有料老人ホームを探したい!相談先や選び方のポイントを解説

有料老人ホームを探したい!相談先や選び方のポイントを解説

自宅での生活が難しくなった時に、選択肢の一つとなるのが有料老人ホームです。施設数が多くて入居しやすいのがメリットですが、どう絞り込めばいいのでしょうか。本記事では有料老人ホームを探す際の準備や相談先、選び方のポイントを解説しています。ぜひ参考にしてください。

まずは有料老人ホームの種類をチェック

まずは有料老人ホームの種類をチェック

有料老人ホームにはいくつかの種類があります。まずはそれぞれの特徴を確認していきましょう。

介護型有料老人ホーム

介護型有料老人ホームは、高齢者向けに設計された住まいで、施設スタッフによる見守りや家事などの生活支援サービスに加えて、24時間365日体制で入居した施設の職員から介護サービスを受けられる施設です。

施設によって自立から入居できるところや要介護1以上から入居できるところなど様々です。

平成25年度老人保健健康増進等事業「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究」によると、有料老人ホームにおける介護付有料老人ホームの割合は件数で約4割、定員数で約6割です。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、高齢者向けに設計された住まいで、施設スタッフによる見守りや家事などの生活支援サービス、食事の提供を受けて暮らす施設です。

自立から入居が可能で、介護が必要になっても外部の在宅介護サービスを利用して暮らし続けることができます。ただし、24時間体制の介護や医療的ケアが必要になると他の施設への住み替えを考えなくてはいけません。

平成25年度老人保健健康増進等事業「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究」によると、有料老人ホームにおける住宅型有料老人ホームの割合は件数で約6割、定員数で約4割です。

健康型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、高齢者向けに設計された住まいで、施設スタッフによる見守りや食事の提供などを受けて暮らす施設です。

自立の方のみが入居可能で、介護が必要になると退去または提携先の有料老人ホームに移る必要があります。

施設の数はそれほど多くなく、平成25年度老人保健健康増進等事業「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究」によると、有料老人ホームにおける健康型有料老人ホームの割合は件数・定員数ともに1%以下です。

サービス付き高齢者向け住宅

有料老人ホームではありませんが、サービス付き高齢者住宅の中には、一定の基準を満たしており、介護付有料老人ホームと同様に24時間365日体制で入居した施設の職員から介護サービスを受けられるものがあります。

介護付有料老人ホームとの違いは、サービス付き高齢者向け住宅は一般的に賃貸借契約であるという点です。入居時には敷金が必要で、解約時に必要経費を除いて返還されます。

一方で介護付有料老人ホームは、専用居室や共有スペースの終身利用と、介護や生活支援、食事といったサービス部分が一体になった利用権の契約となります。入居時には入居一時金が必要で、一定の期間で償却され、償却期間内に退去する場合は残った金額が返還されます。サービス付き高齢者住宅にも利用権方式を採用しているところがあります。

有料老人ホーム探しをする前の準備

有料老人ホーム探しをする前の準備

どの種類の有料老人ホームに入居したいかを決めたら、次にどんなことを準備したらいいのでしょうか。事前に考えておくべきことをまとめます。

どんな生活をしたいかを考える

レクリエーションや地域交流が盛んなところがいいのか、街中がいいのか、それとも静かに暮らしたいのか、持ち込みたい荷物はどれくらいあるのかなど、入居後にどんな生活をしたいのかを具体的に考えておきましょう。

やりたいことの他に、「昼夜逆転になりがち」「人見知りをする」などの不安に思っていることもピックアップしておきましょう。

ひと月当たりにかけられる金額について考える

どれくらいお金がかけられるのかを計算し、家族間で話し合っておきましょう。できるだけ利用者本人の年金や貯蓄を使い、介護家族の負担が大きくならない金額を設定しておくことが大切です。

一般的な有料老人ホームでは、入居時に入居一時金や保証金といった初期費用が数十万円から数百万円ほど掛かる場合がありますので、その予算も考えておきましょう。入居一時金の多くは入居期間によって償却され、退去(死亡含む)時に返還されます。

現在の状況を把握する

認知症の症状(特に徘徊やもの盗られ妄想などスタッフや他の入居者に影響を与えるもの)はあるのか、日常生活における最低限の動作(ADL)はどれくらいできるのか、服薬の管理は自分でできているのか、どんな病気を持っていて医療的ケアは必要なのか…など、現在の状況を把握しておきましょう。

どうして有料老人ホームへの入居が必要なのかを、改めて家族間で共有しておくことも大切です。

希望する条件を考える

希望する立地条件や部屋の設備、サービス内容について考えましょう。

無理なく家族が通える立地はどこか、部屋の広さはどれぐらい必要か、看取りまで頼めるところがいいのか、プライバシーの保護と手厚い介護のどちらが大切か、いつから入居したいのかをまとめておき、絶対に欠かせない条件や妥協できる範囲を家族間で話し合っておきましょう。

有料老人ホームの探し方

有料老人ホームの探し方

希望条件や現在の状況をまとめたら、実際に有料老人ホームを探し始めましょう。

有料老人ホームを探す際の相談先

希望する条件は人によって異なりますし、入居する場合の条件も施設ごとに異なる場合があるため、個人での情報収集はなかなか難しいものです。

インターネット上には専用の情報検索サイトもありますし、仲介手数料がかかりますが不動産会社のような感覚で使える介護施設の紹介会社もあります。資料請求や施設見学の申し込みなども、情報サイトや紹介会社から一括でできるのでスムーズな施設選びが可能となります。活用してみるといいでしょう。

