介護の終わりを迎え、葬儀を執り行う際に決めなくてはいけないのが「喪主」です。
喪主になると葬儀社や世話役と連携を取って、葬儀を執り行い、弔問を受け取ります。責任があるだけではなく、短期間でやらなくてはいけないことが多いため、睡眠時間がほとんどとれないこともあり、身体的・精神的な負担も大きな役目です。
喪主になる人
喪主になる人は、一般的に下記のような順位で決まります。
故人の配偶者→長男→次男以降の男子→長女→次女以降の女子→故人の親→故人のきょうだい
ただし、最近では男女に関係なく、故人と最も縁の深い子が任されることが増えています。
本来なら喪主となる人が、病気や若すぎるなどの理由で難しい場合には、親やきょうだいなど、他の人が代理となります。
代理とは言っても、葬儀や告別式だけではなく、その後の法事も中心となって執り行うのが一般的です。
施主とは
施主とは、葬儀費用を負担する責任者です。多くの場合は施主=喪主ですが、喪主が配偶者で施主が長男というケースも多いです。
喪主の役割
葬儀に関して、喪主の主な役割には以下のようなものがあります。
葬儀社の手配と打ち合わせ
葬儀社を手配し、日時・規模・内容を決め、葬儀の準備を進めます
僧侶の手配やおもてなし
菩提寺に連絡をして葬儀を依頼するか、葬儀社に紹介してもらいます。また、葬儀当日の出迎えやおもてなし、お布施の準備などをします
親戚や知人への連絡
葬儀の日程や会場が決まったら、親戚や知人に連絡をします
会葬者や弔問客の対応
具体的には祭壇の脇で、あいさつをうけます。故人に代わって会葬者・弔問客(遺族以外で葬儀にやってきた参列者)の弔問を受けるのは、喪主の大切な役割です
世話役代表を決める
世話役代表は喪主や遺族から依頼を受けて、受付係などの担当分けをしたり、葬儀全体を取り仕切る人です。葬儀の際には喪主に変わって出入り口で会葬者を出迎えたり、見送ったりして、喪主や遺族の負担を和らげます。
親族や遺族の友人、会社の上司や同僚などに依頼します。ただし、最近では世話役を決めないこともあり、その場合には葬儀社や葬祭場のスタッフがその役割を担うことがあります。
返礼品や料理などの手配
出棺前、精進落としなどでのあいさつ
喪主は会葬者一同に向けて、葬儀の中であいさつや謝辞をします
葬儀後の事務引継ぎや支払いなど
葬儀後に受付係や会計係、世話役代表などから帳面や会計などを引き継ぎ、整理をします。また、葬儀に関わる支払いなども行います
これらの役割に並行して、死亡届などの各種手続きも必要になります。遺族間でうまく手分けをしながら、喪主だけに負担がかからないようにしたいものです。
葬儀あいさつ
喪主になると葬儀あいさつをする機会が、何度かあります。あいさつを求められる場と、話す内容をまとめます。
お通夜でのあいさつ
・通夜振る舞いの前
焼香や生前のご厚意に関するお礼や、葬儀の日程の連絡、別室にお食事を用意してあることと故人の供養ために召し上がってほしい旨など
・通夜振る舞いの後
改めて弔問のお礼や残念ながら終了とすること、葬儀の日程の連絡と足を運んでほしい旨など
告別式終了後、出棺前のあいさつ
参列や生前にお世話になった人々へお礼、差し支えのない範囲での故人逝去までの経緯、故人への哀惜の念、故人の業績や人柄、生き様などのエピソードなど
精進落とし
・先立ってのあいさつ
参列者、僧侶へのお礼と葬儀が終わったことや葬儀中の心遣いへの感謝、ゆっくりと過ごしてほしいこと、今後ともお付き合いをしたい旨など
・献杯
葬儀終了のお礼、皆さんと思い出を語り合いたいこと、冥福を祈りたいことなどを簡潔にまとめ、控えめに「献杯」と唱和を促します
※喪主自身が行うこともあれば、縁の深い人が行うこともあります
・終了時のあいさつ
改めてのお礼と残念ながら精進落としを終える旨のあいさつ、法要日時の連絡や参列のお願いなど
あいさつの注意点とポイント
・あいさつの文例集はネットを検索するといくつか出てきます。それらを参考にしながら、故人らしい文例を作るといいでしょう。挨拶をするときには、メモを見ながらでも問題ありません。
・「重ね重ね」、「また」、「たびたび」、「ますます」という表現はNGです。
・通夜振る舞いや精進落としを終えるときには「お開き」という表現は使いません。もともと結婚式などのお祝いの席で「終了」という忌み言葉を避けるための表現ですので、葬儀・法事では避けたいところです。代わりに「むすび」、「閉じさせて頂く」などを使います。