日清オイリオグループ株式会社 「トロミアップパーフェクト」 何にでもとろみを[PR]

日清オイリオグループ株式会社 「トロミアップパーフェクト」  何にでもとろみを[PR]

今回は「やわらか食」の基準であるユニバーサルデザインフード(UDF)の中の「とろみ調整食品」についてのお話です。
UDFでは「区分1~4」とは別に、飲食物にとろみをつける「とろみ調整食品」の基準も設けられています。
インタビューにうかがったのは、食用油の「キャノーラ油」や「ヘルシーリセッタ」などを製造している日清オイリオグループ株式会社。実は日本で最初に「とろみ調整食品」を開発したパイオニアでもあります。「とろみ調整食品」のトップシェア商品「トロミアップパーフェクト」について、健医食営業部の新島英実さんと、商品戦略部の佐藤明美さんにお話を聞きました。

 

介護現場の要望で日本初の「とろみ調整食品」開発、現在も進化中

―ユニバーサルデザインフード(UDF)を手掛けるようになった経緯をお聞かせください。

新島 1990年前後から医薬品事業を展開し、食と医療との両輪で進めてまいりました。その中間の領域として介護分野の需要が高まっているという認識のもと「とろみ調整食品」を手掛けるようになりました。

―開発が始まったのはいつですか。

佐藤 介護食研究は1989年に開始しました。最初に大豆の加工技術をもとにしたタンパク質調整豆腐風食品「シルキー」を開発し、その後、栄養士さんから「インスタントで作れる煮こごりのような商品が欲しい」というご要望をいただきました。
それまで病院で行われていた片栗粉を使ってとろみをつける方法だと、加熱して溶かすなど手間が掛かり、粘度が安定するのに時間がかかっていました。そのため混ぜるだけでとろみがつく「トロミアップ」を1991年に日本で初めて開発しました。

―それから、どのような商品を展開されたのですか。

新島 「トロミアップ」の改良を重ね「トロミアップエース」や「トロミアップV」などを手掛けてまいりました。そして2005年に「トロミアップパーフェクト」の原型を開発しました。「トロミアップパーフェクト」自体の、さらに品質を高めるためのリニューアルも繰り返して現在に至っています。

f:id:ansinkaigo:20200602163108p:plainf:id:ansinkaigo:20200602163121p:plain



〈左〉佐藤明美 日清オイリオグループ株式会社 食品事業本部 商品戦略部 健医食グループ 主管
〈右〉新島英実 日清オイリオグループ株式会社 健医食営業部 営業グループ リーダー

無味無臭、無色透明、「むせない」だけではないメリット

―そもそも「とろみ」がどのような役割を果たすのかご説明ください。

新島 飲食物を飲み込む際には、一方で喉頭蓋(喉の前部にある弁のようなもの)が閉まり、一方で食道が開いて、そこから胃へ流れていきます。これを嚥下反射というのですが、飲み込むのが難しくなった方は、早く流れる液体だと喉頭蓋の閉まるタイミングが遅れて、気道に流れ込みむせてしまいます。液体にとろみをつけ、ゆっくり流れるようにすると、タイミングよく蓋が閉まるため無理なく飲み込めます。

―だから、とろみが必要なんですね。では「トロミアップパーフェクト」の特徴を教えてください。

佐藤 こちらは、冷たい飲み物でも簡単にお好みのとろみがつけられる商品です。溶解・分散性に優れているので、とろみがつくまでの時間が早く、ダマになりにくいのが特徴です。
従来の製品はデンプンを使用しており、白く濁ったり特有の風味が混じったり、口の中がベタついたりしていたのですが「トロミアップパーフェクト」では主にキサンタンガムと呼ばれる増粘多糖類を使用することで無色透明、無味無臭を実現し、べたつき感も少なくなりました。


f:id:ansinkaigo:20200602163108p:plain

 研究・開発の技術的なお話も丁寧に分かりやすく教えてくれる佐藤明美さん

 

一度、とろみをつけたら粘度が安定、誤嚥リスクを回避

―使い方を教えていただけますか。

佐藤 お茶や水に入れてよく混ぜれば、30秒ほどでとろみがつきます。このスピードは業界でもトップクラスになります。施設や病院、そして在宅でも介護する方には常にスピードが求められてきました。
例えば病院では多くの患者さんがいらっしゃいますから、時間がかかると1日にお世話できる人数も限られてしまいます。そのため30秒という速さと粘度の安定性が大きなポイントになります。

 

