介護食とは
介護食は「形態調整食」「咀嚼嚥下食(そしゃくえんげ食)」とも呼ばれ、咀嚼や嚥下機能に障害を持つ人がしっかりと栄養を摂ることを目的に、食べ物を調整した食事のことです。
介護食の始まりは1984年、小田原の特別養護老人ホームにて、認知症終末期の人の水分補給として開発された「救命プリン」だと言われています。この救命プリンは、何度も試行錯誤を繰り返し、喉ごしの良さや滑らかさを追求して作られました。
その後、少しずつ変化し、現在は「残された食べる機能」をフルに活かして食べられる食事を指しています。
それぞれの咀嚼力や嚥下の状態に合わせて、刻んだり、柔らかく炊いたり、とろみをつけたりして、飲み込みやすく調理されているのです。
介護食の種類と選び方
介護食といっても、調理の状態によっていくつかの種類があります。
そこで、主な介護食の種類について、どのような人に向いているのかを踏まえながらご説明します。
「ミキサー食」
食べ物をミキサーにかけて液体状にしたものです。
噛む必要がなく、飲み込むだけなので、消化器官への負担が軽減されます。
さらに素早く吸収できるというメリットがあり、栄養管理にも利用可能です。
この食事は、食べ物を噛むことができない人や嚥下障害がある人、寝たきりの人などに向いています。
「流動食」
重湯や具なしのスープ、葛湯、果汁などの液状の食事です。ミキサー食よりもさらに消化器官への負担がかからない食事ですが、エネルギーや栄養素が少ない点が短所です。
咀嚼嚥下力が落ちている方のほか、疾患などで消化吸収力が弱っている方に向いている食事です。
「ソフト食」
歯茎や舌で簡単につぶせる程度の柔らかさに調理した食事です。
普通食よりも長く煮込んだり炊いたりして、噛まなくても良い程度までソフトにします。
日本介護食品協議会の定めるユニバーサルデザインフード(UDF)では、柔らかさは「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」の4区分に分かれています。
この食事が向いているのは、歯がない人や入れ歯の人などです。
「とろみ食(ゼリー食)」
食材を柔らかくして、細かく刻んだものに片栗粉やくず、市販のとろみ剤でとろみをつけたり、ゼラチンでゼリー状にしたりする食事です。喉ごしがよく、飲み込む力が弱くてもつるんと入っていきます。
この食事は、飲み込む力が弱い人や嚥下障害がある人などに向いています。
「きざみ食」
食べ物を調理前に細かくカットしたり、刻んだりしたものです。
野菜は煮込む前に細かく刻みますが、肉は調理後に刻みます。
魚も焼いたあとで骨を取り除いてから、マッシャーなどを使ってつぶしてペースト状にします。
この食事が向いている人は、飲み込む力はある程度あるものの、入れ歯などで噛みにくいという人です。
>>介護食(やわらか食、とろみ食)とは
>>介護食(ミキサー食・きざみ食)とは
介護食は特徴を踏まえながら、介護する人が本人の状態をしっかり把握して選ぶことが大切です。
介護食のレトルト商品のメリットとデメリット
メリット
・介護者や本人が食事を作る手間が省ける
・常温で長期間保存ができる
・食べやすさや栄養素、塩分などに考慮した食事を気楽に摂取できる
・食卓のバリエーションが豊かになる
デメリット
・器に移し替えたり、湯せんや電子レンジを利用したりといった手間がかかる
・決まった時間や曜日に届けてもらうような食事宅配サービス(宅食・配食サービス)では、レトルト商品は一般的ではないため、見守り効果は期待できない
市販の介護食のレトルト商品にかかる費用と選び方
費用は商品によってさまざま
市販のものの相場は、1食あたり150円~400円程度です。
例えば1日1食・週5日利用した場合、1週間750円~2,000円です。
つまり、1ヵ月では3,000円~8,000円ほどになります。
介護食のレトルト商品の選び方
介護食は噛む力や飲み込む力によって、「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」の4つの区分に分かれています。
どの区分に当てはまるかは、下記に診断できるチャートがあるので試してみてください。
>>ユニバーサルデザインフード(やわらか食)とは?種類と選び方[PR]
これによって、利用者の咀嚼や嚥下の状態に合っているか確認しましょう。
また、好みの味付けかどうか、実際に咀嚼や嚥下の状態にあっているかを、介護者の方が試食して試してみるといいでしょう。
また、市販のレトルトを使用している方の中には、盛り付けに気を付けたり、具材を足したりと「おいしく」「楽しく」食事をしてもらおうと工夫をしている方も多いです。
>>レトルト食のすすめ【漫画:介護と向き合う】
レトルト食、食器一覧
明治やわらか食 肉じゃが
夢食器虹彩 4寸鉢 薄紫
らくらく汁椀
高齢者向け食事宅配サービスで介護食のレトルト商品を利用する流れ
自宅で介護をしている場合、1日に3食必要になる介護食を作るのはとても大変です。介護食の食事宅配サービス(宅食・配食サービス)を利用すれば、その負担が軽減されるでしょう。
>>高齢者向け介護食(やわらか食・とろみ食など)の食事宅配サービスとは
実際に介護食の食事宅配サービス(宅食・配食サービス)を利用する場合、次のような流れとなります。
1)介護食を提供している業者や団体などを探します。
このとき、インターネットや口コミなどを利用すると探しやすいでしょう。
2)お試し注文などで実際に食べてみます。
これによって、利用者の咀嚼や嚥下の状態に合っているか確認しましょう。
3)利用する介護食の種類や頻度を決めます。
食事の回数に合わせてさまざまなコースが設定されているので、最適なものを選んで申し込んでください。
4)決めた期間ごとに、介護食が自宅へ届けられます。
介護食のレトルト商品の食事宅配サービス(宅食・配食サービス)は、お弁当や総菜の食事宅配サービスとは違い、毎食宅配されるのではなく、まとめて宅配されて置き薬のように消費した分だけが請求されるものや、定期購入、単品注文といった形になります。
決められた時間に毎食届けてもらいたい人や、見守り効果を期待している人には、向いていないと言えるでしょう。
希望する食事のタイプやお住まいの地域にはどんな食事宅配サービスがあるのかを知りたい場合には、下記から検索することもできます。気になるものはそのまま資料請求ができますので、ぜひお役立てください。