介護家族が知っておきたい!体位変換のコツや注意したいポイントとは

体位変換のコツや注意したいポイント

ベッド上の生活が長くなり、寝返りや姿勢を変えることが難しくなってきた方には、体位変換の介助が必要になります。とはいっても、ただ姿勢を変えればいいというわけではありません。簡単にできる体位変換のコツや注意事項などをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

>>介助方法について介護の専門家に相談する:安心介護Q&A

 

体位変換とは

体位変換とは

体位変換とは、寝ている状態で体の向きを変えたり、寝ている状態から座っている状態などに姿勢を変えたりすることです。長い間同じ姿勢でいると、身体の同じ場所に重さがかかり続けてしまうため、血行障害や褥瘡(じょくそう・床ずれ)が起こりやすくなります。

無意識のうちに行っている体位変換ですが、筋力や体力が落ちている方や身体に障害のある方には介助が必要です。

体位変換のメリット

体位変換には、同一の姿勢でいることによって起こる不快感の解消、褥瘡や血流障害の予防、筋や関節の拘縮予防といった効果の他に、呼吸や排痰の促進といった効果もあります。

体位変換のポイント

体位変換で重要なのは、できることは自分でやってもらうということです。基本的に自分の力で体を動かしてもらい、家族は部分的な介助や声掛けをしていきましょう。

褥瘡の予防のための体位変換は「2時間ごと」と言われていましたが、在宅で介護をしている家族が2時間ごとに体位交換をするのは難しいでしょう。使用しているマットレスや高齢者の状態によって4時間以内の体位変換でもいいという考え方もあります。また、自動で体位変換をする機能の付いたマットレスもあります。詳しくはケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談をしてください。

体位の種類

体位の種類



代表的な体位には次のようなものがあります。

臥位(がい)

寝ている状態です。姿勢や状態によって次のようなものがあります。

仰臥位(ぎょうがい)

仰向けに寝た状態です。

体位の種類:仰臥位

側臥位(そくがい)

横向きに寝た状態です。

体位の種類:仰臥位

腹臥位(ふくがい)

顔を無理のない範囲で横に向けてうつぶせになっている状態です。「伏臥位」とも書きます。

体位の種類:腹臥位

座位(ざい)

いわゆる座った状態です。姿勢や状態によって次のようなものがあります。

体位の種類:座位

半座位(はんざい)

座位と仰臥位の中間の状態です。介護ベッドのギャッチアップ機能を使って、上半身を約45度に起こします。

体位の種類:半座位

長座位(ちょうざい)

上半身を起こして足を延ばした状態です。重心がずれやすく上半身が不安定になりがちな姿勢で、リハビリなどに用いられます。

体位の種類:長座位

端座位(たんざい)

ベッドの端に腰をかけて床に足を下ろした状態です。

体位の種類:端座位

立位(りつい)

立った状態です。

体位の種類:立位

体位変換の介助方法

体位交換の介助法



体位変換の基本的な方法について説明します。その人の状態や痛み、障害、残っている能力などを踏まえたやり方については、訪問リハビリの際にやり方を教えてもらうといいでしょう。

仰臥位から側臥位へ

自分で膝を曲げられる場合

1.介護される方の手を胸の上に置き、ひざを立てる

1.介護される方の手を胸の上に置き、ひざを立てる



2.介護される方の横に立ち、肩とひざを手前に引くように倒す

2.介護される方の横に立ち、肩とひざを手前に引くように倒す

自分で膝が曲げられない場合

1.介護される方の手を胸の上に置き、まっすぐ寝てもらう

1.介護される方の手を胸の上に置き、まっすぐ寝てもらう

2.介護される方の横に立ち、片方の手を肩に、もう片方の手を手前の太ももの下から入れて奥の太ももを持って押すように倒す。

2.介護される方の横に立ち、片方の手を肩に、もう片方の手を手前の太ももの下から入れて奥の太ももを持って押すように倒す。

側臥位から端座位へ

上記で側臥位になった後、車椅子に移乗する際などに端坐位になる方法です。

自分の手でベッドに手をつきながら起き上がるように意識してもらうことや起き上がるタイミングで足を下におろすのがポイントです。介護ベッドのギャッチアップ機能を活用してみてもいいでしょう。

www.youtube.com

 

YouTubeで「体位変換 側臥位から端座位」と検索すると解説動画が出てきますので参考にしてみてください。

楽に体位変換の介助をするコツ

楽に体位変換の介助をするコツ



力任せにやらない

体位変換のコツ:力任せにやらない

力任せ体位を変えるのではなく、身体の構造を理解し、自分の力を利用した体位変換を行いましょう。押すのよりも引く方が少しの力で体位変換できます。

また、自分の重心と相手の重心を近づけるほど、移動は楽になります。

ベッドと接している面を少なくする

腕を組んで膝を高く立ててもらい、できるだけコンパクトな体制になってもらいましょう。ベッドと接している面を少なくすることで摩擦が減り、少ない力で体位変換ができるようになります。

重心を落とした姿勢で

腰を痛めると介助だけではなく日常生活にも支障が出てしまいますので、腰を痛めにくい体の動かし方を身に着けておきましょう。コツは両足を広げ、腰を「曲げる」のではなく「落とす」姿勢で介助をすることです。不自然に曲げたりねじったりする動きは避けてください。

福祉用具を利用する

体位変換をサポートしてくれる福祉用具には、以下のようなものがあります。いずれも介護保険が適用されるので、原則として1割(所得に応じて2割または3割)の自己負担でレンタルが可能です。

詳細はケアマネジャーまたは福祉用具専門相談員に相談をしてみてください。

体位変換器

身体の下に挿入して体位変換や起き上がりを介助する福祉用具です。空気圧を利用するものや、身体のラインに沿ったクッション状のものなどがあります。

体位交換機能付きマットレス

自動で体位変換をしてくれるマットレスです。

まとめ

体位変換とは、寝ている状態で姿勢を変えることや、寝ている状態から座っている状態などに姿勢を変えることです。ベッド上で過ごす時間が長いのに自分で寝返りが出来ない方は、褥瘡や関節の拘縮が起こりやすいため、体位変換の介助が必要になります。

体位変換の方法は、コツさえつかんでしまえば、少ない力で行うことができます。ポイントは相手の残っている能力を活用してもらうこと、ベッドと体が接する面積を小さくすることです。福祉用具を活用すれば、さらに小さな負担で行えます。

詳しくは訪問リハビリの際にリハビリの専門家にアドバイスをもらうといいでしょう。腰痛になりにくい体の動かし方も含めて教えてもらえますよ。

※この記事は、2020年3月時点の情報で作成しています。

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監修者:鵜沢静香
監修者:鵜沢静香

訪問介護事業所職員、福祉用具専門相談員。2015年から安心介護に関わっており、お話を伺った介護家族や介護職員の影響で介護職員初任者研修を取得し、訪問介護の仕事をスタートしました。2022年には介護福祉士、認知症ケア専門士の資格を取得し、自宅で介護をされる人・介護をする人、どちらも大切にしながら訪問介護の仕事を続けています。