大人用おむつ は、寝たきりで介護が必要な方だけでなく、さまざまな場所で使用されています。その種類も用途に応じて豊富。介護用おむつとしての用途はもちろん、普通に用が足せるけれども失禁が多い場合や、夜尿症、下痢が多い際などにもおむつが使用されます。
では、どのようなシーンで、どのようなタイプの 大人用おむつ がおすすめなのか。種類を踏まえながらご紹介しましょう。
大人用おむつ とは
主に要介護度の高い寝たきりの高齢者などに、大人用おむつが使用されます。また寝たきりではなくても、失禁の頻度が多い場合などでも、念のためにおむつを着用することがあるでしょう。特殊なケースでは、長い間飛行する戦闘機のパイロットや宇宙飛行士などもおむつを付ける場合があります。
薄い素材でありながら、大量の水分を吸収するタイプ。また、はいていることがわからないような薄型タイプなど、大人用おむつは時代とともに進化しています。
大人用おむつの種類
失禁パンツ
自分の意志ではコントロールできずに尿漏れしてしまう「失禁」。くしゃみなどで出てしまう、ちょっとした尿漏れに悩んでいる方は多くいます。失禁パンツの場合は、尿を吸水・消臭する機能付きパッドがついている、軽くてシンプルな作りのものが主流です。また、下着と薄い吸収パッドが一体になったものなどもあります。見た目が普通の下着と変わらないタイプや、デザインにこだわりのあるタイプなどさまざまです。
失禁は「軽失禁」「中失禁」「重失禁」の3段階に分類されます。尿の量によって吸水パッドの性能が異なっており、吸水能力によって3つのタイプに種類分けしているメーカーもあるようです。
サポーター(アウター)
サポーター(アウター)とは、内側の尿や便を吸収するパッドを固定して装着するものです。テープ止めタイプのものが主流で、吸収力のある大きなパッドの固定も可能。比較的、長時間にわたって装着する際に使用されます。
普通の下着のように違和感なく使用できるものが多いです。
パッド(コンパクトタイプ)
コンパクトタイプのパッドは、主に失禁用のおむつや短時間用、お昼用のおむつに使用されるパッドです。洋服を着ていれば、外からはわからないデザインになっています。軽くて薄いパッドなので付け心地も軽快です。
男性用排尿管理システム
男性用排尿管理システムは、ペニスの尿管に管を装着して尿を専用パックに貯める仕組みになっています。外出の際やリハビリの時などによく使用されますが、本来は車イスの方が自立した生活が営めるように開発されたものです。
また、寝たきりの方にも採用されており、介護者の手を煩わせることなく排尿ができます。しかし、要介護の方に尿意があるうちは、できるだけ尿器に用が足せるように工夫して介助してあげましょう。
パンツタイプのおむつ
このタイプのおむつは、介助すれば自分でトイレまで行け、パンツをおろして排せつできる程度の要介護者におすすめです。一人でトイレに行けるけど、少しだけ不安だという方にも向いています。
尿は2回程度まで吸収できる薄型のパッドや、長時間用の厚型パッドでも利用できます。
テープタイプのおむつ
寝たままでも交換がしやすいため、主に寝たきりの方に使用されることが多いおむつです。パンツタイプと比べると、寝たままで蒸れにくいという利点があります。
介助者にとっても、吸水力が高いため交換回数が少なくて済み、パンツタイプよりも交換の手間もかかりません。ただし、他のタイプのおむつよりも比較的高価です。
パッド(インナー)
サポーター(アウター)やパンツタイプおむつ(アウター)の内側に装着して使用する吸水パッドです。オムツ全体ではなくパットの交換だけできるので、経済的。外出時にも便利です。
吸水量などはさまざまなので、利用者の用途や使用時間などにあわせて選ぶようにしてください。
大人用おむつの選び方
要介護者と介助する側がともに快適に生活できるように、大人用おむつの機能を理解して組み合わせることが大切です。
介護で負担の大きい排泄介助に欠かせない大人用紙おむつですが、実際に介護者はどこをポイントに紙おむつを選んでいるのでしょうか?
安心介護では介護者にアンケートを実施しました。
【アンケート調査内容】
- 調査対象:「安心介護」利用者
- 対象人数:212名
- 調査期間:2020年10月5日~10月12日
実際に介護者が大人用紙おむつを選ぶ時に困った事は?
