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高齢者の貧血予防の食事とは

高齢になると、いろいろな病気になったり、活動量が低下することにより食事量が減ったり、食事が偏ることで必要な栄養素が不足したりして、貧血を発症するリスクが高まります。どのような人が貧血になりやすいのでしょうか。

目次

  1. 高齢者に多い貧血のリスク
  2. 貧血予防の食事とは?
  3. まとめ

高齢者に多い貧血のリスク

高齢者の貧血

1)貧血とは

貧血とは、血液中の赤血球もしくは赤血球内のヘモグロビン(Hb)が足りない状態のことです。加齢で赤血球数もヘモグロビン量も減るので、高齢者は血液検査の基準値が一般的な成人と違い、男女ともにHb量が11mg/dL未満の場合を貧血とみなします。

 赤血球、ヘモグロビンは酸素を運ぶため、貧血では全身の細胞に行く酸素が減り、疲れやすい、動悸、息切れ、疲労感などの症状が出ます。物忘れや、狭心症のような胸痛、食欲不振が起こることもあります。しかし、高齢者の貧血では徐々にヘモグロビンが減少することが多いため、自覚症状が出ないことも多く、基礎疾患の症状が悪化して貧血に気づく場合もあります。

 貧血で最も多いのは鉄欠乏性貧血で、残りの多くは他の病気が原因の二次性貧血だといわれています。鉄欠乏性貧血は、鉄の不足が原因で、鉄を含むヘモグロビンが低下するために、酸素の運搬能力が低下します。

2)高齢者はなぜ貧血になりやすいのか

 高齢者が貧血を起こしやすいのは、体の変化による影響です。

 まず、加齢で自然に、赤血球やヘモグロビンを作る能力が衰えます。赤血球を増やすホルモンを出す腎臓が弱る、赤血球を産生する骨髄の疾患、感染症や悪性腫瘍など貧血を引き起こす疾患などの病気を抱えることも多くなります。

 さらに、栄養が足りないことで貧血が増えます。高齢者は基礎代謝が低下し、活動量も減るため、必要な摂取エネルギーは少なくなりますが、嚥下障害によって食事量が減少したり、消化管の機能が低下するなどして、栄養を摂取し吸収することが、所要量の低下以上に難しくなってくるのです。また、環境的な要因で、一人暮らしや夫婦のみで暮らしている場合に買い物や調理がおっくうになり、食事内容が悪くなって貧血になるということもありえます。

 低栄養で鉄分が減るだけでなく、悪性腫瘍や感染症、膠原病などで体の状態が悪いと、鉄分が十分にあるのにうまく利用できずに貧血を起こすこともあります。鉄は体内で再利用されますが、出血すると失われます。そのため、痔などによるわずかな出血でも、それが毎日続くと鉄欠乏になります。悪性腫瘍から持続的に体内でわずかに出血して貧血が起きることもあり、貧血からがんが発見されることもあります。

 栄養素の中でも、葉酸やビタミンB12は、赤血球を作るために不可欠なビタミンです。低栄養で欠乏することがあるだけでなく、ビタミンB12は、胃が健康でないと体内に吸収できないため、胃の障害があるとビタミン欠乏性の貧血を起こします。

貧血予防の食事とは?

 まず大切なことは、1日3食の食事を規則正しくバランスよく食べることです。炭水化物を多く含む主食、たんぱく質を多く含む主菜、ビタミン・ミネラルを多く含む副菜、そのほかに乳製品と果物を適量とることが理想です。

 鉄分を補給することを意識した食事をとることで、鉄欠乏性貧血を予防することができます。血液中の赤血球やヘモグロビンの材料となる鉄やたんぱく質を摂取するとともに、ビタミンB12や葉酸など、赤血球の生成を促す食品をよく食べるようにしましょう。

1)貧血予防に役立つ食材

・鉄が豊富に含まれる食材

鉄分の1日の摂取推奨量(70歳代)は、男性7.0mg、女性6.0mgです。鉄分が多く含まれる食材は、魚介類(マグロ、赤身のカツオ、アサリ)、肉類(牛・豚・鶏肉のレバー)、野菜類(コマツナ、ホウレンソウなど)、藻類(ヒジキ等)、ドライフルーツ(レーズン、プルーン等)、乾物(切干大根、キクラゲ)などです。

 鉄にはヘム鉄(魚や肉などの動物性食品に多く含有)と非ヘム鉄(植物性食品や乳製品に多く含有)の2種類があり、ヘム鉄は非ヘム鉄の2〜3倍ほど体内に吸収されやすいといわれています。

 鉄製の調理器具を使用すると、調理器具から溶け出た鉄が料理に含まれ、摂取できる鉄量が増えます。酢やケチャップなどの酸味の強い調味料を使うと、調理器具から溶け出す鉄量がさらに増加します。

・ビタミンCを豊富に含む食材

 ビタミンCは、食品中の鉄を体で利用するために必要な栄養素です。非ヘム鉄の吸収をよくする働きがあります。1日に、野菜、キノコ、海藻類を350g、このうち120gを緑黄色野菜でとるようにします。果物は、1日に150〜200gを目安に食べるとよいでしょう。

