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連載 使って 食べて 気軽に便利に やわらか食 第2回
「やわらか食」開発企業インタビュー キユーピー株式会社
「やさしい献立」シリーズ
しっかりとした味で、介護の場に「食べる喜び」を
~ユニバーサルデザインフード(UDF)
   区分1「容易にかめる」~

食事に困っている方のため「食べやすさ」「栄養改善」を目的に作られた「やわらか食」。
4つのわかりやすい区分が特徴のユニバーサルデザインフード(UDF)として「やさしい献立」シリーズを販売しているキユーピー株式会社では、長年の開発の中で何度も味を変えるなど、改良を繰り返してきました。
介護を受けている方、かむ力が弱って飲み込むのが不自由な方にも、おいしく味わって「食べる喜び」を感じてもらいたい。
そんな想いのために積み重ねてきた努力について、キユーピー家庭用営業五課の前田壽和さん、加工食品部の師田努さんにお聞きしました。
※2015年10月7日~9日に実施された国際福祉機器展示会(H.C.R.2015)の、同社の出展ブースでインタビューを行いました※

「薄味」ではなく、塩分控えめの「しっかり味」に

―「やわらか食」を手がけるようになったのはいつからですか。

前田 17年前(1998年)からです。最初はお年寄りにやさしい薄味にしていたのですが、より「おいしい」ものにするため、塩分に頼らず「だし」でしっかり味を付けていく形になりました。現在(2015年)の「やさしい献立」シリーズまでに改良を繰り返し、7回、味を変えています。

―多種多様のメニューがありますね。

前田 主食であるご飯もの、主菜や副菜として鶏肉や豚肉、サケや白身魚、野菜を使ったものなど、数多く揃えています。(関連会社であるアヲハタ株式会社の)アヲハタジャムの技術を取り入れた、すりつぶしのリンゴや果肉たっぷりのゼリーなどデザートも充実させています。

前田壽和・師田努
〈左〉前田壽和 キユーピー株式会社 東京支店 家庭用営業五課担当課長
〈右〉師田努 同社 家庭用本部 加工食品部 ベビーフードチーム兼介護食・ヘルスケアチーム

食感も自然、「容易にかめる」人向けのUDF「区分1」の食品

―ユニバーサルデザインフード(UDF)の規格に適合しているんですね。

前田 そうです。お客様の「かむ力」「飲み込む力」の状態に合わせています。全て日本介護食品協議会が定めた基準に従っており、パッケージも見やすいよう色分けしています。
その中で「区分1」は「容易にかめる」方に向けたものです。やわらかく仕上げてありますが、素材の形が残っていて、通常の料理とあまり変わりません。

―「やさしい献立」シリーズは、どのように作られているのですか。

師田 開発部には洋食と和食の社内シェフがおりまして、さまざまなメニューを議論しながら作っています。食材を「単に混ぜる」のではなく、風味や食感を大切にしています。最終的に味を選定する際にも、プロの方にお願いしています。

―実際に召し上がった方の「声」などを紹介していただけますか。

前田 鶏肉や豚肉などの味もしっかりと楽しめ、食材の存在感も残るということで、多くのお客様が驚かれます。
実際に「しっかりと味がついている」「普通の料理と変わらない!本当においしい!」などの声をいただいています。うれしいですね。

数値による「正確さ」も、味覚を刺激する「おいしさ」も

―商品開発にあたって難しい点とは何でしょうか。

師田 開発の際には食品をつぶし、機械で正確にやわらかさを測るのですが、多くの食材を区分ごとに均一にする必要があります。加工しづらい食材もあるので、この「均一にする」技術を確立するのが難しかった、と開発担当から聞いています。

ただ、介護を受ける方にも個人差がありますので、召し上がれる区分も食品ごとに変わってきます。つまり、数値だけではなく、味覚を刺激しておいしく食べていただく、という状態を作り出すことが最も難しい点だと思います。

―このシリーズを使った、おすすめの食べ方などはありますか。

前田 組み合わせてご利用いただきたいですね。1品で食事をするのではなく、主食や主菜、副菜など3つほど選んでいただくなど工夫されると、より豊かに感じられると思います。

