「遺言書」とは、死後の財産や身分について書かれた法的な文書のことです。遺産の分割方法を指定することで、遺産に関する意思表示ができます。
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「金額が少ないから遺言書は必要ない」、「うちはもめないから大丈夫」、「口頭で伝えてあるから」と、遺言書の作成を考えていない人もいるかもしれませんが、たとえ金額が小さくても頭痛の種を残さないように、あらかじめ遺言書を書いてもらうようにお願いしておいた方がいいでしょう。
特にこんな人は遺言書を作成してもらうのがお勧めです。
・内縁の妻、前妻、婚外子などがいる人
・家業を経営している人
・きょうだいの中で介護などの負担が偏っている人
・疎遠な家族がいる人
・家族以外にも財産を渡したい人
・孫にも財産を与えたい人
遺言書に書くこと
遺言書で効力を発揮するのは以下の内容です。
・相続人の指定や排除について
・相続分や分割方法の指定について
・婚外子の認知や未成年の子の後見人について
・遺言執行者(遺産相続にかかる手続きをする人)の指定や委託
・遺産分割を禁止する期間の指定(最大5年まで)
逆に遺言書に書いても効力が発揮されない内容があります。「みんなで助け合って欲しい」、「お母さんをよろしく」などです。ただし、法的な効力はないものの、書いたところで遺言書全体が無効になるわけではありません。メッセージとして残す分には問題ありません
一方で遺言書全体が無効になるものがあります。それが共同遺言と呼ばれるものです。「私が先に死亡したら○○、妻が先に死亡したら△△……」という内容の遺言書を1枚にまとめることはできません。
遺言書の3つの種類
法的拘束力のある遺言書は、大きく分けて3つの種類があります。
自筆証書遺言
遺言する本人が、自分自身で遺言の内容や日付、氏名を記したうえで、押印したものです。
《メリット》
・すぐに書くことができ、何度も書き直しが可能
・費用が掛からない
・遺言書を作成したことを秘密にできる
《デメリット》
・基準は民法で細かく決められており、不備があると無効になることがある
・代筆や口述筆記によるもの、パソコンでの作成は無効
・相続人や相続分があいまいだと、無効になってしまうことや、争いや誤解が生まれてしまうことがある
・裁判所で検認(遺言の内容や形状を確認する手続き)が必要
・死後発見されない場合がある
公正証書遺言
公証役場で裁判官や検察、弁護士、司法書士など、公証人という立場の人に作成してもらう遺言書のことです。
《メリット》
・不備のために無効になることがない
・原本を公証役場で保管してくれるので、紛失することがない
・口述筆記なので、字が書けない状態の人でも遺言を残せる
・内容があいまいにならないので、争いや誤解が生まれにくい
・遺言についてのアドバイスをもらえる
・検認不要
《デメリット》
・内容を秘密にできない
・財産に応じた費用が掛かる(5,000円~)
・印鑑証明書など必要な書類をそろえる手間がかかる
・2人以上の証人が必要
秘密証書遺言
自分で書き、その存在を公証人に証明してもらう遺言書です。ただし、公証役場で保存するわけではなく、本人もしくは推定相続人、遺言執行者が保管します。
《メリット》
・公証人は遺言の内容を確認しないため、内容を秘密にできる
・代筆やパソコン、口述筆記でも可能
・本人が書いたこと、作成日を明確にできる
《デメリット》
・基準は民法で細かく決められており、不備があると無効になることがある
・相続人や相続分があいまいだと、無効になってしまうことや、争いや誤解が生まれてしまうことがある
・裁判所で検認(遺言の内容や形状を確認する手続き)が必要
・2人以上の証人が必要
・手数料が1万1,000円かかる
・紛失の危険性がある
3つの種類があるものの、「秘密証書遺言」にはメリットはあまりなく、費用や手間がかかっても確実なものを望むのであれば「公正証書遺言」を作成してもらうのがいいでしょう。
撤回や変更について
撤回については、自筆証書遺言であれば前回のものを破棄するだけです。公証役場で保管されているものは破棄できないので、撤回の意思を書いた遺言書や新しい遺言書の作成が必要です。
日付の新しい遺言書が優先され、新しい日付の遺言書に変更点だけが書かれている場合、そのほかの部分は日付の古いものが有効となります。
撤回や変更についても基準が定められています。公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回、変更しても無効になってしまったり、争いや誤解が生まれたりすることがあるので避けてもらった方がいいでしょう。
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