―なぜ、安定性が必要なのでしょうか。

新島 これまでの製品では、時間の経過とともに固くなってしまっていました。飲み込むのが苦手な方は、その分食事にも時間が掛かります。食べ始めたときと、食事の後半とでとろみ具合が異なると、誤嚥のリスクが生じます。食べ物が肺に入り、炎症を起こして誤嚥性肺炎にかかってしまう場合もあります。
だから粘度が変化せず、安定することが必要になります。「トロミアップパーフェクト」は凍らせてから解凍しても、同じ粘度が持続します。

対象を選ばず食べ物、飲み物にとろみをつけられる幅広さ

―水やお茶のほかに、どのようなものに利用できますか。

佐藤 スポーツドリンクにもお使いいただけますので夏の水分補給などに便利です。お味噌汁やコンソメスープ、牛乳、濃厚流動食でもご利用いただけます。これまでタンパク質が多い飲料には、とろみをつけるのが難しいとされてきました。とろみは増粘多糖類が水分に反応し、膨張して生じるのですが、タンパク質が多いものは水分も少なく、塩分やイオンが含まれているとそれが邪魔してしまいます。そのためタンパク質に反応する専用の商品もあるのですが「トロミアップパーフェクト」なら、牛乳などにもしっかりとろみがつけられます。

―利用範囲が広く便利ですね。

新島 「トロミアップパーフェクト」の大きな特徴です。対象の飲食物を選ばず、多くの飲料や料理に使えます。ミキサーにかけたお食事に利用されている方もいらっしゃいます。また、パサパサとした料理にあんかけソースとしてのせるだけで、非常に食べやすくなります。
在宅でご家族と一緒にお召し上がりになる際も、嚥下障害の方だけに特別なメニューを作ることなく、皆さんと同じ食事が楽しめます。

―利用されている方からは、どんな感想や声が届きますか。

新島 とても便利、と喜んでいただいています。とろみの「再調整」が簡単にできること、少ない量でしっかりとろみがつくことなども評価していただいています。
さらに、「お勧め」すべきことではないかもしれませんが、お酒にとろみをつけて喜んでいただいた、というお話もあります。嚥下障害で長い間、お酒を諦めていた方がとろみをつけることで飲めるようになり、うれしさで涙を流された、ということをお聞きしています。


f:id:ansinkaigo:20200602163121p:plain

知識・経験を生かし責任を持って商品を届ける強い想いを語る新島英実さん

 

責任を持って研究を続け安全・品質管理、QOL改善の力になる

―幅広く使えるので利用者の方のエピソードも多様ですね。では、開発で最も大変だった点はなんでしょうか?

佐藤 やはり加熱せずにとろみがつく原料を探すことが、最も苦労した点ですね。また原料を集めたとしても組み合わせによっては、物性や付着性、安定性も時間とともに少しずつ変化していきます。とろみのつく速度が遅すぎたり、とろみが強すぎたり弱すぎたり。
さらに透明感や味といった要素も調整しなければなりません。そのため理想的な形を求めて、何度も試行錯誤を繰り返しました。また現在も研究を続け、次の製品開発も進めております。

 

―「とろみ調整食品」というものを作るうえでの想いを聞かせてください。

新島 私達は日本で最初に「とろみ調整食品」を作り上げたメーカーとして長年の経験や知識を生かし、しっかりとした体制で安全性と品質を維持していきたいと考えています。それがメーカーの責任だと思っております。

―利用者の方、商品を検討している方へのメッセージをお願いします。

新島 飲み込む力が弱くなると、口から食べることができなくなってしまいます。胃に管を通して飲食物を摂る「胃ろう」という方法もありますが、味や香り、食べる喜びを感じていただくという意味では「口から食べる」ということができれば、それが大事だと考えています。
とろみをつけることで食べやすくなる、食べられるようになるということで、お客様には商品を「元気になるきっかけ」にしていただきたいと思っています。元気がつくことで病気などの克服につながり、お使いいただく方の人生がより豊かになれば、と希望しています。
このような商品をお使いになったことのない方にも、ぜひ一度、お試しいただき、その方に最適の使い方で、QOL(生活の質)改善にお役立ていただきたいと思います。

飲み込むのが苦手な方、飲み込む力が弱くなった方にとって「とろみ調整食品」は生命線ともいえるものではないか、とお話を聞いて感じました。「食べられない・飲めない」状態を「食べられる・飲める」ように、そして「食べやすく・飲みやすく」する。そのために惜しみない努力が続いていることを教えていただきました。

UDFでは「とろみ調整食品」のとろみの強さを4段階のイメージで表現しています(注:商品により3段階の場合も)。商品パッケージの表示を見れば、とろみの強さと使用量のめやすがすぐにわかるようになっています。利用のしやすさで、介護を助ける商品です。