トイレが間に合わない!トイレの失敗が続く時の対策方法

 

トイレが間に合わない!トイレの失敗が続くときの対策方法

認知症や身体機能の低下によって、トイレまで間に合わずに失敗してしまうことがあります。この記事では、トイレに間に合わない原因やトイレの失敗を無くす方法をまとめました。トイレの失敗に悩んでいる方は、オムツに切り替える前にぜひ参考にしてみてください。

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トイレまで間に合わない原因

トイレまで間に合わない原因



トイレまで間に合わずに失禁してしまった…。こんな失敗が続いてしまうと、本人の自尊心は傷つきます。また、片づけをする介護家族にとっても、排泄物で汚染された洋服や部屋の片づけは大きなストレスです。

本人にも家族にも負担が大きいこうした失敗は、何が原因で起こるのでしょうか。

認知症によるもの

認知症によって尿意や便意が訴えられなかったり、トイレの場所が分からなくなってしまったりすることがあります。心当たりのある方は、神経内科や精神科などを受診してください。

その人に合った適切な対策方法を見つけることで、トイレの失敗を減らすことが可能です。

身体機能の低下によるもの

筋力や膀胱・尿道の機能の低下などによって、トイレまで間に合わなくなることがあります。急に強い尿意を感じて我慢できずに漏らしてしまう「切迫性尿失禁」は、高齢者に多くみられる失禁です。女性の場合には、くしゃみや咳などでお腹に力が入った時に少量の尿が漏れてしまう「腹圧性尿失禁」が多くみられます。

いずれの場合も、治療の必要な病気が隠れている可能性があります。泌尿器科などで診察を受けるようにしましょう。

トイレに行きたい時のサインとは

トイレに行きたい時のサインとは



尿意や便意を訴えられない認知症の方でも、「トイレに行きたい」というサインを出していることがあります。日々の動作や仕草を観察してトイレのサインを察知できれば、漏らしてしまう前にトイレに連れて行くことができます。

次のような行動が見られたら、それはトイレのサインかもしれません。

そわそわしている

トイレに行きたい時のサイン:そわそわしている

目が泳いでいる

トイレに行きたい時のサイン:目が泳いでいる

何か言いたそうにしている

トイレに行きたい時のサイン:何か言いたそうにしている

トイレまで間に合わせる対策

トイレまで間に合わせる対策



トイレまで間に合わせる方法には、次のようなものがあります。

排泄の周期を把握する

1日のうち、トイレに行く回数や間隔はだいたい決まっているものです。まずは数日間メモを取り、「朝食後すぐ」「おやつの時間ぐらい」など、排泄のタイミングの傾向を把握することが大切です。

早めに声をかける

トイレに間に合わせる対策:早めに声をかける

排泄の傾向が分かったら、パターンに合わせて早めにトイレに誘導するようにしましょう。 排尿の場合には、尿意がなくても出る場合がありますが、排便の場合は便意がないと排泄できません。排便周期をつかむのは難しいものですが、定期的に誘導してみて排便周期を作っていくといいでしょう。

下剤を服用しているのに排便周期がつかめない場合には、一度かかりつけ医に相談してみましょう。

トイレへの動線を見直す

トイレまでは行きやすくてわかりやすく、安全でしょうか。こんな点に気を付けてトイレへの動線を見直してみましょう。

●移動しやすい環境を整える

トイレまでの動線に手すりをつけると伝い歩きができるので、転倒のリスクが減りますし、スムーズにトイレまで移動できるようになります。途中に荷物などの障害物を置かないように気を付けましょう。

また、夜間は廊下の電気をつけておくといいでしょう。

トイレの場所を忘れたり勘違いしたり

●トイレの場所はわかりやすいか

して間に合わない場合は、トイレに大きく「トイレ」と書いた紙を貼ったり、居室からトイレへまで矢印を書いた紙を貼って誘導しましょう。

下ろしやすい下着やズボンにする

ズボンや下着を下ろすのに時間がかかってしまい、結局は漏らしてしまうという方には、ウエストがゴム状になっていて上げ下げしやすいものに変更しましょう。また、ズボンを下ろす間につかまれる手すりを、トイレ内に設置すると便利です。

ズボンの下ろし方がわからない方には、トイレの外から声をかけてみてください。それでも無理なようであれば手を貸しましょう

さらに安心したい時の介護用品

さらに安心したい時の介護用品

トイレまで間に合わないことが続いてしまうと、自信を失ってしまったり、尿や便汚染によって皮膚の状態が悪くなったりしてしまいます。だからといって、安易におむつに切り替えてしまうと、本人の意欲や機能の低下につながる可能性があります。

トイレでの排泄は継続しながら、家族が家にいない時間帯や夜間、外出時には次のような介護用品をお守り代わりに利用してみてもいいでしょう。

リハビリパンツ

汚れたら捨てられるパンツ型の大人用紙おむつです。テープ式のものとは違い、パンツのように上げ下ろしができるので、トイレに行くときにも着脱しやすいのが特徴です。

パッド

おむつや布パンツとあわせて着用するものです。1、2回分の尿を吸収するコンパクトなものから、10回分まで吸収できるものまであります。

汚れたらパッドだけ交換できるので、リハビリパンツよりも経済的です。

失禁パンツ

使い捨てのリハビリパンツやパッドとは違い、洗ってまた使えるパンツです。中にパッドが付いていますが、外から見ると普通のパンツと見分けがつきません。

ポータブルトイレ

夜間や急な尿意・便意をもよおした時のために、ポータブルトイレをベッドの横に設置しておくのもよい方法です。トイレに間に合わないかもしれないという不安を軽減することができます。

特定福祉用具として介護保険が適用されるので、原則1割(所得に応じて2割または3割)の自己負担で購入が可能です。レンタルはありません。

まとめ

認知症の影響で尿意や便意を訴えられなくなってしまったり、トイレの場所がわからずに失禁してしまったりすることがあります。また、身体機能の低下によって、トイレまで間に合わなくなってしまうことも珍しいことではありません。

排泄のパターンをつかんでトイレに誘導する、トイレに行きたい時のサインを見つける、脱ぎ着しやすいズボンや下着に変える、トイレに行きやすいように環境を整える…など、その人にあった適切な対応方法を見つけて、トイレの失敗を減らしていきましょう。

安易に大人用紙おむつに切り替えるのは避けたいものですが、夜間や家族が長時間介助できない時、または外出時には、大人用紙おむつやポータブルトイレの使用を検討してみてください。

また、泌尿器科などを受診して、治療が必要な病気が隠れていないかを確認することも大切です。

※この記事は2020年3月時点の情報で作成しています。

監修者:鵜沢静香
監修者:鵜沢静香

訪問介護事業所職員、福祉用具専門相談員。2015年から安心介護に関わっており、お話を伺った介護家族や介護職員の影響で介護職員初任者研修を取得し、訪問介護の仕事をスタートしました。2022年には介護福祉士、認知症ケア専門士の資格を取得し、自宅で介護をされる人・介護をする人、どちらも大切にしながら訪問介護の仕事を続けています。