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【H.C.R.2015取材速報】 富士重工業株式会社・福祉車両と介護の可能性[PR]

富士重工業株式会社
~主要な車種を福祉車両にできる~

「レガシィ」や「レヴォーグ」といった人気車種を取り揃えているスバルでは、独自のコンセプトで福祉車両を提案しています。それは、どのような考えにもとづいたものなのか? マーケティング推進部の金子俊介さんにお聞きしました。

まず好きな車を選び機能を追加、微妙な調整も実現

―まず、どのような福祉車両を扱っているのですか。

金子 主に個人向けの福祉車両を扱っています。障がいをお持ちの方も含めて、スバルの車が好きで乗ってみたい、という全てのお客様に安心と楽しさを提供したいと考えています。

―福祉車両について独自の考え方があるということですが。

金子 はい。福祉車両は、すでに専用シートなどが組み込まれた車の中から選ぶ形が一般的だと思いますが、スバルでは違います。スバルの福祉車両は、主要な車種に電動昇降シートを取り付けられるラインナップになっています。

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乗りたい車を福祉車両に。もちろん「レガシィ」も

―なるほど。具体的にはどういう選び方になりますか。

金子 電動シートがあるからこの車種を選ぶ、というのではなく、まずドライバーが好きな車を選択し、介護が必要な方がいる場合は、電動昇降シートを選択する。スバルではそういう選び方ができます。今回、展示している安全性能を詰め込んだ「レヴォーグ」や、今年(2015年)10月に発売した新型「レガシィ」も電動昇降シートが選択できます。

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デザインが好き、走りが好き、という理由を第一に福祉車両を選べる

―しかしどの車両も、それぞれ大きさやドアの広さが異なるのでは。

金子 確かにそうです。電動昇降シートは統一規格ですが、デザインは車種ごとに違うので電動シートの軌跡を調整する必要があります。関連会社に依頼し、シートの出方や高さなど全てをチューニングしています。

―かなり難しい作業なのではないでしょうか。

金子 そうかもしれません。とくに最近の車種はスタイルもこだわっており、フロントガラスの付け根の角度が低くなっています。そのため細心の注意を払い微調整しています。例えば、この電動シートは回転すると同時に背もたれがリクライニングを開始し、昇降しながらドア開口部をくぐるという非常に微妙な動きを実現しています。これを車種ごとに全てアレンジしています。

―確かに、複雑だけれども滑らかな動きですね。ドアや内装なども調整しているのですか。

金子 工場から車を出荷直後にドアヒンジを交換しドアの開きを大きくしたり、車内の収納ボックスの位置の修正などもします。このような微妙な調整も、取り付ける車種を知り尽くしている関連会社だからこそ実現できるんです。

福祉車両が「当たり前」の装置の1つになることを願って

―今回のH.C.R.の展示で、来場者の方々の反応や手応えはいかがですか。

金子 障がいをお持ちの方はもちろん、多くの方に試乗していただいています。介護を勉強している学生の方から「こういう車は初めてです」という声をいただきました。多くの方に私達の福祉車両を知っていただける手応えを強く感じています。

―福祉車両のこれからの展望をお聞かせください。

金子 超高齢社会を迎え、福祉車両の販売台数も増えています。福祉車両が当たり前のものとして認知され、エアバッグやABSといった装置の1つとして受け止められる、そんな環境になって欲しいと願っています。

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「レヴォーグ」の助手席電動シートと金子俊介さん

スタイルや性能で選ぶことができ、さらに微妙な調整もできて設備が整う、というスバルの福祉車両を目の当たりにしました。ドライバーの好みと、介護を受ける方の利便が一致した「普通の車」が日常的に街を走り抜けていく、そんな未来が近づきつつあると感じました。

H.C.R.2015
出展した自動車メーカー各社にお話を聞いて……

福祉車両は、開発者の想いや、その環境の周辺を取り巻く多くの方々の努力によって、少しずつ変貌を遂げてきました。そして、その進化は、社会に大きく影響を与えるまでになってきています。超高齢社会が進展する中「出かける」ことへの制限をなくそう、楽しくしようという想い。それは、介護を受ける方々の行動を広げ、介護をする方々の認識も変えつつあります。

今回、H.C.R.2015に集まった福祉車両の1つ1つの工夫やアイディア、そして、それを実現する技術と心。国内自動車メーカー各社の展示とインタビューから伝わってきたのは、さらに多くの人々の意識を変えることを期待させてくれるパワーでした。それは、やがて、社会全体の価値観さえ「全ての人の移動の喜び」を強く意識し、尊重するものへと進化させていくのでしょう。

福祉車両と介護の可能性  ~前年のH.C.R.イベントに関連して~

「H.C.R.2015」のレポートは、お楽しみいただけたでしょうか。各メーカーの最新技術について知っていただけたのではないかと思います。今回の「速報」と関連して、福祉車両と介護の可能性を感じてもらえるご意見をいただいてきました。

前年の同展示会「H.C.R.2014」で、広報イベント「快適に!体に得するワザ教えます!!」(日本自動車工業会)が開催され、そこで講師をつとめてくださったのが、岡田慎一郎さんです。

岡田さんは「古武術介護」を提唱されています。介護において「合理的な体の動かし方」ができる古武術の動きを取り入れる、というのが古武術介護。前年のイベントでは、少ない力で人を移動させることができる実技に、参加者の方々も感心しきりでした。そんな岡田さんに聞く「介護と福祉車両」とは……。


―「古武術介護」の動きを利用すると、福祉車両にご家族や患者さんを乗せやすくなるのでしょうか。

岡田 一般的に福祉車両への乗り降りの介護を見ると、残念ながら力任せに行っている方が少なくありません。それに対して、古武術介護は「筋力に頼らず、身体に負担をかけない」効率的な動きを引き出す介護技術です。そのため、取り組みを重ねるうちに、介護を受ける方、行う方、双方にやさしい介護が行えるようになっていきます。

―福祉車両についてどうお考えですか。

岡田 福祉車両とは高齢者や障がいのある方だけが使う特別なものではなく、今後の車の価値観を具体的に示している「先駆け」だと思います。年齢性別を問わず、誰もが使いやすい「ユニバーサルデザイン」の車へ進化する際の重要な取り組みを福祉車両は担っているのではないでしょうか。そして、利用する私たちも、介護現場の視点からさらに使いやすい福祉車両となるように、さまざまな提案をすべきだと考えています。

より合理的な介護を広める活動をされている岡田さんに、福祉車両のこれからの方向性について、ご意見をうかがうことができました。福祉車両が特別ではなく、普通に、当たり前になる未来は、着実に近づいています。

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岡田慎一郎
理学療法士、介護福祉士、介護支援専門員
古武術の身体運用を参考にして介助の負担を減らす「古武術介護」を提唱し、講演、執筆、企業アドバイザーなど幅広く活動している。ユーキャン通信講座「古武術介護講座」、NHK通信講座「古武術式カラダ使いこなし入門」の監修、株式会社JTBベネフィットのアドバイザーを務める。
『古武術介護入門』『古武術介護実践編』(医学書院)、『家族のための介護入門』(PHP研究所)、『介護福祉士実技試験合格ガイド』(晶文社)など著書多数。