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介護用スロープで住宅の段差を解消!主な種類と選び方を知ろう

足腰が弱った高齢者にとって、家の中のちょっとした段差は危険な障害物。住宅の段差を解消し、高齢者が安全に暮らせる環境を整えるにはスロープの設置が最適です。

介護用スロープの役割や選び方を知り、在宅介護に備えましょう。介護保険が適用されるケースについてもお伝えします。

目次

  1. 介護用スロープはなぜ必要?役割とメリットを確認しよう
  2. 介護保険が適用される2つのパターン
  3. 工事を伴わない介護用スロープの種類・選び方
  4. スロープを設置して安全な介護環境を整えよう

介護用スロープはなぜ必要?役割とメリットを確認しよう

車いすと段差

スロープは段差を解消するためのものですが、それによってさまざまなメリットが得られます。まずは介護用スロープの役割を確認していきましょう。

住宅にはさまざまな段差がある

何気なく生活していると気づきにくいですが、住宅には大小さまざまな段差があります。

玄関の上がり框(かまち)や階段、バルコニーなどの大きな段差だけではなく、注意深く見ると部屋の出入り口や浴室、トイレにも小さな段差があるのがお分かりいただけると思います。

高齢者など身体機能が低下した方は、段差を上り下りしたり、またいだりすることが困難です。ですから、在宅介護の安全性を高めるには、段差を解消できるスロープが重要や役割を果たします。

転倒リスクを軽減できる

スロープによって段差を解消すると、高齢者が転倒するリスクを軽減できます。

高齢になると筋力が衰え、歩行時に足をしっかり上げられなくなるため、ちょっとした段差でもつまずきやすくなるものです。また、病気やケガの影響で麻痺がある方にとっても、室内の段差は大きなリスク。

段差をそのままにしていると、転倒して骨折などの大ケガを引き起こすことがあるため、リスク軽減にスロープは大変有効です。

車椅子や歩行器でも移動しやすくなる

スロープを設置すると、車椅子や歩行器でも段差を越えられるようになります。

住宅の段差は、歩行時だけではなく歩行補助用具を利用する方にとっても大きな障害物。ごく小さな段差なら車椅子や歩行器で乗り越えられる場合もありますが、段差によっては移動が妨げられるので、まわりの人が毎回サポートしなければなりません。

スロープを設置して段差をなだらかな傾斜状にすれば、歩行補助用具の利用者も安全に移動できますし、介護する方の負担も軽減できます。

行動範囲が広がり寝たきりを防ぐ

足腰が弱くなった方の在宅介護において懸念されるのが、寝たきりになることです。筋力の衰えや身体の痛み、麻痺などで歩行が困難になってくると、行動範囲が狭まって日々の活動量が減少してしまいます。

そうすると、身体機能がますます衰え、寝たきり状態になってしまう可能性も。住宅の段差にスロープを設置すれば足腰が弱くても移動しやすくなるので、日常の活動量アップに役立ちますし、寝たきり予防にもつながります。

介護保険が適用される2つのパターン

介護保険料を説明する介護士

在宅介護のためにスロープを設置する際、気になるのが費用のことではないでしょうか。

福祉用具貸与サービスの利用または住宅改修によってスロープを設置する場合、介護保険が適用されます。利用には被保険者証と要介護認定が必要ですが、自己負担額を減らせるのでぜひ活用しましょう。

「福祉用具貸与」を利用する場合

福祉用具貸与というのは、介護保険を利用して車椅子や介護ベッドなどの介護用品をレンタルできるサービスのことです。対象品目などの規定は厚生労働省によって定められています。

スロープも福祉用具貸与の対象品目で、設置工事を伴わないものに限ります。福祉用具貸与の品目によっては「要支援」の方は利用できませんが、スロープは要支援1、要支援2の方でも利用可能です。

自己負担額は基本的に1割。所得によっては2割または3割負担となります。費用はスロープの種類や取扱店によって異なりますが、1割負担の場合、1ヶ月あたり500円前後でレンタルすることができます。