―確かに、多くの食材を摂取すると栄養のバランスもいいですよね。

師田 そうですね。口から食べていただくだけでも、低栄養の状態から抜け出せる高齢者の方がたくさんいらっしゃいます。そして、少しずつ量を増やすことで、さらなる栄養の改善につながります。
また、お客様には「必要以上に」やわらかいものを食べないようご案内しています。高齢者の方の口の筋肉は、かまないことによって弱ってしまうからです。同時に、舌を動かすだけでも口の中が清潔になり、口腔衛生の面でもメリットがあります。

長い時間、台所に立つ必要のない手軽な食品を

―ほかにも「やさしい献立」を使うメリットはありますか。

前田 「やさしい献立」シリーズには、手の込んだメニューが豊富に揃っています。家庭で調理するには工程が複雑だったり、時間が掛かり過ぎたりします。
しかし「やさしい献立」シリーズを使うと数分で簡単にご用意できますので、時間の節約になります。「介護をされる方が長い時間、台所に立たなくても済むようにしたい」という思いがあります。

―どのような方法で購入できますか。

師田 スーパーやドラッグストアで取り扱っています。また、通信販売もあります。
お子さんから親御さんへプレゼントする、といった場合に、通販で扱っている「セット販売」をご利用いただくケースも多いですね。

介護を担う人や若い人にも知ってもらう努力

―現状の課題などを教えていただけますか。

師田 近年、ますます高齢化が進み、世の中が大きく変わってきています。時間を短縮するという面で「やわらか食」は重要です。
(2012年の)介護保険法の改正で、訪問介護サービスの生活援助の時間に「45分」の区切りができました。短い時間で利用できる手軽な食品を使う必要があるという認識が、介護の現場だけでなく、地域や役所でも生まれつつあります。

開発開始当初の17年前(1998年)に比べて「やさしい献立」シリーズは値段も下がり、売り上げも伸びていますが、まだまだ認知の広がりとしては不十分です。多くの方に「食べる喜び」「味わう喜び」をお届けしたい。そのために今後も「知っていただく」努力をしていきます。

―認知拡大のために、どんなことをされていますか。

前田 このような食品に多くの方が持っている「薄味でおいしくない」というイメージを変えたい。そのために私たちは、介護の現場などへお邪魔して、ヘルパーさんやケアマネージャーさんたちに「やさしい献立」シリーズをご紹介したり、勉強会の開催などをしたりしています。今年(2015年)も首都圏を中心に200回、実施の予定です。

―国際福祉機器展(H.C.R.2015)にも出展していますが、このような場をどう捉えていますか。

前田 展示会のブースには、介護を勉強している学生の方も多く訪れます。以前、ケアセンターを回っていて「H.C.R.でこの商品を見ました」「あのとき試食しました」と声をかけてもらったこともあります。
将来、介護の現場でこれらの食品を広めていただくためにも、H.C.R.のような場を通じて、若い方に紹介するのは大事なことだと考えています。

前田壽和・師田努
H.C.R.2015にて、「やわらか食」試食もあり常に多くの人が集まっていたキユーピーの展示ブース

―最後に、今後の展望をお聞かせください。

師田 私は自社の食品に圧倒的なおいしさがあると自負していますが、その点はあくまでもお客様の評価によって決まると思います。今後も品揃えの多さを維持し、使いやすさとおいしさを追求し、より多くの皆様にご利用いただければと考えております。

「やわらか食」は、企業利益のためだけに開発されたのではない、ということを、開発した側であるメーカーの方のお話を聞くと、深く実感できます。「喜んでいただきたい」「栄養状態の改善を」という願いを努力や工夫で実現していく姿勢を見せていただけました。
介護を受ける方が「豊かな食生活を送る」ことこそ「やわらか食」が作られた目的といえるでしょう。

栄養価が高く、誰でも気軽に使う、食べることが可能な「やわらか食」。中でもユニバーサルデザインフード(UDF)には「わかりやすさ」というメリットが加わっています。
多くの方に知られ、使われることで、全ての人が「食べる喜び」を享受できる社会になっていくという希望が広がります。

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