液体歯磨き(デンタルリンス)を介護で使うコツ:高齢者の口腔ケア

液体歯磨き(デンタルリンス)を介護で使うコツ

介護用品ではありませんが、高齢者の口腔ケアに役立つアイテムに液体歯磨き(デンタルリンス)があります。その使い方や注意点、なぜ高齢者にお勧めなのかをまとめました。磨き残しや口臭などでお悩みの方、ベッド上での口腔ケアに不便さを感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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液体歯磨きとは

液体歯磨きとは

液体歯磨きは、名前からイメージできる通り、練り歯磨きを液状にしたものです。介護用品ではありませんが、高齢者にも使いやすい口腔ケア用品です。デンタルリンスとも呼ばれています。

水なしで歯磨きができることから防災用品としても知られていますが、実は年齢を重ねて指先がうまく動かなくなった高齢者、ベッド上で口腔ケアをしている方にも使いやすいアイテムです。

液体歯磨きと練り歯磨きの違い

液体歯磨きと練り歯磨きは、どちらも歯ブラシでブラッシングをするためのアイテムです。練り歯磨きと同様に、歯周病予防・歯槽膿漏予防・口臭予防など、口の悩みによって選べます。口の中の状態が悪い方は、アルコールの入っていないものや低刺激のものを選ぶといいでしょう。

チューブ入りの練り歯磨きとは異なり、使用後に水ですすぐ必要がなく、研磨剤が入っていないことが特徴です。

洗口液との違い

コンクールF、モンダミンなどの洗口液(マウスウォッシュ)も、液状の口腔ケアアイテムです。リステリンには洗口液と液体歯磨きの両方があります。売り場でも似ているので違いが分かりにくいかもしれませんが、用途の異なるものなので注意が必要です。

液体歯磨きはブラッシングの前に練り歯磨きの代わりとして使うものですが、洗口液は歯のブラッシングをした後に、仕上げに使います。 購入の際には間違えないようにしましょう。

なぜ口腔ケアが大切なのか

高齢者にとって口腔ケアは、口の中の健康を保つ以外にも大切な役割があります。

口の中の菌を減らすことで、誤嚥(食物や唾液が誤って気管に入ること)によって起こる誤嚥性肺炎のリスクを下げることができます。口の中の汚れを落とすことで味覚を感じやすい状態を作れば、より食事を楽しめます。また、口臭が減ることで、外出や人との会話に積極的になれるかもしれません。

液体歯磨きの使い方

液体歯磨きの使い方

それでは液体歯磨きの使い方を見ていきましょう。

使い方

適量(約10ml)を口に含み、20秒ほどすすいで口の中に行きわたらせます。吐き出してから、歯ブラシで磨いて終了です。

基本的にブラッシングの後に水ですすぐ必要はありません。ただし、口の中に香りが残るのが気になる人やブラッシングで食べかすなどが出てきた時は軽くすすいでも問題ありません。

注意点

液体歯磨きを誤嚥しないように気を付けましょう。あごが上がっていると誤嚥しやすくなります。少量であれば飲んでしまっても問題ありませんが、具合が悪くなるようでしたらすぐにかかりつけ医などに相談してください。

液体歯磨きのメリットとデメリット

液体歯磨きのメリットとデメリット

メリット

  • 研磨剤が入っていないため、歯や歯茎を傷つけない
  • 液状なので口腔内の隅々まで有効成分が行き届く
  • 基本的にブラッシングの後に水ですすぐ必要がないので、有効成分が口の中に残りやすい
  • 水を使わないので、ベッド上での口腔ケアもしやすい
  • 災害時にも役立つ

デメリット

  • ヤニなどの着色汚れが落ちにくい
  • 練り歯磨きに比べて種類が少なく高価なことが多い

液体歯磨きが高齢者に向いている理由

液体歯磨きが高齢者に向いている理由

なぜ液体歯磨きは高齢者に向いているのでしょうか。

有効成分が口の中に広がりやすい

歯ブラシを細かく動かすようなブラッシングが難しくなった高齢者や認知症で歯磨きがうまくできない方でも、口の中に含んでぶくぶくして使う液体歯磨きなら、簡単に口の中の隅々にまで有効成分を行きわたらせることができます。

すすぎの負担が少ない

練り歯磨きではブラッシングの後にしっかりと水ですすぐ必要があるので、ベッド上で口腔ケアを行う方やすすぐ機能の低下している方には、使いにくさがあります。

液体歯磨きは仕上げに水ですすぐ必要がない、もしくは軽いすすぎで良いため、歯磨きのすすぎにかかる負担を軽くすることが可能です。また、口の中に有効成分が残りやすいというメリットがあります。

まとめ

液体歯磨き(デンタルリンス)は、練り歯磨きの代わりに使う口腔ケア用品です。多くの場合、口の中に含んで20秒ほどぶくぶくして吐き出した後にブラッシングします。仕上げにすすぐ必要がないため、すすぐ力が弱くなった方、ベッド上で口腔ケアをする方、災害時などに使いやすいアイテムです。また、液体なので有効成分が口の中に広がりやすく、細かいブラッシングが難しくなった方や認知症で歯磨きが上手にできない方にもお勧めです。

液状の口腔ケア用品には、他にも洗口液(マウスウォッシュ)があります。これはブラッシングの後に仕上げとして使うものですので、購入の際には注意しましょう。

※この記事は2020年2月時点の情報で作成しています。

 

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監修者:鵜沢静香
監修者:鵜沢静香

訪問介護事業所職員、福祉用具専門相談員。2015年から安心介護に関わっており、お話を伺った介護家族や介護職員の影響で介護職員初任者研修を取得し、訪問介護の仕事をスタートしました。2022年には介護福祉士、認知症ケア専門士の資格を取得し、自宅で介護をされる人・介護をする人、どちらも大切にしながら訪問介護の仕事を続けています。