住宅改修する場合

段差解消のために住宅改修をしてスロープを設置する場合は、介護保険の住宅改修費の給付対象となります。 ただし、給付には限度があるので注意しましょう。

支給限度額はスロープ設置以外の改修工事も含めて20万円までで、自己負担額はレンタルと同様に1割〜3割です。

例えば、スロープと手すりの設置工事に合計23万円かかった場合、給付対象となるのは20万円分なので支給額は18万円(1割負担の場合)。つまり、自己負担額は残りの5万円となります。

工事を伴わない介護用スロープの種類・選び方

工事が伴わない介護スロープの例

最後に、福祉用具貸与としてレンタル可能なスロープの種類や選び方を確認しましょう。

スロープに用いられる主な素材と形状

介護用スロープには以下のような素材が使われています。

  • 金属(アルミなど)
  • 繊維強化プラスチック
  • 木材
  • ゴム
  • カーボンファイバー

重さや耐久性は素材によって異なるため、使用場所に適したものが用いられています。金属製は屋外で使う大きなスロープに適していますし、木製やゴム製のスロープは室内の小さな段差解消によく利用されています。

スロープの形状は、コンパクトに折りたためるタイプや、車椅子の車輪の位置に合わせて設置できる2枚組みのレールタイプなどがあります。折りたたみ式なら未使用時に収納しやすいですし、外出時にも便利です。

安全に使える勾配をチェックしよう

スロープ選びで最も重要なのが安全性です。せっかく段差を解消できても勾配がきついと転倒のリスクが高まりますし、介助者が車椅子を押し上げられない場合も。

そのため、スロープは段差の高さに対して適切な長さがあるものを選び、なだらかな勾配にする必要があります。 車椅子を利用する場合の、傾斜角度ごとの使い勝手の目安をご紹介します。

  • 5度:車椅子での自走がほぼ可能な緩やかな傾斜です
  • 10度:電動車椅子は自走可能。女性の介助者でも楽に車椅子を押せます/li>
  • 15度:車椅子走行は危険。介助者が車椅子を押せる限界の角度です/li>

車椅子のタイプや介助の有無によって使い勝手は異なりますが、一般的に、傾斜角度が10度未満になるスロープが推奨されています。

必要なスロープの長さを知るコツ

安全な傾斜角度になるスロープの長さは、介助者いる場合は「段差の高さ×12倍」、介助者がいない場合は「段差の高さ×6倍」を目安にチェックしてみましょう。

例えば、20センチの段差を介助者なしで車椅子走行する場合、推奨されるスロープの長さは20センチ×12=240センチとなります。介助者がいるなら、20センチ×6=120センチが目安です。

ただし、スロープの適切な長さは個々の状況によって異なります。利用者の体重や介助者の体力なども考慮しながら、安全に使えるものを選びましょう。

 

段差ごとの必要なスロープ長さの目安

スロープの長さ
出展:ダスキンヘルスレント

段差ごとのスロープの長さの目安

迷ったら、ケアマネジャーや専門家に相談しよう

スロープ選びで迷ったら、自己判断はせずケアマネジャーや福祉用具貸与の専門家などに随時相談してください。

スロープに限らず、福祉用具貸与を利用する際はケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があり、都道府県の指定を受けた福祉用具貸与事業者からレンタルすることになります。

そして、福祉用具の専門相談員が住宅状況や被介護者の移動方法などを踏まえ、適切なスロープを提案してくれます。

スロープ選びでは安全性や使い勝手、費用などさまざまなポイントを検討する必要がありますが、専門家のアドバイスを受ければ最適なものを選べるでしょう。

スロープを設置して安全な介護環境を整えよう

段差の多い住宅環境でも、スロープを利用すれば被介護者が安全に移動できるようになります。車椅子や歩行器で移動できる範囲が広がれば、被介護者の生活の質が向上し、介護する方の負担軽減にもつながります。

在宅介護の安全性を高め、より良い介護環境を整えるために、ぜひスロープの設置を検討しましょう。

(文・ 吉村綾子)

 

監修者 山岸駿介
監修者 山岸駿介
理学療法士。臨床経験は7年。急性期から慢性期、スポーツ分野など幅広い分野を経験。医療・介護・スポーツなど幅広い分野のリハビリに携わり、老若男女に正しい運動で、健康的な生活を送るサポートしている。