大人用おむつは自分が使うのではなく、介護している相手(両親や義父母)が使うものを選ぶ場合が多いと思います。初めて大人用おむつを選ぶ際には、何を基準に選んでいいのか困るのではないでしょうか?
実際、介護されている方がおむつ選びで困った点としてアンケート結果では
- 1位:サンプルがなくお試しできない
- 2位:商品の種類が多すぎる
- 3位:サイズが分からない
との結果になりました。
大人用の紙おむつはドラッグストア等で触れるサンプルはありますが、試供品をあまり見かけません。沢山の種類がある中、被介護者に合った肌触り・機能性・サイズなどが分からず困る事が多いようです。また、「サイズが分からない」については、パンツタイプとテープタイプでサイズを確認する場所が異なる事を知らない方が多いようです。
パンツタイプはウェストサイズを参考にサイズを選びましょう。
本人が着脱できる場合、ワンサイズ大きい物の方が上げ下げしやすいかもしれませんがモレの原因になるのでピッタリサイズがおすすめです。
テープタイプはウェストではなく、おしり周りのサイズを参考に選びましょう。
おむつを付けた際に、おなか部分に手のひらが入るぐらいのサイズが良いでしょう。
介護者が紙おむつを選ぶポイントは?
では、実際、介護者の皆さんは、日々利用する紙おむつをどのように決めているのでしょうか?
アンケート結果では
- 1位:値段
- 2位:吸収量
- 3位:機能性
との結果になりました。
1位の値段について、消耗量が多い方ほど気にしている傾向がありました。1日の紙おむつ消費量についても聞いたとロコ、1日に1-3枚利用する人が50%、10枚以上使うと回答も複数ありました。1カ月で考えるとトータル金額が大きく、家計の負担にもなっています。
毎日消耗するもののため、最初は色々な種類を試してみた結果、値段・吸収量・機能性を見比べ一番コストパフォーマンスが良い紙おむつを選んでいるようです。
実際に介護者が使っているおむつメーカー5社
紙おむつを選ぶ際の困りごとや選ぶポイントを見てきましたが、安心介護を利用している介護者が使っているおむつメーカー5社と代表的な商品を紹介していきます。
ライフリー(ユニ・チャーム)
パンツタイプ、テープタイプ共に人気が高かったのがライフリーでした。
【パンツタイプ】
ライフリー パンツタイプ 長時間あんしんうす型パンツ Mサイズ 30枚 4回吸収 大人用おむつ 【介助で歩ける方】
パンツタイプでは、「背中、足ぐりピタッとギャザー」による、すきまモレが少ない事と、両脇がプリーツになっており窮屈感がなく、素材が柔らかく肌に優しい点が高評価な商品です。
【テープタイプ】
ライフリー テープ止めおむつ のび~るフィットうす型軽快テープ止め S~Mサイズ 22枚 2回吸収 【寝て過ごすことが多い方】
テープタイプでは、3重の立体ギャザーで股ぐりからの漏れを防ぎ、「横モレあんしnテープ止め」でさらに漏れを防ぐ仕様が嬉しい商品です。
「センターラインがあり中心に合わせやすい」「テープが2箇所あって、しっかり止まるものが安心できる」という声が寄せられました。
アテント(大王製紙)
【パンツタイプ】
アテント うす型パンツ L~LL 男女共用 2回吸収 28枚 さらさら 【安心して外出したい方】【大容量】
通気性が良く、尿取りパッドと併用しても蒸れにくい仕様になっています。
足まわりのゴムが良く伸び、片手でも簡単に履かせやすく、パンツタイプとパッド併用でモレに強くなる商品です。
【テープタイプ】
アテント テープ式 M 30枚 消臭効果付き 【寝て過ごす事が多い方】
アテントのテープタイプのおむつは、背中漏れを防いでくれるためベッドが汚れない点が人気となっています。中心線があるので初めてでも着けやすく、テープもマジックテープの様になっていて、体に合わせて何度も貼り直して調整できるので初心者にもやさしい作りになっており、テープタイプのおむつ初心者にはおすすめの商品となっています。
サルバ(白十字)
【パンツタイプ】
サルバ うす型 やわ楽パンツ M~Lサイズ 34枚入 【ADL区分:歩ける方・座れる方に】
漏れやすい背中と下腹部に集中した作りで、良く伸びお腹をしめつけないため座って過ごす時間が多い方に人気の商品です。装着時に足がひっかかりにくいところも介助者にとって履かせるのが楽になるため喜ばれています。
【テープタイプ】
サルバ安心Wフィット テープ M 10枚入【ADL区分:寝て過ごす事が多い方】
