やわらか食などの高齢者向けの食事宅配サービス(宅食・配食サービス)とは

やわらか食などの高齢者向けの食事宅配サービスについて

 

毎日の食事の準備が負担に感じてきた方や高齢者の食生活が心配な方に選ばれているのが、高齢者向けの食事宅配サービス(宅食・配食サービス)です。この記事では、そのサービス内容や利用を検討する時に知っておきたい事柄をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

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介護食の食事宅配サービスとは

介護食の食事宅配サービスとは

 

高齢者向けの食事宅配サービス(宅食・配食サービス)とは、高齢者の健康や、糖尿病や腎臓病などの疾患、嚥下や咀嚼状態に配慮した介護食を自宅まで届けてくれるサービスです。食事を家まで届けてくれるサービスは若い世代にも人気がありますが、高齢者向けの食事宅配サービスは一般的な出前やデリバリーとは考え方が異なります。

大手企業から町のお弁当屋さんまで幅広い業者がサービスを提供しており、味やサービス内容も様々です。高齢者の咀嚼力(噛む力)や嚥下力(飲み込む力)が弱い方向けの食事や食事制限に合わせたメニューなど、様々なニーズに対応しています。

家族の分とは別に介護食用の買物や調理が必要になってくると、毎日の食事づくりには労力と時間がかかってしまいます。食事宅配サービスを上手に利用して負担を軽くしましょう。

高齢者向けの食事宅配サービスのメリット

ひとり暮らしの方にとっては、自分で調理や買い物をしなくても栄養バランスの良い食事が食べられること、定期的に家に人が来てくれることがメリットです。高齢者向けの食事を準備する必要がなくなるので、介護家族の負担が軽減されます。

また、噛む力や飲みこむ力に合わせて食事を刻んだり、ミキサーにかけたりすると、どうしても料理の見た目が変わってしまい、食欲が損なわれてしまうことがあります。食事宅配サービスでは、本来の素材の形を残した“やわらか食”や“ソフト食”を選ぶことも可能です。

こんな方に

  • ひとり暮らしの方や高齢の夫婦で暮らしている方
  • 日中に一人になってしまう方
  • 飲みこみづらさや噛みづらさを感じている方
  • 食事中にむせてしまう方
  • 食事制限がある方
  • 栄養バランスや低栄養が気になる方
  • 介護食を作るのが負担になっている方


介護食の区分

介護食の区分

高齢者向けの介護食は、いくつかの種類の中から選ぶことができます。大切なのは、利用者の状態に合った食事を選ぶことです。噛む力や飲みこむ力がまだ十分にあるのに、やわらかい食事ばかりを食べていては、せっかくの力も衰えてしまいます。

以下の区分を参考に、利用者がどんな状態なのかを把握したうえで介護食を選ぶようにしましょう。

介護食の区分

日本介護食品協議会では、高齢者向けの食事を選ぶ基準としてユニバーサルデザインフード(UDF)の4つの基準を制定しています。

容易に噛める

  • 固いものや大きいものはやや食べづらい
  • 普通に飲み込める

例)

ご飯:普通~やわらかめのご飯

肉じゃが:やわらかい肉じゃが

卵:厚焼き玉子

歯ぐきでつぶせる

・固いものや大きいものは食べづらい

・ものによっては飲みこみづらい

例)

ご飯:やわらかめのご飯~全がゆ

肉じゃが:具材が小さくてやわらかい肉じゃが

卵:だし巻き卵

舌でつぶせる

・細かいまたは柔らかければ食べられる

・水やお茶が飲みづらいことがある

例)

ご飯:全がゆ

肉じゃが:具材が小さくてさらにやわらかい肉じゃが

卵:スクランブルエッグ

かまなくてよい

・固形物は小さくても食べづらい

・水やお茶が飲みこみづらい

例)

ご飯:ペースト粥

肉じゃが:ペースト状の肉じゃが

卵:やわらかい茶碗蒸し(具なし)

介護食のタイプ

介護食のタイプ



高齢者向けの食事宅配サービスでは、高齢者の状態に合わせたタイプを選ぶことができます。アレルギーへの対応や好き嫌いなどに対応できるかどうかも事前に確認しておきましょう。

普通食

《特徴》

  • 栄養士が高齢者向けに考えた栄養バランスのとれた献立
  • カロリーや塩分は控え目のものが多い

噛む能力や飲みこむ能力が衰えが少なく、固いものや大きいものでも比較的安易に食べられる方向けの食事です。唾液の量も十分あり、食事中にむせることもなく、治療が必要な歯も無い方は、高齢者向けに考えらえた普通食を選ぶといいでしょう。

介護が必要な高齢者だけではなく、調理の手間を省きたい健康志向の方にも選ばれています。

やわらか食・ソフト食

《特徴》

  • 素材の見た目はそのままなのに、歯ぐきや舌でつぶせるほどやわらかい

具材をやわらかく煮込んだり、ムース上にした素材を再形成したりといった工夫がされている食事です。噛む力や飲みこむ力が低下している人、消化が悪い人に向いている食事です。必要に応じて、やわらか食をさらに刻んで提供してくれる場合があります。

