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「変性症膝関節症」とはどんな病気?|要介護認定の特定疾病

加齢とともに多くなる疾患に「変性症膝関節症」があります。膝の変形と痛みがあるのが特徴で、厚生労働省によると、膝痛を自覚している人は約1,000万人、潜在的な患者数は3,000万人ともいわれています。 多くの人がかかる可能性がある変性症膝関節症を学んでみましょう。

膝関節痛の高齢者

目次

  1. 「変形性膝関節症」と診断されると利用できる介護保険制度
  2. 変形性膝関節症の進行
  3. 膝痛が起こるメカニズム
  4. 変形性膝関節症の原因
  5. 変形性膝関節症の治療方法
  6. 変形性膝関節症と運動療法
  7. 運動療法でもよくならなかったら
  8. まとめ

「変形性膝関節症」と診断されると利用できる介護保険制度

介護保険制度が利用できるのは、大きく2つの場合があります。1つは、65歳以上で、「要支援」か「要介護」と認定される「第1号被保険者」。もう1つが、40歳から64歳で、「特定疾病」と診断された場合です。 特定疾病とは、がん(末期)、関節リウマチ、脳血管疾患など20ほどの疾患ですが、そのなかに「変形性膝関節症」も含まれています。つまり、65歳以上でなくても、40歳以上で変性膝関節症と診断されれば、介護保険制度を使って介護サービスを利用することができるのです。もちろん、介護施設への入居できます。

変形性膝関節症の進行

では、変形性膝関節症とはどのような疾患なのでしょうか。 読んで字のごとく、変形性膝関節症は膝が変形して痛みが出る病気のことです。 膝関節の軟骨がすり減ることにより、膝関節に荷重の変化が起き、膝の周囲の骨の破壊が進んでいき、次第に歩行が困難になっていきます。 5~15年ほどかけてゆっくりと進行するのが特徴で、大きく「初期」「中期」「末期」の3つに分かれます。

初期

最初は痛みもあまりなく、自覚症状もほとんどありません。ただ、立ち上がる瞬間に少し痛みが出ることがあったり、膝のこわばりが見られたり、長時間歩くと膝に痛みが出ることがあります。

中期

痛みを自覚するようになり、歩いたり階段を上り下りするたびに痛みが出ます。また、痛みで正座をするのが難しくなり、脚のO脚もわかるようになります。膝部分に水がたまって腫れることもあります。

末期

中期よりさらに痛みが出るようになり、一見してO脚がわかるようになります。膝を曲げたり伸ばしたりすることが難しくなり、外出するのもままならなくなります。外出できなることで買い物や旅行などができなくなり、生きがいを喪失してしまうこともあります。

膝痛が起こるメカニズム

変形性膝関節症は膝の軟骨がすり減って起こる病気です。 痛みの原因は非常に複雑で、すり減った軟骨が異物と認識され、それを処理しようと炎症性サイトカインという物質が放出され、膝の周りの骨の骨膜や膝を包んでいる膜(滑膜)に炎症を引き起こす場合や、骨の破壊が進み骨棘が形成されたり、あるいは、靭帯の損傷や過伸展などが神経を直接刺激する場合もあるといわれています。

変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症は膝に加わる過剰な力(ストレス)が原因とされ、肥満、重度のO脚やX脚、労働やスポーツなどでの酷使は重要な要因といわれています。また、いくつかのリスク要因が明らかになっています。 1つは中高年であることです。男性は65歳から、女性は50歳から多くなります。加齢そのものは大きなリスクです。2つ目は女性であること。女性は男性よりも3~4倍多いのが特徴です。女性ホルモンの減少が関与しているといわれています。 3つ目は筋力低下。運動不足などで膝の筋肉が少なくなると、その分、膝への負担が大きくなってしまいます。

