エンディングノートとは

エンディングノートとは

いつか迎える終末期や最期のときに向けて準備する「エンディングノート」。この記事では、エンディングノートに興味を持っている方や親に準備してほしいと考えている方のために、エンディングノートの役割やメリット、書くべき内容や書き方などについてまとめました。

 

エンディングノートとは

エンディングノートの役割とは

エンディングノートとは、いつか迎える最期のときに向けて、自分の希望や家族に伝えたいメッセージを記しておくノートのことです。終活の一環として、興味を持たれている方もいることでしょう。

終活を考えたときにまずするべきこととして、終活カウンセラーも「終活のイベントに行く」ことと「エンディングノートを書く」をあげています。

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エンディングノートの役割

エンディングノートには、どのような意義役割があるのかを見ていきましょう。

家族に自分の意思を伝えられる

それまで元気だった人でも、脳卒中や事故などが原因で急に意思疎通ができなくなることもあります。要介護度が進んだらどのように過ごしたいのか、延命は希望しているのか、葬儀や墓はどうしたいのかを書き記しておけば、家族の不安や精神的負担を減らすことができます。

本人の備忘録となる

それまでの人生を振り返り、思い出や人間関係について書いておくエンディングノートは、本人の備忘録としても役立ちます。 認知症を発症すると、考えをまとめられなかったり、家族に伝わるように書けなくなったりすることがあります。エンディングノートは、本人がまだ元気で意思能力がしっかりとしている時から準備してもらうようにしましょう。

残りの人生でやりたいことが見えてくる

それまでの人生を振り返ることで、人生でやり残したことや行きたい場所、会いたい人が明確になってくるでしょう。本人のやりたいことがはっきりすれば、家族もサポートしやすくなります。

家族への最期のラブレターとなる

家族に対して恥ずかしくて伝えられなかった思いを、書き記してもらうことで、大切な人を見送った後の家族の悲しみを和らげることができるかもしれません。 以前安心介護会員を対象に行った「介護の終わりで気になること」についてのアンケート調査でも、回答者本人ではなく家族の喪失感を気にしている人の声がありました。

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そんな家族の気持ちに、エンディングノートは寄り添ってくれるかもしれません。

遺言書との違い

エンディングノートには、財産や相続についての希望を書いておくことができます。しかし、あくまでも希望を伝えるための手段であり、遺言書と違って法的効力はありません。

遺言書とエンディングノートの記載が異なっていた場合、遺言書が優先されます。相続財産の分割の仕方などは、民法の規定よりも遺言書が優先されます。

「介護をしてくれた人に遺産を多めに渡したい」など、本人の希望が明確な場合には、トラブルを避けるためにも遺言書を書いてもらうようにしましょう。

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エンディングノートに書くこと

エンディングノートにはどんな内容を書くか

エンディングノートに何を書いておくかは、本人が自由に決めることができます。一般的にどのような内容を書いておくといいのかを見ていきましょう。

自分史やプロフィールについて

  • 学歴、職歴、思い出などの自分史
  • 趣味などのこだわりについて
  • それまでの人間関係について
  • マイナンバーなどの個人情報
  • もしもの時に知らせたい人や友人の連絡先 

 

など また、家系図もわかる範囲で書いてもらっておきましょう。

認知症の発症や進行予防に用いられているものに、回想法というものがあります。昔のなつかしい写真や音楽、思い出の品などを通して精神の安定をはかる方法です。エンディングノートに書かれた内容が、回想法で役立つかもしれません。また、エンディングノートを書くこと自体が認知症の予防につながるという考えもあります。

遺産や相続について

エンディングノートは、あくまでも希望を伝えるもので、法的な拘束力はありません。必要に応じて遺言書の用意が必要です。

どんな財産があるのかに加えて、遺言書、保険証書、通帳と印鑑などの貴重品の有無や保管場所を書いておきましょう。

趣味で集めたものなど、家族に価値が伝わらないものについても記しておき、形見分けの希望を書いておくと、残された家族も困りません。

葬儀やお墓について

宗教や宗派、葬儀の規模など、どんな葬儀やお墓を希望しているのかを書いておきましょう。出身地が離れている場合には、出身地のお墓に入りたいのか、家族が通いやすいお墓が良いのかなどを考えておく必要があります。

あらかじめ自分で葬儀社を選んだり、お墓を手配したりしておきたい方も多いことでしょう。エンディングノートを書くことで、自分の葬儀やお墓について考えるきっかけにもなります。

