高齢者が寝たきりになる原因として最も多いのが、動脈硬化などで引き起こされる脳血管疾患です。そして次に多い原因が、転倒による大腿骨の骨折だと言われています。これを予防するのが「 ヒッププロテクター 」です。
寝たきりになった高齢者には介護が必要となり、本人はもちろんのこと、家族にとっても負担となるでしょう。そのため、高齢になっても健康で自立した生活が営めるように、健康寿命の引き延ばしが迫られています。
ここでは、寝たきりを予防するのに役立つ「ヒッププロテクター」について、詳しくご紹介しましょう。
ヒッププロテクターとは
股関節の外側の大転子部を打ち付けてしまい、骨折する高齢者が多く見られます。ヒッププロテクターは、大転子部の骨折を防ぐため、衝撃吸収パッドなどで腰回りを保護するプロテクターです。
寝たきりの原因になっている、転倒時の大骸骨骨折を予防するのに有効だということが証明されています。そのため、最近は介護の現場などでも採用されているものです。
転倒の危険性
転倒などの思わぬ事故が、寝たきりになる原因を引き起こしてしまいます。そのため、もし転倒しても怪我に繋がらないような対策が必要です。
また、高齢者の多くに骨粗鬆症の恐れがあり、たとえ転倒しなくても、ちょっとしたことで骨折してしまうリスクを抱えています。ヒップ周りを固定して転倒などに備えるヒッププロテクターは、そうしたリスク回避にとても効果的です。近年では骨折予防の観点から、老人保健施設をはじめとした特別養護老人ホームなど多くの介護施設で、ヒッププロテクターの装着が奨励されています。
他にも転倒が起きても頭部を守り、怪我や脳の損傷を防いでくれるヘッドガードというものもあります
>>ヘッドガード とは 種類や選び方
ヒッププロテクターの種類
パンツ型のヒッププロテクター
高齢者が使用するヒッププロテクターで、最も一般的なタイプです。
股関節の外側の大転子部に柔軟な低反発パッドがついており、簡単に装着できます。尿モレパッドがついているものもあります。パッドは脱着できて、洗濯することができるため、介護の現場などでも多く採用されています。
ベルト式のヒッププロテクター
腰回りにベルトのように巻き付け、ゴムの編み込まれたサポーターで引き締めて固定するタイプです。動きを固定するので、怪我の予防効果があります。
腰回りと太もも周りを覆うヒッププロテクター
腰回りやお尻の周囲はもちろん、太ももまでしっかり覆うタイプです。これによってしっかり固定され、股関節の外側の大転子部から太もも周辺までがガードされます。
ヒッププロテクターの装着方法
介護の現場で主に使われているパンツタイプのヒッププロテクターは、下着を履くように自分でも簡単に装着できます。ベルト式のものは、主にマジックテープで固定するようにします。
また、厚手のヒッププロテクターの場合は、ファスナーで装着するタイプもあります。装着するのに力が必要となり、介助が必要になる場合もあるでしょう
ヒッププロテクターの入手方法
介護用品店にて介護用に考えられた機能性の高いヒッププロテクターが販売されています。また、インターネットでも、さまざまなタイプの介護用ヒッププロテクターが見つけられます。
スポーツやアウトドアをしている方向けに、より高機能なヒッププロテクターを求める場合には、一般的なスポーツウェアショップで購入可能です。膝部分のプロテクターなども販売されているので、併用するととても安心です。
現在、ヒッププロテクターは介護用品として認定されていません。そのため、介護保険の適用外となり、全額自費での購入となります。しかし寝たきり予防に大きな効果が期待できるため、公的な補助が検討されているようです。