また、お住まいの地域周辺で有料老人ホームを探している場合には、ケアマネジャーにも相談してみましょう。地域包括支援センターや自治体の役所によっては、周辺の有料老人ホームの一覧を提供している場合があります。ただし、お勧めや口コミの共有などはしてくれません。

パンフレットを集める

気になる施設を見つけたら、まずはパンフレットを請求し、本人や家族も交えて見学したい施設を絞り込みましょう。パンフレットと共に、サービス内容や退去の条件が記載された重要事項説明書を取り寄せることも可能です。あわせてお願いしてみるといいでしょう。

見学、体験入居をして決める

実際に見学し、さらに体験入居をして施設を決めます。必ず予約を取り、写真を撮る際にはスタッフに確認の上、入居者のプライバシーに配慮しましょう。

決める際のポイントは次の選び方を参考にしてください。

有料老人ホームの選び方

有料老人ホームの選び方


 

実際に見学や体験入居をして有料老人ホームを選ぶ際、以下のポイントをチェックしておきましょう。

希望条件にあっているか

設備や居室、立地条件、看取りの実績はあるか、入居時期など、希望している条件に合っているかを確認しましょう。入居後にしたい生活や不安を伝えておくことも大切です。退去の条件についても確認しておきましょう。

また、レクリエーションや季節のイベント、地域交流活動について確認しておきましょう。また、医療体制、緊急時や通院時の対応方法、リハビリテーションの提供、介護・看護職員の体制(日中と夜間)、認知症の症状への対応、嚥下状態に合わせた食事や制限食提供の可否の確認も必要です。

費用は予算に収まるか

入居時や月々にどれくらい費用がかかるかを確認しましょう。部屋代や食費などの月々にかかる固定費用の他に、洗濯代や理美容代、水道光熱費など流動的な金額も確認しておきましょう。

入居時に支払う入居一時金については、クーリングオフや償却期間・償却率の確認も必要です。

施設の雰囲気が良いか

施設スタッフや入居者の表情、コミュニケーションなどを見ておきましょう。特に食後の利用者を見ておくと、食べこぼしや口の周りをきれいにしてもらっているか、可能な限り車いすからイスに移譲しているかが確認できます。細かいところにスタッフが気を配っているか、ちょっとした時間を利用者に割く余裕があるかがわかるポイントです。

経営状態に問題はないか

民間企業が運営している有料老人ホームに関しては、経営状態に問題がないかどうかも選ぶポイントです。経営状態が悪化して運営会社が変わったとしても、必ずしもサービスの質が下がるというわけではありませんが、安心して生活するためにも確認しておくといいでしょう。

経営状態を見極めるには、入居率やスタッフの平均勤務年数がポイントとなります。また、財務諸表などの経営情報や公益社団法人全国有料老人ホーム協会で閲覧できる加盟ホームの決算書などを参考にしてもよいでしょう。データを見てもよくわからないようであれば、公認会計士などの専門家に相談してください。

有料老人ホームの入居までの流れ

有料老人ホームの入居までの流れ

最後に、有料老人ホームを決めてから入居するまでの基本手順を確認しておきましょう。

申し込みから入居までの流れ

見学して気に入った施設を見つけたら、入居の申し込みをします。

その後、有料老人ホーム側の担当者と入居希望者で面談をして身体状況の確認や支払い能力の確認、保証人の有無など、各施設の基準に照らし合わせて入居の可否が決定します。「診療情報提供書」や「健康診断書」が必要になりますので、早めに準備をしておきましょう。

その後、契約を直接施設と結びます。介護付有料老人ホームの場合、契約書は入居契約書と介護サービスの契約書の2つを結びます。合わせて重要事項説明書を取り交わします。

※上記は基本的な流れです。サービス提供事業者や利用者の状況によって異なります。

契約するときの注意点

契約をする際にはキャンセル(クーリングオフ)、入居一時金の償却期間や償却率、損害賠償についての確認をしておくと安心です。また、苦情や相談ごとの窓口についても、説明を受けましょう。

契約書や重要事項説明書には、サービス内容や退去の条件が記載されています。しっかり説明を受け、疑問や分からないことは質問してください。契約書に記載がないけれど気になることがある場合には、契約書に特約条項をつけてもらいましょう。

本人や家族に合った有料老人ホームを決めるために

有料老人ホームを選ぶ際には、在宅介護でお世話になっているケアマネジャーに相談することはできますが、おまかせすることはできません。利用者と家族の希望や状況を共有して把握するのが最初のステップです。次に情報を収集し、実際に施設を見学・体験入居をします。

不安がある方は、情報検索サイトだけではなく仲介会社を利用してみてもいいでしょう。仲介手数料がかかりますが、見学や契約の立ち合いをお願いすることもできます。パンフレットには記載されていない情報や費用もあるので、見学の際にしっかり確認して不安を無くし、本人や家族に合った有料老人ホームを選びましょう。

※この記事は2019年11月時点の情報で作成しています。

 

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監修者:鵜沢静香
監修者:鵜沢静香

訪問介護事業所職員、福祉用具専門相談員。2015年から安心介護に関わっており、お話を伺った介護家族や介護職員の影響で介護職員初任者研修を取得し、訪問介護の仕事をスタートしました。2022年には介護福祉士、認知症ケア専門士の資格を取得し、自宅で介護をされる人・介護をする人、どちらも大切にしながら訪問介護の仕事を続けています。