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Vol.5
脳梗塞で倒れたことを機に、
母の長生きを心から願った息子

お風呂で倒れた母!一度は、命を失うおそれも。

20年前から母は、糖尿病を患っていました。いささか母は腎不全の傾向があるのですが、これといって重い症状はなく、元気でした。
8年前でしょうか。私は都内からこちらへ移り住み、母とここで暮らすことになったんです。そして2年前、母が大きなトマトを生で食べ、カリウム値が急激に上昇したことがありました。それで母は緊急入院。その頃から、病院へ行くのにつきそいが必要になってきたんです。その時にはじめて“母には介護が必要だな…”と思うようになりました。

ある日のことでした。母が風邪をひいて、しばらく風呂に入れない日が続いたんです。やっと入れるという日に母が風呂場に入ったきり、出てこなくなってしまいました。心配になって風呂場をのぞくと、母が倒れていたんです。それで身体を温めて寝かせ、母に食べさせたりしたのですが、身体の一部が動かず、食べこぼしてしまう…。
介抱してもその状態のままだったため母を病院に連れて行こうと、救急車を呼びました。病院へ行ってすぐにCTで調べてもらうと、お医者さんが「今晩がヤマかもしれません。延命治療はどうしますか?」と言ってきたんです。

幸いにも認知症に至らずにすんだ。
しかし母は、自立した生活ができない身体に。

 それまで母に憎まれ口を聞いていた私ですが、その時心から母に長生きしてほしいと思ったんです。これは私自身にとっても、非常に興味深い出来事でした。

その後、集中治療室へ入り何とか持ち直し、翌日MRIで検査することに。さらにその5日後、母は脳梗塞でどのあたりの血管が閉塞しているかがわかりました。
「意識がどのくらい戻るかわかりませんが、よくなったとしても認知症になる可能性が高い」とお医者さんは私に言いました。ところが幸いにも母は認知症にはならず、今に至っています。
彼女の個性や老化で妙な部分はたくさんあるのですが(笑)、少なくとも認知症にはなっていません。また母は、74歳からイタリア語を学びはじめた人です。進駐軍で働いていたこともあり、英語については僕よりもはるかにしゃべれます。母はもともと勝ち気で、社交的なタイプ。それが奏功したため、疾患に至らずにすんだのかもしれません。

 しかし倒れてから母は、自立した生活ができなくなりました。以前から母は家事をほとんどやらず、料理はもっぱら祖母や女中さんがやっていたこともあったという意味では変わらないのですが、自分の身の回りのことができなくなった影響は非常に大きいです。それを今、私が手伝っています。

手を貸しても〈食事〉と〈排泄〉ができなくなったら、
施設への入居も考えたい。

入院中しばらくは、母は胃ろうの状態でした。それに母は脳梗塞の影響で身体の左側にマヒを抱えたため、一人で食事はできません。むせこみが激しく、嚥下性の肺炎になる可能性もあります。そういった危険もはらんでいるため、食事は僕が見守る必要があるんです。

母は現在、デイサービスに週2日、デイケアに週3日通っています。そのほかにもショートステイを月に10日間ほど利用することがあります。母の入浴はすべて、デイサービスとデイケアにお願いしている状態です。さらにデイケアではリハビリのカリキュラムがあるので、それもお願いしています。

母はデイサービスやデイケア、ショートステイに行くことに、抵抗を見せてはいません。ひとつは、自分の身体の状況を維持できるという意識があるんだと思います。もうひとつは僕に対する負担をかけたくない、という気持ちが働いているのかもしれません。

今は食事も排泄も見守って手を貸すという状態ですが、手を貸すだけでは足らなくなった場合、特別養護老人ホームや介護付有料老人ホームへの入居も考えています。施設がいいのか、それとも自宅で介護がいいのか。正直どちらがいいのかわかりません。僕は介護のプロではありませんから、自宅での介護はある意味危険。
しかも僕の仕事は介護をしつつですから、思うように進まないこともあります。そうした僕のイライラした気持ちが、母に伝わってしまうこともあるに違いありません。とはいえ、介護士や看護師、栄養士の仕事を一手に僕が引き受けているわけですから、なかなか大変です。けれど今はできるだけのことを、やっていきたいと思っています。

プロフィール

竹田賢一さん

校閲・校正技術者。
74年に坂本龍一とマルチメディア・パフォーマンス・ユニット「学習団」を結成。79年エレキ大正琴ソロ活動を開始し、81年アンチ・ポップ・バンド「A- Musik」を組む。
また、音楽評論家としても活躍。『ミュージック・マガジン』『スタジオ・ボイス』などの雑誌に、批評を多数書いたことでも、広く知られている。現在、自宅で89歳の母(要介護3)と二人暮らし。

1日のスケジュール
6:30 起床。母のトイレと着替えを手伝い、食事の用意をする。
8:30 デイケアの準備、洗濯をする。
9:00  

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母はデイケアへ(デイサービスへ行く場合は、10:00〜16:00)。
この間、自宅で仕事。
16:00  
16:30 夕食の支度。
19:00 母の食事を見守り、介助。
21:00 母はテレビを観る。この間に自分の食事をする。
22:00 母は就寝。自分は仕事。
1:30 就寝。

自宅で介護している方々へのメッセージ

昨年、要介護判定の見直しがあったのです。介護度3だった母が、介護度2になるという結果をいただき、驚きました。母の状態がよくなった点がまるでないため、不服の申立を行なったところ、不服審査の過程で、認定の理由となったのが、新しい担当医による以前に回復した骨折のカルテを基にした見解だったことが分かりました。
結果、要介護3が認められたのです。要介護認定を覆すのは難しいといわれますが、おかしいな…と思ったことはしっかりと不服申立すべきだと思います。

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