飼えなくなってしまったらどうするのかを、あらかじめ考えておきましょう。そのための費用の準備も必要です

「正しい情報が伝わる手伝いができれば」と今回ご協力してくれた友森さん。寂しさを紛らわせるために飼い始めたペットが、逆に高齢者の負担になってしまう可能性があるというのを、改めて考えさせられました。

「新しくペットを飼うのが難しくても、ボランティアとして動物たちと関わることができます」と、友森さんは語ります。動物好きな高齢者の社会参加として、動物保護活動のボランティアを勧めてみるのもよいですね。
>>高齢者に動物保護ボランティアがお勧めな理由