足が不自由になってきた際に利用するステッキ(杖)は、高齢者の歩行時の転倒防止に役立つ介護アイテムです。その種類は多様で、杖先が1点のものから、より安定した 4点杖 (多点杖)もあります。
4点杖 (多点杖)は体重をかけても倒れずらく、外出時やリハビリなどには安定して身体を支えてくれるので頼りになるでしょう。
ここでは4点杖(多点杖)について、その種類や使い方、選び方などを解説します。
4点杖 (多点杖)とは
普通のステッキ(杖)は、地面に接する部分が1点です。ところが4点杖(多点杖)の場合、4つの点で支えているため、ステッキが垂直に独立して歩行者の身体を支える仕組みになっています。
この4点杖(多点杖)は、カーボンファイバー製や金属製などの材質によってそれぞれ重さが異なります。また、4点ある支点間の間隔は、狭いものから広いものまでさまざまです。身体の具合などを考えて、本人に合った4点杖(多点杖)を選ぶようにしましょう。
4点杖(多点杖)の役割
普通のステッキと比較すると、自立する形の4点杖(多点杖)は使用者の身体を垂直に支えてくれます。体重をかけても4つの支点から地面に加重がかかる仕組みです。
安定しているので、外出時や室内、リハビリ時の転倒事故予防により効果的でしょう。一本杖では歩行が不安定な方、あるいは筋力が低下している方には、4点杖(多点杖)がおすすめです。
4点杖(多点杖)の選び方
4点杖(多点杖)を選ぶ際のポイント
持ち手の高さ
体重を支える機能を持つ4点杖は、肘を軽く曲げた高さにちょうど持ち手(グリップ)がくるものを選んでください。この高さが、腕で体重を4点杖(多点杖)にかけやすい高さです。
高さ調節できるタイプがあるので、不安な方はそちらのタイプが便利です。杖の長さを調節してくれる販売会社もありますので、購入時に確認をしてみるといいでしょう。
地面に接する4点の間隔
身体の状況に応じて地面に接する4点の間隔を考えます。不安定な方には4点の間隔が広いものを選ぶようにしましょう。
グリップの握りやすさ
持ち手の部分がしっかり握れるかどうか、滑りにくいかどうかも確認しておきましょう。
重すぎないか
4点杖(多点杖)は、通常の杖より安定します。しかし重さが増すため、持ち歩くには不便かもしれません。
ただし4点杖にもさまざまな種類があり、その材質などによって重量も異なります。実際に手にとって、自分に合ったものを見つけてください。
相談員に頼ろう
福祉用具を扱っているショップやレンタル事業所には、専門の相談員がいますので、身体の状態やどんなところで利用を考えているかを相談の上、選定してもらうのがいいでしょう。
4点杖(多点杖)の購入・レンタル方法
4点杖(多点杖)は福祉用具店などで購入できます。購入時の価格は、全額自己負担で、4,000円から1万5,000円程度です。
また、介護保険制度を利用してレンタルすることも可能です。レンタル代金の目安は、1割負担の場合で月額100円~200円が目安となります。一定以上の収入がある方は、所得に応じて2割または3割負担となります。
介護保険制度を利用して「4点杖(多点杖)」をレンタルする場合、利用を検討しているものが対象か否かを必ず確認しておきましょう。また、購入やレンタルの際には事前にケアマネジャーへ相談してください。
>>福祉用具貸与(レンタル)とは 特徴と活用方法
4点杖(多点杖)の使い方
4点杖(多点杖)は、すべての点が地面に接地している際に安定します。
そのため、狭い階段や、凹凸のある地面、坂道での使用には向いていません。水平で安定した床や地面で利用するようにしてください。持ち手に加重をかけることで垂直に立つ作用が働くので、上から体重をかけながらゆっくり歩行しましょう。
4点杖(多点杖)を使う場合の介助方法
4点杖(多点杖)は転倒防止を目的とするため、歩行訓練などで介助する場合は、マヒや障害のある側に立ち軽く手を添える程度でかまいません。
もしよろけてしまったら、すぐに転倒しないよう支えてあげましょう。