【H.C.R.2015取材速報】 トヨタ自動車株式会社・ダイハツ工業株式会社[PR]

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トヨタ自動車株式会社
~回転チルトシートで乗り降りがさらに楽に~

福祉車両において圧倒的なバリエーションと、きめの細かいサービスを誇るトヨタ自動車。今回も利用しやすさを追求した新しい技術が導入され、さらに進化を遂げています。トヨタ車両企画室ウェルキャブグループ長の大野修一さんへのインタビューで、詳細をお聞きしました。

豊富なラインナップと最新技術「回転チルトシート」

―トヨタの福祉車両には、どのくらいの種類があるのですか。

大野 28車種、55タイプの豊富なラインナップを取り揃えています。法人向けの「ハイエース 車いす仕様車(リフトタイプ)」から、車いすが2台乗せられる「エスクァイア スロープタイプ」、リクライニング車いすやストレッチャーの搭載も可能になった「新型シエンタ スロープタイプ」、コンパクト車に取り付けられた助手席回転チルトシート車など、数多くご用意しています。

―その中でも、一番の見どころはどういう点でしょうか。

大野 今回はフルモデルチェンジした「新型シエンタ」と「ポルテ」、「スペイド」に「回転チルトシート」を搭載しました。このシートは回転して向きを変えた後に、わずかにシートが前へ傾く(tilt:チルト)仕組みになっています。

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「回転チルトシート」を備えた「ポルテ」

―傾くシートを導入された理由を教えてください。

大野 従来の電動リフトアップシートは、シートが下まで降りるとお尻の位置が低くなり、乗り降りの際に腿の筋肉を多く使うため、足腰の不自由な方にはつらい面がありました。しかし、回転チルトシートはお尻の位置を高く保て、わずかに傾きますので、膝の角度が緩やかになり、足が地面について自然な体重移動でスムーズに立ち上がることができます。

―(実際に試乗し)これは本当に楽ですね。足や腰に負担がかかりません。

大野 また、手動操作によりシートの動作も速くなっています。従来の電動シートですと、雨降りの際には時間が掛かりシートやお体が濡れる場合がありました。しかし回転チルトシートでは、室内へのシートの格納が素早く完了します。しかもシート本体の車体の外へ出る部分が非常に少ないため、シート自体が雨に濡れませんし、一般の駐車場でもご利用が可能になっています。

細部にまで及ぶ気遣いを技術に発展させる

―ほかにも特徴的な車両について教えてください。

大野 「新型シエンタ」に、車いす仕様のスロープタイプをご用意しました。この車はコンパクトサイズながらフロアのフラット化により、リクライニングする大型の車いすを搭載する事ができます。市場に出回っている約9割の車いすを乗せられるようになりました。また、助手席を前へ折りたためる仕様もご用意し、1.5列目までシートを固定することができます。その結果、運転席からも手が届きますので、緊急の場合でもドライバーがすぐに車いすの方をサポートできます。

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「シエンタ」の「1.5列目」にチルトダウン車いすを乗せた状態

―車両本体以外での試みについてお聞かせください。

大野 「ウェルチェア」というオリジナルの車いすも開発しています。背もたれを傾け重心を下げることで体重を背中や腰に分散し、お尻の前滑りや上半身の横揺れを防ぎます。その結果、長距離の移動でも酔いにくく、また車いすの方が同乗者と同じ目線で会話できるようになりました。

―車に乗る際に便利なアイテムもあるそうですね。

大野 新しい試みとして「フレンドリー用品」というものをご用意しました。座席での横揺れを防ぐサイドサポートパッドや、つり革タイプのアシストグリップなどお出かけをサポートするアイテムを多く取り揃えております。これらは標準車とウェルキャブの隙間を埋めるもので、価格も比較的安く、販売店で手軽に装着できます。

―非常に細かい点まで工夫されているんですね。

大野 お客様のニーズはお体の状態やご家族の構成、年齢などによってさまざまです。課題を克服するにも、答えは1つではありません。お客様がどういった不便さを感じておられるのか、実際に目で見て確かめ、ニーズの隙間を1つ1つ埋めていくよう継続的に改良を重ねていきたいと考えています。

独創的なアイディアを考案し、それを形にし、細部に至るまで車両やアイテムにも反映させていると感じました。多くの方の支持を集める理由、きめの細かいサービスを見せていただきました。

