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連載 使って 食べて 気軽に便利に やわらか食 第4回
「やわらか食」開発企業インタビュー マルハニチロ株式会社
「やわとろ」おかゆシリーズ
フリーズドライ技術で実現
「おいしさ」「長期保存」「お湯だけで作れる」
~ユニバーサルデザインフード(UDF)
   区分3「舌でつぶせる」~

介護に役立つ「やわらか食」について、専門の方々にインタビューする連載記事の4回目となった今回は、マルハニチロ株式会社のお話です。
1880年創業のマルハ(旧・大洋漁業)グループ、そして1906年に作られたニチロ(旧・日魯漁業)から今に至る会社とあって、長年、培ってきた加工技術を生かし、おいしさを追求した「やわらか食」を手掛けています。
ユニバーサルデザインフード(UDF)の「区分3(舌でつぶせる)」にあたるフリーズドライのおかゆ「やわとろ」シリーズを中心に、おいしさの秘密や、開発・販売の姿勢などについて、マルハニチロ メディケア営業課の北原尚樹さんにお話をうかがいました。

「もっと食べやすく」の声からスタート

―いつから「やわらか食」を手掛けているのですか。

北原 マルハニチロの介護食事業であるユニバーサルデザインフードの展開は2005年から始まりました。時を遡ること2000年、きっかけとなったのは魚の骨を全て抜いた「骨なし切り身」を、病院や施設で使っていただき、管理栄養士さんなど現場の方々にご意見をお聞きしたことです。
私達はこの商品を骨がないため「食べやすい魚」と自負していたのですが、病院ではそれを、さらにミキサーにかけて提供していたんです。
「もっと食べやすいメニューを作ってほしい」というご要望をいただき当時の営業担当も「このままではいけない」と考え、市場に参入しました。

―病院や施設向けの食品から始まったんですね。

北原 そうです。現在「メディケア食品」というブランドを立ち上げ、病院施設様向けと在宅でのご利用向けの両方を扱っています。
私達は多くの食品を手掛けてきた加工技術によって、UDFの「区分1」から「区分4」までの商品を作っており、在宅向けでは全28種類(2015年12月現在)をご用意しています。今回、ご紹介させていただく「やわとろ」おかゆシリーズは、区分3「舌でつぶせる」やわらかさです。

お湯だけ簡単「おいしい」おかゆの味の特徴

北原 尚樹

北原 尚樹
マルハニチロ株式会社
戦略販売ユニット
メディケア営業部
メディケア営業課

―商品の特徴を教えてください。

北原 お湯を注いで少しかき混ぜ、3分待っていただくだけで、素材の味や風味、色も鮮やかなおかゆができあがります。とろみがついて食べやすいのも特徴です。
また、栄養面ではカルシウムを強化し、さらにビタミンDを配合することによりその吸収を助ける効果を高めました。
味は「梅がゆ」「海苔がゆ」「鮭がゆ」「中華たまごがゆ」の4種類をご用意しています。お客様から「味がしっかりしていておいしい」と好評をいただいています。

―利用者の方の評価が高いということで、味について少し詳しくうかがいます。「梅がゆ」はどのような味ですか。

北原 梅のほどよい酸味に三つ葉のさわやかさが加わった、やさしい味です。和風だしをきかせた、飽きのこない味付けに仕上げました。梅は小さく刻まれていますが果肉の食感や色も残しながらも、三つ葉の鮮やかな緑が彩りを添えています。

―「海苔がゆ」「鮭がゆ」にはどのような特徴がありますか。

北原 「海苔がゆ」は磯の香り豊かな海苔に、わさびのかすかな辛味をきかせたのがアクセントです。「鮭がゆ」は紅鮭を使用しており、おかゆのとろみ、魚のうまみ、甘くてやわらかい卵が調和しています。どちらも和風だしで奥深い味わいに仕上げています。

―「中華たまごがゆ」は彩りが豊かですね。

北原 ほうれん草やニンジン、ふわふわとした食感の卵が入っています。鶏ガラをベースとした中華風のだしと野菜の甘みに、ごま油の風味も加え食欲をそそる味付けにしました。これらのおかゆは全て国産の白米を使い、野菜などその他の食材も厳選しています。

おいしさを追求、その味の秘密とは

―素材を生かしたおいしさの秘密はなんでしょうか。

北原 「フリーズドライ製法」で作っていることです。一度、調理したものに圧力をかけ水分を蒸発・乾燥させるため、作ったときの味や色を損なうことなく再現できます。マルハニチロは山形県にフリーズドライ製法の自社工場を所有しています。自社ならではの、この強みを生かし、徹底的においしさを追求して開発しました。

