介護が必要な方を助け、そして寝たきりを防止するための介護用具として用いられる特殊寝台 。介護用ベッド、電動ベッドなどと呼ばれています。
介護する側にとっても、起き上がりや立ち上がりの動きを助けるものとして重宝するでしょう。
特殊寝台(介護用ベッド)とは
いわゆる介護用ベッドの大半が電動ベッドです。
身体機能の衰えのため、動きづらくなった人の起き上がりや立ち上がりなどの動作を助けます。高齢者本人の動作だけでなく、介護者にとっては楽な姿勢で介護できるというメリットもあります。
尚、基本的に自分で体を起こすことができる人や、つかまるところがなくても自分で立ち上がれる人には必要ありませんが、寒くて体が動きにくいときなどに備えて介護用ベッドを導入する人もいます。
>>介護ベッド(特殊寝台)へ切り替えるベストなタイミングとは
メリット
特殊寝台(介護用ベッド)を利用すれば、体の状態を起こす背中のリクライニング機能によって、高齢者が一人で体勢を変えることが可能です。
さらに食事や読書などをするときには、座る際に背中を支えてくれます。膝の高さを変えられるベッドならば、膝をあげることで血流を促進します。脚のむくみを解消できるでしょう。
ベッドの高さを調節できるものは、ベッドの乗り降りや車椅子への移動が容易になり、体への負荷が和らげられます。
介護者にとってもメリットが
また介護用ベッドは、介護者にとってもメリットがあります。
介護者にとって、寝ている状態から起こす、ベッドから降りる、車椅子へ移動するという動きは、非常に大きな負担となるでしょう。介護用ベッドを利用すれば、これらの負担を大きく軽減することができます。
利用に活用可能な補助制度
特殊寝台(介護用ベッド)は介護保険の「福祉用具貸与」の対象です。そのため、原則要介護2以上で自分で体を起こせない人や、立ち上がれない人であれば、原則1割(一定以上の所得がある方は、所得に応じて2割または3割)負担でレンタルできます。
>>福祉用具貸与(レンタル)とは 特徴と活用方法
特殊寝台(介護用ベッド)のレンタルは、要介護認定を受けた40歳以上の方が対象です。65歳以上の人は第一号被保険者となり、40~64歳の人を第二号被保険者となります。第一号被保険者は必要になったときにサービスを受けられ、第二号被保険者は厚生労働省の定める特定疾患になり介護が必要になった場合に、介護保険のサービスが受けられます。
特殊寝台(介護用ベッド)の機能
背上げ機能
起き上がる動作を補助する機能です。背角度を0~70度くらいの範囲で調整できます。
脚上げ機能
背上げ機能で起き上がる際、膝角度を上げておくことでずり落ちを軽減します。足側へのずり落ちを抑え、膝角度は0~40度くらいの範囲で調整が可能です。
高さ調整機能
ベッドから立ち上がりやすい高さや、安定した端座位ができる高さなどに調整できます。介護者にとっても、介助しやすい高さに調節することができます。
特殊寝台(介護用ベッド)の種類
「背上げ」+「脚上げ」機能があるベッド(1+1モーターベッド)
背上げ機能と脚上げ機能があるものです。2つのモーターで、2つの機能を連動・単独いずれでも調節できます。起き上がりが不安な人や、血流が良くない人におすすめです。
「背上げ機能」があるベッド(1モーターベッド)
背上げ機能もしくは高さ調整があるもので、起き上がりやすい体勢を作ってもらえます。腰や首に痛みがある人や、起き上がりが不安な人におすすめです。
「背上げ」+「高さ調整」機能があるベッド(2モーターベッド)
背上げ機能を持つほか、ベッドの高さを調整できます。背上げ機能とベッドの高さの調整によって、その人に合わせて起き上がりやすく調整ができます。
「背上げ」+「高さ調整」+「高さ調整機能」機能があるベッド(3モーターベッド)
背上げ機能と脚上げ機能、高さ調整機能があるものは、3モーターヘッドになっています。3つの機能をそれぞれ別に操作可能です。
モーターベッド
介護用電動ベッドは、モーターの数によって機能が変わります。モーターによって機能が備わっていますので、電動ベッドはモーターベッドともいわれます。
選ぶ際のポイント
大きさを選ぶ(高さ、幅、長さ)
モーターの数を選んだら、次はベッドのサイズを決めることになります。「大は小を兼ねる」と、大きければ良いというものではありません。寝返りをうつときなどは便利ですが、部屋に収まるかも考えなければならないでしょう。
幅の広いベッドは、介護をするときに手が届きにくくなります。使う人の体格と部屋の大きさを考えて選びましょう。
高さの調節機能がないものであれば、利用者の膝までの高さのものが立ち上がりに便利です。膝が90度くらい曲がった状態で座ったときに、足の裏が床に着く高さのものを選ぶといいでしょう。
安全装置をチェック
介護用ベッドの安全装置として、安全バーなどが付いているものがあります。安全バーに当たると瞬間的に反転したり、その場で止まったり、力が強くかかって止まったりと、さまざまな方法で事故を防ぐというものです。逆に、安全バーが付いていない介護用ベッドもあります。
電動モーター
介護用電動ベッドは、モーター数によって機能の充実度が異なります。
一般的な介護用電動ベッドのモーター数は1~3。要介護度が高い場合は、2~3モーターの高機能なものを選ぶことで使用者も介護者も負担が軽減できます。
電動モーターについては、強いものか弱いものかという選択も重要になります。電動モーターの数を選んだら、その強弱も確認しましょう。
マットレスの選び方
マットレスはその種類が多様です。使用者の好みや動きやすさなどに合わせて選びましょう。
また、エッジの部分がしっかりしているマットレスなら、立ちあがりやすくなります。
●柔らかいタイプ
寝心地はソフトですが、少し動きにくくなります
●硬いタイプ
身体が沈みにくいので、寝返り等は行い易いでしょう。しかし、寝心地はよくないと感じる人もいるようです。
●体圧分散タイプ
床ずれが心配な人におすすめです。材質や通気性に違いがありますので、こちらもいろいろなタイプを比較して選んでください
●エアーマット
表面がゆっくり動くタイプのマットレスです。厚さや構造によってさまざまな種類がありますので、自分に合ったものをよく検討することが大切です
キャスター
ベッドを移動させることがある場合は、キャスターがついていると便利です。
サイドレール
使用者のベッドからの転落を防いだり、布団がずり落ちたりするのを防止できる柵がついていると安心です。
購入方法
まずはケアマネジャーに相談を
介護用ベッドを購入する際は、まずケアマネジャーに相談しましょう。
介護の程度に合わせて、また先のことを考慮しながら適切なものを選んでください。
購入方法はさまざまで、介護用品を扱っている店舗に出向いたり、ネットショッピングで購入したり、
あるいはケアマネジャーから業者を紹介してもらえることもあります。
>かいごDB(自立支援ベッド RUMIEα 背脚2モーター)
購入は介護保険の対象外
介護用ベッドの購入に関しては、介護保険サービスの対象外です。
購入時に保険が使えませんので、あらかじめ注意しておきましょう。