医療や介護について

要介護度が進んだ後や終末期、認知症になったらどうしたいのか、延命治療についてなどの希望を書いておきましょう。

特に家族間で意見が分かれることが多いのが、施設の入居や費用についてです。どんな状態になったら施設に入りたいのか、どんな施設が良いのか、費用はどうして欲しいのかという希望を書いておけば、家族のもめごとを避けることができるかもしれません。

また、延命治療をして欲しいのか、自然に任せるのか終末期の判断は残された家族にとって大変辛いため、本人の意志として残しておくと良いでしょう。

身の回りのことについて

PCやネット上の情報について(ブログやSNSなどの情報、PCデータの処分方法)について書いておきましょう。最近では、ネットバンクやネット証券、キャッシュレス決済などの利用が進み、遺族が把握しきれなくなることも多いので特に注意しておきましょう。

また、ペットを飼っている場合には、その譲り先やかかりつけの動物病院についてなどを書いておくと安心です。

家族や親しい人へのメッセージ

なかなか口にしづらい、感謝の言葉など、家族や友人へのメッセージを書いておきましょう。

エンディングノートという形式にとらわれず、動画や手紙などで残しておくのも良い方法です。

エンディングノートの入手方法

エンディングノートはどのように入手するか

 

エンディングノートを入手する方法はいくつかあります。

書店などで購入するのが一般的ですが、インターネットからテンプレートをダウンロードして使用したり、専用のWebサービスやアプリを使って記録したりという方法もあります。 

書店などで購入する

書店や文具店などで、ノートを購入して書き始めるといいでしょう。真っ白なノートでは、何を書いたらいいのかわからなくなってしまうので、市販されているエンディングノートがお勧めです。一般的な項目が網羅されているので、何を書いたらいいのかで悩みません。かわいいデザインにこだわったもの、高齢者が書きやすいデザインのものなど、さまざまなエンディングノートが市販されています。

自分のお気に入りで書きやすいものを選んでみて下さい。 

インターネットでダウンロードする

手書きで書くのよりもパソコンの方が使いやすいという人には、インターネットから書式をダウンロードして使用するといいでしょう。書式をプリントアウトして、手書きすることも可能です。

データが消えないようにバックアップをしておいたり、家族が必要な時にアクセスできるようにしたりといった工夫が必要です。

 

アプリを使う

スマートフォンを使用している方は、エンディングノートのアプリをダウンロードして利用することも可能です。無料のアプリもありますが、項目を追加するのに、課金が必要な場合があります。

スキマ時間に書くことができ、動画や画像の取り込みも簡単なことがメリットです。家族と共有できるアプリもあります。

ただし、データの消失やサービス終了によりアクセスできなくなる可能性もあるため、慎重な利用が必要です。

エンディングノートを完成させるコツ

エンディングノートを完成させるには

エンディングノートを書き初めたとしても筆が進まず完成できない事があります。そんな場合には、こんなコツを思い出してみてください。

  • 好きなところ書きやすいところから書く
  • 嫌なことを思い出したら筆を止める
  • あせらずにじっくりと時間をかけて完成させる
  • 付箋や鉛筆を使って気楽に書き進める
  • 豪華なノートではなく、手ごろなノートから書いてみる

一緒にエンディングノートを

元気なうちに書いたほうがいいものとはいえ、「エンディングノート書いておいて」と伝えたところで、面倒くさいと思われて書いてもらえなかったり、不機嫌になってしまったりすることがあるかもしれません。

誕生日などに「一緒に書こう」とプレゼントとして渡し、コミュニケーションのツールとして親子で楽しみながら完成させていくといいでしょう。 親も子も、肩の力を抜いて気楽にエンディングノートを書いてみてはいかがでしょうか。

まとめ

エンディングノートは、自分の人生を見つめなおし、より自分らしく残りの人生を過ごすため、そして人生の最期に向けて、自分の希望を伝えて家族の負担を軽減するために書くものです。

エンディングノートは市販されているもののほかに、インターネット上からダウンロードしたり、スマホのアプリを利用して書くことも可能です。エンディングノートに限らず、終活は本人にも家族にもメリットの大きいものです。

終活の第一歩として、エンディングノートを書いてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。この記事が、お手伝いできれば幸いです。

※この記事は2020年10月時点の情報で作成しています。

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監修者:小笹 美和

介護業界・区役所勤務経験を経て、相続コンサルタントに転身。
介護保険訪問調査員など高齢者との1,000件を超える面談実績を持つ。 高齢者にもわかりやすい説明とヒアリング力には定評があり介護にも 強い相続診断士として多くの相談を受けている。
終活や相続・介護と幅広い視野から話すセミナー講師として全国で活動をしている。