要介護1以上で受けられる介護保険対象サービスとは
要介護1以上の認定を受けている方が、介護保険を利用して1~2割負担で利用できるサービスに生活援助というサービスがあります。
「掃除」、「洗濯」、「買い物」、「調理」など、在宅で生活される高齢者が日常生活の支援を受けられる介護保険のサービスです。この生活援助サービスでは、トイレや入浴介助などの身体介護はサービス内容には含まれません。
一人暮らしの高齢者や老老介護の世帯、遠くまで買い物に行かなくてはいけない地域の方、体力的に家事が難しくなってしまった方などには、大変便利なサービスだと言えます。
料金の目安
30~1時間の利用で、200円~300円程度(自己負担額1割の場合) ※時間帯や曜日によっても変わります
厚生労働省が要介護1,2で受けられる介護保険内サービスの見直し検討を発表
厚生労働省は1月20日までに、要介護1、2が受ける生活援助サービスは原則自己負担へと見直す方針を固めました。2月から社会保障審議会で議論をはじめ、2017年の通常国会で法改正を目指すそうです。 この法改正が実施されると、現在、要介護1・2の方が1回200円~300円で利用されている利用料金が、全額自己負担(介護保険の10割負担)となり、1回サービスを利用すると、2000円~3000円程度を負担することとなります。
サービス対象を狭めることで削減できる金額は年間1100億円、影響を受けるのは約30万人だと見込まれています。
要介護1,2の生活支援サービス検討の理由とは
今回の見直しには3つの背景があると考えられます。
要介護認定者数の増加
高齢化社会が進むにつれて、要介護認定者数は年々増加しています。
2000年から2013年までの13年間で約2.59倍になり、団塊の世代が後期高齢者になる2025年までにさらにこの数は増加していくと考えられています。
(画像出典元:厚生労働省)
要介護認定者(=介護サービスの利用者)が増えると、それだけ介護保険にかかわる財政に負担がかかります。
生活援助サービスだけを使う割合が高い
ホームヘルパーが行う生活援助サービスは、身体介護などの「訪問介護サービス」の一環として提供されています。
しかし、厚生労働省が2013年に発表した調査結果によると、「受けているのは生活援助サービスのみ」という方は、要介護1の半数を超えています。 このことから、「ヘルパーを家政婦代わりにしている」という批判の声もあがっていました。
昨年9月には財務省から、「介護保険給付は要介護3以上に重点化すべき」だと求められています。
介護職員の不足
介護職員は、2025年には38万人が不足すると考えられており、安定した介護サービスを提供するためにも避けては通れない大きな課題です。 社会保障審議会でも、月額1万2000円相当の介護職員の処遇改善を検討しています。 人員が不足している現状では、中重度の要介護者や認知症高齢者への介護サービスを充実させるために活かすことが望まれています。
要介護1,2の方向けの利用者の負担軽減も同時に検討される
できるだけ自分の持てる力で生活するために、あえて生活援助サービスだけを受けていたという要介護1、2の方もいることでしょう。
そんな方は原則自己負担(2500~3000円程度)で、生活援助サービスを利用しないといけないのでしょうか?
厚生労働省では、利用者の負担を軽減するために、各自治体が実施している家事支援サービスへの補助を検討しています。
また、要支援1・2の認定を受けていて、デイサービスや訪問介護を利用されている方たちは、2017年度末までに、介護保険から外れ、市区町村がサービス実施主体となる地域支援事業へ移行されることが決定となっていますが、今後、要介護1・2の方たちについても、同様に地域支援事業への移行案が協議されています。
※こちらの記事は2016年2月時点の情報です。2018年4月の介護保険改定では、軽度者への生活支援サービスの地域支援事業への移行案は見送られています
(参考資料) >>読売新聞「介護保険、調理など軽度者向けサービス見直しへ」(1/20)
掲載終了 >>東京新聞「介護保険、家事援助除外も 軽度者対象の自己負担を検討」(1/21)
掲載終了 >>シルバー産業新聞「財務省 軽度者の給付抑制を提起【本紙座談会】」(2015/9/11)
>>厚生労働省「公的介護保険制度の現状と今後の役割」
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