肌にやさしい弱酸性の素材で肌トラブルを防ぎ、Wフィット構造で尿・軟便も漏らさない仕様になっています。寝たきりの場合、シーツやベッドが汚れてしまうと交換が大変なため、漏れない仕様が嬉しい商品です。
リリーフ(花王)
【パンツタイプ】
リリーフ パンツタイプ たっぷり長時間 L~LL 【ADL区分:立てる・座れる方】 32枚入
パンツタイプは下着のように上げ下げしやすく片手でもスルッとはけて、ふらつきにくい設計のため筋力が衰えた方にも利用しやすい商品です。
こちらの商品は5回分の吸収ができ、消臭効果も高いため長時間の利用や外出時に重宝します。
【テープタイプ】
リリーフ 股モレ安心テープ M 15枚【ADL区分:寝て過ごす事が多い方】
内側の立体ギャザーと脚まわり吸収体、外側の脚まわりギャザーで隙間漏れをガードしてくれます。長めのテープで体形にピッタリ合わせてつけられます。こちらも消臭ストロングによる雑菌の繁殖を抑えニオイを防ぎます。
リフレ(リブドゥコーポレーション)
【パンツタイプ】
リフレ はくパンツジュニア 男女兼用 SSサイズ 20枚入【介助があれば歩ける方に 立てる・座れる方に】
リフレのパンツタイプはSS/S/M/L/LL/3Lの6サイズ展開で被介護者の体形にぴったりなものが選べるのが人気です。特にSSサイズは痩せてしまって大人用サイズでは大きい小柄な方には重宝されています。薄く、よく伸び、体の動きにフィットすることから、ウェストの締め付けが気にならない仕様もうれしい商品です。
【テープタイプ】
リフレ 簡単テープ 止めタイプ横モレ防止 SSサイズ 34枚【ADL区分:寝て過ごす事が多い方】
リフレのテープタイプはSS/S/小さめM/M/小さめL/L/大きめLの7サイズ展開です。
パンツタイプと同様、痩せてしまった・もともと小柄な大人用サイズが大きい方には嬉しいサイズ感。立体ギャザーで尿取りパッドがずれにくく、背モレ・腹モレを防止します。分かりやすいセンターラインとしっかりしたテープが外れにくい仕様になっています
大人用おむつの経済的負担を軽くする方法
医療費控除を上手に活用
医療費控除は、確定申告の際に申告することにより所得税の一部が還付される制度です。
>>医療費控除とは
病院での治療代や薬代などの医療費の合計が、世帯ごとに年間で10万円、または所得金額の5%を超えた場合に申告できます。大人用紙おむつも、一定の手順を踏めば医療費として申告することが可能です。
医療費控除の対象者
大人用おむつのうち、医療費控除の対象となるのは「紙おむつ」と「パット類」です。
また、「傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるとき」とされており、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要です。「夜間や外出時だけおむつを利用している」「自力でトイレに行けるが予防的におむつを着用している」などの場合には医療費控除の対象となりません。
医療費控除の計算方法
医療費控除が申請できるのは下記の金額が
・10万円以上
または
・総所得金額などの5%の金額(その年の総所得金額などが200万円未満の人)
の場合に医療費控除の申請が可能です。
大人用おむつを医療費控除で申請する手順
まず、医師に「おむつ使用証明書」を発行してもらいます。紙おむつ購入時には、使用者の氏名が書かれた領収書を発行してもらい、きちんととっておきましょう。
確定申告期間(毎年2月16日~3月15日まで)を行う際に、あわせて医療費控除の申請を行います。
介護保険の要介護認定を受けている方の場合、2年目以降に必要な書類が変わってきます。詳しくは税務署にご確認ください。
自治体ごとに助成制度も
各自治体によっては大人用おむつの助成制度が用意されています。
詳しくはケアマネジャーや各自治体の高齢者窓口、地域包括支援センターに確認をしてみましょう。
大人用おむつを使った介護の方法
寝たきりの要介護者の場合は、寝たままでも装着が簡単なテープタイプのアウターがおすすめです。
また、軽い尿漏れなどであれば、内側のパッドだけを交換するなどして手間を省くことができるでしょう。介助される側に立った、自尊心を傷つけない介助の配慮も大切です。
>>大人用おむつの使い方
他にも漏れてしまった場合を考え、防水シーツの利用もおすすめです。
※この記事は2020年10月時点の情報を元に作成しています