なかなか家庭で作るのは難しい形態ですが、高齢者向けの食事宅配サービスではやわらか食・ソフト食で提供してくれるところも少なくはありません。

きざみ食

《特徴》

  • 噛む力に合わせて、普通食を1口大~極刻みにして提供

歯の治療中の方や口が開かない方などに向いている食事です。噛む力はないけれど、飲みこむ力がある方に向いています。食べ物が気道に入る誤嚥(ごえん)を起こしやすいので、とろみをつけるなどの工夫が必要です。

ミキサー食

《特徴》

  • 普通食をミキサーにかけてポタージュ状にして提供

噛む力も飲みこむ力も低下している人に向いている食事です。家庭で作ると水分でかさが増してしまい、十分な栄養が摂れないことがありますが、食事宅配サービスではその点も配慮されています。食べ物が気道に入る誤嚥(ごえん)を起こしやすいので、とろみをつけるなどの工夫が必要です。

健康管理食・特別食

《特徴》

  • 食事制限があっても満足感のある味付けで、飽きないように工夫がされている

糖尿病で血糖コントロールが必要な方、腎臓病や透析中でタンパク質などの制限のある方、高血圧や心臓病などで塩分制限のある方、ダイエット中の方など、食事制限が必要な方向けの食事です。 健康管理食を家庭で作るには、栄養を計算しながら献立を考え、計量しながら調理する必要があって手間がかかりますし、手抜きやワンパターンにもなりがちです。

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配送タイプの選び方

配送タイプの選び方



いくつかの配送タイプの中から、高齢者のライフスタイルや好みに合ったものを選びましょう。

弁当タイプか惣菜のみか

ご飯などの主食も必要な方は弁当タイプ。主食は用意できる方は惣菜タイプを選びましょう。主菜と副菜をそれぞれ選べるサービスを提供している事業者もあります。

保存方法

すぐに食べられる「常温・温かタイプ」は、つくりたてのおいしさを楽しみたい方に適しています。保存しておくと冷蔵庫に溜まってしまう方や賞味期限の管理が難しい方に向いています。

調理後すぐに急速冷蔵・冷凍された状態で届く「冷蔵・冷凍タイプ」は、電子レンジなどで温めて食べます。冷蔵タイプは当日中に食べるものと、冷蔵庫で数日保存できるものがあります。冷凍タイプはまとめて注文して長期保存しておけるので、自分のペースで食事を楽しみたい方には便利です。

また、常温保存できるレトルト食品の配送サービスもあります。

受け渡し方法

食事の受け渡しには、本人に直接手渡しする方法や所定の場所(玄関先など)に置いておくなどの方法があります。ひとり暮らしの方や日中は一人になってしまう方には、見守りにもなる手渡しの方法がおすすめです。

食事宅配サービスの探し方

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食事宅配サービスは、どのように探すといいのでしょうか。

希望するサービス内容を考える

高齢者向けの食事宅配サービス内容は、事業者によって様々です。

どんな食事の形態がいいのか、メニューは任せるのかある程度は選びたいのか、常温タイプがいいのか保存がきくタイプがいいのか、1ヵ月の予算はいくらか…など、希望するサービス内容をあらかじめ考えておきましょう。

適切な食事の形態が分からなかったら、かかりつけ医や歯科医、リハビリ専門職(言語聴覚士)、栄養士などに相談してみてください。

比較して検討を

食事宅配サービスは、全国展開している事業者もあれば、地元のお弁当屋さんが運んでくれるものなど様々なものがあります。

インターネット上ではいくつかのサービスを比較して検討できるサービスがあるので利用してみましょう。有料でお試しサービスを提供している事業者もたくさんありますので、好みかどうか、使いやすいかどうかを、一度試してみてください。

また、多くの市町村では高齢者向けの食事宅配サービスを行っています。詳しくは居宅介護支援事業所のケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談してみてください。

まとめ

高齢者の食事宅配サービス(宅食・配食サービス)は、多くの事業者が幅広いサービスを提供しています。食事のタイプも普通食からやわらか食・ソフト食、きざみ食、健康管理食など様々です。高齢者に必要な栄養が摂れる献立になっているのもうれしいポイントです。利用する人の状態やライフスタイル、好みに合わせて選ぶといいでしょう。

サービスを提供している事業者がたくさんあるので、選ぶのは大変かもしれません。そんなときには、ネットで一括検索・比較できるサイトを利用すると便利です。また、市町村で高齢者向けの食事宅配サービスを提供している場合もあるので、合わせて確認しておきましょう。

介護食を作るのはとても大変です。ひとり暮らしの高齢者だけではなく、健康志向の高齢者や家族とは別に食事を用意することに負担を感じている介護家族もぜひ検討してみてください。

※この記事は2020年3月時点の情報で作成しています。

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監修者:陽田 裕也
陽田 裕也 (ひだ ゆうや)

2001年、介護福祉士養成校を卒業と同時に介護福祉士を取得し特別養護老人ホームにて介護職員として勤務する。
その後、介護支援専門員や社会福祉士も取得し、介護以外でも高齢者支援に携わる。現在はソーシャルワーカーとして、 特別養護老人ホームで勤務しており、高齢者虐待や身体拘束、成年後見制度などの権利擁護について力を入れて取り組んでいる。