―レトルトパウチとの違いはどこにあるのでしょうか。

北原 レトルトパウチにすると、三つ葉やほうれん草などの葉物野菜の色が失われてしまいます。また、加熱殺菌しますので味が変化しがちなのと、素材の風味も失われてしまいがちです。しかし、フリーズドライ製法では野菜の緑も鮮やかに再現できますし、食感や風味も再現力が高いんです。

北原 尚樹
おいしさを追求し商品を提供したい! 想いを語る北原尚樹さんの傍らには「メディケア食品 応援隊長」のキャラクター「メディベア」が

長い賞味期限で備蓄用にも、フリーズドライで作る理由

―フリーズドライ製法で作ることのメリットは、他にもあるのでしょうか。

北原 マルハニチロの「やわとろ」シリーズは賞味期限が長い、というのもメリットです。一般的にレトルト食品は賞味期限が12か月(=1年間)程度ですが、この商品は製造から24か月(=2年間)おいしく召し上がれます。ですから、常備していただくことで非常食としてもご利用になれます。
介護を受ける方のご家庭や、ご高齢で独居の方など、災害の際に食事面でご不便になることへの備えとなり、ご安心いただけます。病院や施設でも備蓄用としてお使いいただきたいと考えています。

―フリーズドライ製法で作る難しさは、どういったことでしょうか。

北原 おかゆに、とろみを付けることが難しかった点です。また、栄養や食感など、さまざまな要素を付加していくと、色や見た目、味などが、想定したものから変化する場合もあるんです。それらの微妙な変化を調節するのが大変だったということがありました。

―そもそも、他社ではあまり行われていない「フリーズドライ製法によるやわらか食」開発と販売を考えたのはなぜですか?

北原 この「やわとろ」シリーズに取り組み始めた当初、市場では薄味の介護食が中心でした。
しかし、マルハニチロが重視しているのは「おいしさを追求した食べやすい食事」です。
私自身がおいしい食事を食べたい!またおいしい商品を提供したい! そこで他社とは違った切り口としてフリーズドライ製法を使い、さらに「味」を深く掘り下げていったんです。

おいしさで「介護食」のイメージを変える!

―そこまで味に「こだわり」を持つ理由とは?

北原 在宅で介護を受ける方の食事は、食べるご本人が主体的に選ぶことができます。「介護食」といわれるものでなくても、ご自身が食べたいと思う食事を召し上がっていることが多いのです。私達が提供するその食事も、ニーズに応じた「おいしいから食べたい!」と、お客様に選んでいただける商品であるべきだと考えます。

―とても大切なことですね。

北原 自分自身が介護を受ける立場になったら、と考えると、やわらかい食事を積極的にとるのは、簡単なことではないと思います。
だから、固いものを食べるのが苦手になった方にも「味」だけはおいしく召し上がっていただきたい。同時に「介護食」という言葉から受けるネガティブなイメージを変えていきたい。そのために大切なのがおいしさであり、また、さまざまなメニューを提案することだと考えています。

―イメージを変える、というのは今後につながる考えですね。

北原 私達のような在宅向けでは後発参入のメーカーが独自の商品をご提案することにより、市場の活性化につながると考えています。競争も激化しており、今ではメーカー各社さんの品質も向上しており「やわらか食」の利用頻度の高いお客様から「最近はとてもおいしくなってきたね」というお声もいただいています。

―今後の課題と感じていることなどがあれば教えてください。

北原 ご高齢で介護を受けている方は低栄養になりがちなので、より栄養価の高い商品を提供したいですね。ただし、過度に栄養を強化すると、味のバランスが崩れてしまう場合があります。そうなると本来の目的である「毎日おいしく食べ続ける」ことができなくなります。
おいしさと栄養の強化、ともに満たした商品で、介護をする方、介護を受ける方のニーズにお応えしたいと考えています。

とにかく「おいしい」ものを食べてもらいたい、という想いが、素材を厳選し、風味や色まで生かして届ける「やわらか食」開発に結びついているとわかりました。
かむことや飲み込むことを苦手と感じるようになっても、誰にとってもおいしいものが食べられる。マルハニチロのメディケア食品が目指すことのひとつ「食のバリアフリー化」も、このようなことから実現していくと感じました。
「やわらか食」の規格であるUDFも同様に、誰にとっても「わかりやすい」という大きなメリットによって、介護を受ける方の食に役立っています。より多くの方にUDFの利用が広がることを期待します。

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