変形性膝関節症の治療方法

変形性膝関節症はさまざまな治療が行われています。その主なものを紹介します。

鎮痛薬

変形性膝関節症で病院に行くと、最初に処方されるのが鎮痛薬です。鎮痛薬は大きく「飲み薬」「塗り薬」「湿布薬」「座薬」の4つがあり、それぞれのメリット・デメリットがあります。 飲み薬と座薬や強い痛みに効果的ですが、胃や腎臓、肝臓などを傷害する可能性があります。塗り薬や湿布薬は強い効果は少ないものの、副作用が少ないので長期間服用するのに向いています。 どの薬にもいえるのは、根本的な治癒ではなく、一時的に痛みを抑える対症療法として用います。

ヒアルロン酸関節注射

関節のなかにはヌルヌルした液体(滑液)があり、これがクッションのような役割を果たし、関節をスムーズに動かすことができますが、その主成分がヒアルロン酸です。 ヒアルロン酸を注射することで関節をスムーズに動かすことができ、一時的に痛みを和らげることができます。

水抜き

ヒアルロン酸関節注射と並んでよく行われるのが水抜きです。膝が痛くなると炎症の浸出液が関節内にたまり、放置しておくとパンパンに腫れてしまうことがあります。そのときに行われるのが水抜きです。ただし、これも根本的な治療ではないため、しばらくするとまた水がたまってきてしまいます。

変形性膝関節症と運動療法

変形性膝関節症の治療は対症療法が主流ですが、根本的な治療として注目されているのが運動療法です。日本整形外科学会ではホームページ上で、「変形性膝関節症の治療と予防には、運動療法が大切です」と、運動療法をすすめています。 運動療法のポイントの1つは、膝を支える筋肉を鍛えること。鍛えるのは、「太もも前の筋肉」「太もも外側の筋肉」「脚全体の筋肉」です。 もう1つは、膝の動きをよくするための運動で、膝の曲げ伸ばしをよくする運動と、膝のかたさをとる運動を推奨しています。 運動はイスに座るなどして、脚を横や上に上げ下げするものですが、そのほかにウォーキングや全身運動をすすめています。 なお、変形性膝関節症の膝の痛みは「炎症性サイトカイン」という物質によるものだとお伝えしましたが、運動療法を行うと炎症性サイトカインが減ることがわかっています。さらに、運動を続けることで関節周辺の筋肉が強くなることで、膝痛がやわらいでいきます。

運動療法でもよくならなかったら

多くの変形性膝関節症は運動療法によって改善されますが、重度になると運動しても改善されないことがあります。その場合は、次の2つの手術を考えます。

高位脛骨骨切り術

変形性膝関節はO脚によって起こりますが、関節の下の骨を切って角度を調節して、軽いX脚にする手術です。これによって、関節内側にかかっていた力を均等にすることができ、膝の痛みも軽快します。膝痛が出る以前のような生活を送ることができます。 ただし、入院期間が1~2か月あり、日常生活を送れるようになるのに3~4か月かかります。

人工膝関節置換術

関節は2つの骨が合わさってできていますが、その部分の骨を1cmほどの厚さまで削り、そこに金属や強化プラスチックでできた人工関節をはめ込む手術です。膝の痛みはまったくなくなり、O脚も完全に治すことができます。入院期間も3週間ほどと短く、手術して1週間後には歩き始めることができます。 一方で、膝は120度くらいの角度までしか曲がらないので正座はできません。山登りやジョギングなどの激しい運動でもできません。

まとめ

膝が痛いとつい動かさないようにしてしまいがちですが、先にお伝えしたように、変形性膝関節症の予防の治療には運動することがなによりも大切です。介護をする際も、動かさないようにするのではなく、積極的に膝を動かす運動を取り入れることで、膝の状態はよくなる可能性が高くなります。生活の中でできるだけ膝を動かすようにしましょう。

(編集:株式会社物語社)


下正宗先生

監修: 下 正宗(しも まさむね)

東葛病院臨床検査科科長。1984年広島大学医学部卒。

認定病理医、臨床検査専門医、プライマリケア指導医。『最新 目で見る介護のしかた全ガイド』『家庭でできるリハビリとマッサージ』『介護用語ハンドブック』(成美堂出版)、『絵を見てわかる認知症の予防と介護』(法研)、『体位変換・移動・リハビリの介助』(桐書房)、『身近な人の上手な在宅介護のしかたがわかる本』(自由国民社)など、著作・監修多数。