ダイハツ工業株式会社
~軽自動車だからできる身近な福祉車両~

最も身近な車といわれる軽自動車をベースに多くの福祉車両を造り続けてきたダイハツ。今回、さらに使いやすくなった福祉車両を展示しているということで、ダイハツ特装車両室の開発担当の大和誠歩さんと、企画担当の田中優也さんにお話を聞きました。

福祉機能の進化とベース車の長所で相乗効果

―今回はどのような車両を展示されているのでしょうか。

田中 車いす移動車で4車種、昇降シート車は2車種展示しています。中でも人気が高いのは、スロープ式で車いすが乗車可能な「タント スローパー」です。また、回転昇降シートを装備した「タント ウェルカムシート」も多くのご支持を得ています。ダイハツは軽自動車トップブランドとして福祉車両についても豊富なバリエーションをご用意しています。

―「タント スローパー」の特徴を教えてください。

大和 最大の魅力は介助のしやすい大開口です。助手席のドアと後部のスライドドアを合わせた「ミラクルオープンドア」の開口幅は、1,490mmもあります。助手席のシートも最大380mm前へ滑らかに移動でき、後部の車いすの方を介助しやすくなっています。頭上のスペースも広く、車いすの方もドライブ中、ゆったりとくつろげます。

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「タント スローパー」の「ミラクルオープンドア」は開口幅1,490mm

―確かに、とても広いですね。スロープの長さはどれくらいですか。

田中 スロープ突出長が1,115mmと短いため狭いスペースでの車いすの乗り降りが可能です。また、スロープを片手で簡単に引き出し、電動ウインチで乗車できます。手すりも回転式で簡単に向きを変えられます。またヘッドレストを外さず簡単にリヤシートの折りたたみができ、車いすを使用しない場合は、折りたたんだリヤシートを戻すことで大人4人がゆったり座れます。

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軽自動車タントの魅力を語ってくれた大和誠歩さん

気軽に乗ってほしい願いがこもった、やさしい技術

―ウェルカムシートとは、どのようなものでしょうか。

大和 ウェルカムシートとは長時間のドライブでも疲れにくい専用の回転昇降シートで、とくに足が曲がりにくく足元のスペースを必要とする方でも乗車いただけます。電動でシートが後ろへ下がり車体の外側へ回転し、大開口のミラクルオープンドアの中央から降下することができます。軽自動車ではダイハツだけの技術です。

―(実際の動きを見て)まさに「おもてなし」のアイディアですね。このような個性的な回転昇降シートは、ほかの車種にもあるのでしょうか。

田中 「ムーヴ」にも回転昇降シートを採用しています。こちらも助手席が電動で左側に90度回転し昇降するのですが、車外へスライドしてわずかに前傾し、乗り降りをサポートしてくれます。動きもスムーズで、経路を短縮したため昇降時間も15~20秒と短くてすみ、しかも車体からの突出量が少ないので、狭いスペースでも介助できます。雨の日でも、あまり濡れずにすみます。低価格でお求めやすくなっていますので、高機能にこだわらない方や素早く介助したい方にはおすすめです。

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低価格が魅力の「ムーヴ」の回転昇降シート

―法人ニーズが高い車両もあるのでしょうか。

大野 「アトレー/ハイゼット スローパー」は介護施設など法人ニーズの高い車両です。エンジンがフロントシートの下に配置されていますので室内長が長く、軽自動車では最大級のスペースで、リクライニングタイプや大型の車いすでも乗車可能なことが強みです。介護タクシーとしても幅広くご利用いただいています。

―福祉車両に関して、どのような車造りを目指しているのでしょうか。

大和 ダイハツは軽自動車がメインですので、より身近で、さりげないやさしさを持った使いやすい車として、法人の方だけでなく個人の方にも気軽に乗っていただければと思います。福祉車両が標準車のグレードの1つとして、オプションのような感覚で、より多くのお客様に選んでいただける、そんな車造りができたらと考えております。

低価格で購入しやすく、使いやすい軽自動車に、ふんだんに盛り込まれた新しい技術やアイディアを見ることができました。標準車と変わらない、さりげないやさしさを実感できる福祉車両の技術の進化に期待が持てました。

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