・たんぱく質を多く含む食材

 たんぱく質は、体をつくる栄養素で、赤血球やヘモグロビンもたんぱく質を材料につくられています。たんぱく質をとる際には、いろいろな食品を組み合わせて摂取することが大切です。体内では作ることができない9種類の必須アミノ酸は、食品によって含有量に差があります。1日に魚一切れ80〜100g、肉60〜80g、卵1個、牛乳180mL、木綿豆腐1/3丁を目安に食べるとよいでしょう。

・造血のための栄養素を含む食材

 ビタミンB12と葉酸は、赤血球の形成のために必要で、造血に欠かせない栄養素です。

 ビタミンB12は魚介類(サケ、イワシ、アサリ、シジミ等)、のり、肉類(特にレバー)に多く含まれています。腸内細菌によっても合成されることが明らかになっており、一般的には欠乏することはないと考えられていますが、胃から分泌される内因子と結合して小腸で吸収されるため、胃の疾患やがんで胃を切除している人は、胃の内因子の不足が原因でビタミンB12が欠乏し、貧血を起こすことがあります(悪性貧血)。

 葉酸は、肉類(牛・豚レバー)、卵黄、大豆、納豆、ホウレンソウ、ブロッコリーなどに豊富に含まれています。

2)貧血予防のメニュー例

マグロの煮付け

マグロの鉄分やタンパク質が赤血球とヘモグロビンの材料になります。

材料(2人分)

マグロの赤身 2切れ(1切れ70g)、しょうが 10g、酒 大さじ1、砂糖 小さじ2、みりん 小さじ2、醤油 大さじ1 、かいわれ大根 少々

作り方
  1. しょうがは薄切りにしておく。
  2. 鍋に煮汁用の調味料としょうがを入れて煮立て、マグロを並べて落とし蓋をして15分間煮る。
  3. マグロを皿に盛り付け、かいわれ大根はさっとゆでて横に添える。

 

レバニラ炒め

豊富な鉄分とビタミンB12が同時に摂れ、赤血球とヘモグロビンを増やします。

材料(2人分)

豚レバー 80g、モヤシ 100g、ニンジン 50g、ニラ 60g、牛乳 適量、塩 少量、酒 小さじ1、片栗粉 大さじ1/2、しょうが 1/2かけ、醤油 小さじ1、サラダ油 大さじ1、ゴマ油 小さじ1

作り方
  1. レバーは牛乳に5分ほどつけて血抜きしてから、水気を拭き取って細く切る。
  2. レバーに塩と酒をふって、下味をつけてから片栗粉をまぶす。
  3. フライパンにサラダ油を熱し、しょうがを炒め、レバーを加えてさらに炒める。
  4. レバーに火が通ったらニンジン、モヤシ、ニラを入れて炒める(野菜を加えた後は、炒めすぎると水分が出てくるので強火で手早く仕上げる)。
  5. 醤油で味付けをし、最後にゴマ油を入れて風味をだし、火を止める。

 

小松菜の海苔あえ

葉酸など各種ビタミンが赤血球を増やし、疲労を防ぎます。

材料(2人分)

小松菜 160g、醤油 小さじ1、だし 小さじ 3強、もみ海苔 1g、削りがつお 1g

作り方
  1. 小松菜はゆでて水にとり、水気を絞って3〜4cmの長さに切る。
  2. 醤油とだしを合わせて1.にかけてほぐしながら混ぜ、もみ海苔と削りがつおを加えてあえる。

 

ひじきの白あえ

ビタミンCと鉄が同時に摂れ、ダブルの力で鉄欠乏を防ぎます。

材料(2人分)

ひじき(ドライパック)80g、木綿豆腐 100g、A(白練りごま 大さじ1、砂糖 大さじ1/2、塩 小さじ1/4)

作り方
  1. ボウルに豆腐を入れ、よくつぶし、Aを加えてよく混ぜ、なめらかな衣を作る。
  2. ひじきを加えてあえる。

まとめ

  • 高齢になると、体の変化や栄養が偏ることなどによって、貧血になりやすい。
  • 悪性腫瘍や感染症、膠原病などで体の状態が悪く、摂取した鉄をうまく利用できずに貧血を起こすこともある。
  • 貧血を予防するためには、1日3食、バランスよく食事をとることが大切。
  • 鉄分、たんぱく質、ビタミンC・B12、葉酸を含む食材を意識して摂取するとよい。

 高齢者が貧血を起こしやすい理由と予防方法についてまとめました。参考になった方は、ぜひシェアをお願いします。

(編集:編集工房まる株式会社)

 


監修者 野溝明子

監修者:野溝朋子

医学博士。鍼灸師。介護支援専門員。

東京大学理科一類より同理学部、同大学院修士課程修了(理学修士)、東京大学医学部(養老孟司教室)で解剖学を学んだ後、東京大学総合研究博物館(医学部門)客員研究員。医療系の大学で非常勤講師を務めるほか、鍼灸師として個人宅や施設などへ出向き施術を行っている。

著書に『看護師・介護士が知っておきたい 高齢者の解剖生理学』『セラピストなら知っておきたい解剖生理学』『介護スタッフのための 安心! 痛み緩和ケア』など。