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軽度認知障害(MCI)とは?

軽度認知障害(MCI)をご存知でしょうか。なかなか聞きなれない言葉ではあるかと思います。もしも自分の大切な家族が軽度認知障害(MCI)の疑いがあると言われたら、どんな経過をたどるのか、家族として何ができるのか、ここでご紹介していきます。

目次

軽度認知障害(MCI)とは?

軽度認知障害のイメージ

軽度認知障害とはMild Cognitive Impairmentを略してMCIということもあります。(ここでは以後、軽度認知障害と呼びます)アルツハイマー病と診断された場合は、それに伴う症状がはっきり分かる場合が多いですが、軽度認知障害の場合は加齢による物忘れなどと間違われやすいです。

>>物忘れと認知症の違い

最近ではおおよそアルツハイマー病の前駆状態を意味する用語として捉える人も増えています。新治療薬開発などによりアルツハイマーの早期診断が根本的な治療につながる可能性が出てきたことを受けてこの軽度認知障害という言葉ができました。1990年代頃よりこの言葉が注目されるようになりました。また、この軽度認知障害は状態を指す言葉のため病名ではありません。

65歳以上を対象とした調査によると軽度認知障害の有症率は11~17%です。類似概念も含めて調査を行った結果では最高で56%台の有症率となっています。

軽度認知障害の分類

軽度認知障害は大きく分けて2つ、細かく分けて4つのタイプに分かれます。まず、大きく分けて2つですが、これは記憶障害の有無によって分類され、記憶障害のある健忘型MCIと記憶障害のないb非健忘型MCIに分類されます。

健忘型MCIのうち記憶障害以外の認知障害は見られない場合を健忘型MCI単一領域、記憶障害以外の認知障害が見られる場合を健忘型MCI多重領域といいます。

また非健忘型MCIのうち、認知障害は一領域に絞られる場合を非健忘型MCI単一領域、認知障害は1領域以上ある場合を非健忘型MCI多重領域といいます。

この分類については後述する「軽度認知障害(MCI)の進行」でも出てくる言葉ですので、照らし合わせてご確認ください。 出典:認知症ねっと

軽度認知障害で知っておきたい用語 リパート率とコンパート率

軽度認知障害は発症率のほかにリパート率とコンパート率という用語が用いられます。リパート率とは一旦軽度認知障害と診断されても後日改めて検査をしたら知的が正常になる状態のことを言います。このリパート率は14~44%と幅広いものの、いったん軽度認知障害と診断されてもそれが覆る可能性はあるということです。

コンパート率とは軽度認知障害から認知症へ進行した割合です。2004年の報告によるとコンパート率は年間で約10%。少ない割合にも思えますが軽度認知障害から認知症へ進行する可能性もあるということです。

軽度認知障害(MCI)の症状と進行

軽度認知障害の症状は認知症と類似しています。

軽度認知障害(MCI)の症状

同世代と比べてもの忘れの程度が強く、以下のような症状がある場合は、軽度認知障害のサインかもしれません。

  • ほかの同年代の人に比べて、もの忘れの程度が強い
  • もの忘れが多いという自覚がある
  • 日常生活にはそれほど大きな支障はきたしていない
  • 言葉の障害(言葉が理解できない、言おうとした言葉を言うことができない)
  • 対象を正しく認識できない(知り合いの顔、色、大小などを認識できない)
  • くわえたタバコにライターの火をつけられない、服を着ることができない、茶葉とお湯と急須を使ってお茶を入れることができない
  • 計画をたててその計画通りに実行していくなどができない

※厚生労働省 みんなのメンタルヘルスより

軽度認知障害(MCI)の進行

前述したように軽度認知障害は、年間で約10%が認知症へと進行していきます。軽度認知障害においては前述したタイプによってどの認知症へと進行するかが異なります。

健忘型MCIの場合は高い確率でアルツハイマー型認知症へと移行します。そのほかにも健忘型MCI単一領域の場合にはうつ病、健忘型MCI多重領域の場合はうつ病と脳血管性認知症へ移行する可能性があるとわかっています。

一方、非健忘型MCIのうち非健忘型MCI単一領域の場合は前頭側頭型認知症、非健忘型MCI多重領域の場合はレビー小体型認知症と脳血管性認知症へ移行する可能性が高くなっています。

軽度認知障害(MCI)の進行を予防しましょう

軽度認知障害は診断された本人も自覚がなかったり他者や医師であっても軽度認知障害なのかなと思う程度しか症状が出ていないこともあるため対応としては非常に難しいものでしょう。

また、前述したように軽度認知障害は低い確率ではありますが認知症に移行する可能性が高いものです。軽度認知障害の治療としては薬物療法になるのですが、これも進行を遅らせるというものです。

薬物療法を含めて軽度認知障害を完治させる、予防するということはできません。ですが、薬物の使用以外にも軽度認知障害の進行を予防する方法があります。ここではその予防を対応する方法としてご紹介します。

栄養面の充実

栄養面の充実、つまりバランスのとれた食事をとることで認知症への進行を予防することができます。特に緑色野菜の摂取では認知機能の低下や認知症への移行を予防する効果が示唆されています。

魚の摂取や地中海野菜の摂取も同様の報告がされています。つまり、野菜、果物、穀物を多くとることが推奨されています。

一方で高カロリー、高脂質の食事は認知機能の悪化や認知症の進行を加速させることが報告されています。

運動習慣の確立

とある研究報告によると週3回以上の運動は認知症へと移行する確率を下げるということが報告されています。特に有酸素運動の効果が高いといわれています。

運動習慣は認知症への移行以外にも身体面でメリットも多く、運動習慣を取り入れられるような生活をしていくことで予防につながります。例えば、以下の有酸素運動を取り入れてみてはいかがでしょうか?

  • ウォーキング
  • ジョギング
  • 水泳
  • ヨガ
  • エアロビクス

脳のトレーニングを行う

とある研究では新聞や本を読む、ゲームを楽しむ、楽器を演奏するなど知的余暇活動は認知症への移行率の低下と関連があるという報告がされています。

認知機能を上げる脳のトレーニングとして、例えば以下を生活にとりれてみてはいかがでしょうか?

  • パズル、麻雀、オセロ、将棋など頭を使うゲーム
  • おりがみ
  • 楽器演奏

また、定期的な通院で専門医より経過を見てもらうことも推奨されています。特に、軽度認知障害と診断された本人は自覚がない場合も多く、病院へ行きたがらないこともあります。

家族が通院へのサポートを行い、日々の様子を報告するという対応をとることも必要です。

まとめ

まだ認知症ではない状態でありながらも認知症の前段階でもあり、認知症へと移行する可能性のある軽度認知障害。そのため、本人の状態を家族も観察し定期的に医師の診察が受けられるようにサポートすることが必要になります。

日常生活の中で認知症への移行を食い止める方法もあります。軽度認知障害は年齢相応のものとして見落とされがちなため、症状を見落とさないようにし、まずはかかりつけ医に相談し専門医を紹介してもらい受診されることをおすすめします。

ご家族が軽度認知障害と診断されたらいつ本格的な認知症になってしまうのか…と不安を抱かれる方も少なくないかと思います。ですが、ここで正しい知識を身に着けることで、軽度認知障害に対する恐怖心が少しでも減るのではないかと存じます。

ぜひ、軽度認知障害を知らない方、また軽度認知障害と診断されたばかりの家族がいる方へ読んでいただけますようにシェアをしていただけますと幸いです。


監修者

陽田 裕也 (ひだ ゆうや)

監修者:陽田 裕也

2001年、介護福祉士養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得し特別養護老人ホームにて介護職員として勤務する。

その後、介護支援専門員や社会福祉士も取得し、介護以外でも高齢者支援に携わる。現在はソーシャルワーカーとして、特別養護老人ホームで勤務しており、高齢者虐待や身体拘束、成年後見制度などの権利擁護について力を入れて取り組んでいる。