トイレを使った排泄介護の注意点と方法

トイレを使った排泄介護の注意点と方法在宅介護において、排泄はいろいろな意味で大きな割合を占めます。

排泄がスムーズにいくことは、介護する側だけではなく、される側にとっても重要なポイントです。
それだけ、排泄介護はデリケートなケアだといえるでしょう。

ここでは、トイレを使った排泄介護における注意点と方法をいくつかご紹介します。
もし、トイレの介助の中でも「トイレに間に合わない」という点に悩んでいるようでしたら、こちらの記事を参考にしてください。
>>トイレに間に合わないときの対策

排泄介助の注意点

自尊心を傷つけない

img_cp_2-1

いくら1人で排泄できなくても、だれでも人に下の世話をされるのはイヤな思いがあるもの。

恥ずかしいのはもちろんですが、情けないという気持ちが大きいようです。

排泄介護をする際には、できるだけ自尊心を傷つけないように配慮することが大切です。

特に、掛ける言葉には気を付けましょう。
必要以上に急かしたり、文句を言ったりしてはいけません。
何気なく言った一言が、大きなショックを与えることもあります。

また、介護する側は楽かもしれませんが、介助があれば自分で排泄できる場合にはおむつは避け、必要に応じてパットやリハビリパンツを使用してください。

自力でできる環境作り

本人ができるだけ自分の力で排泄行為をできるように、トイレの環境を整えることが大切です。

必要に応じて手すりを取り付けたり、トイレアームを置いたりといった介護のためのリフォームには、介護保険が適用されます。手すりを取り付ける時には、本人立会いの元、ちょうど使いやすい位置を確認しながら設置してください。
>>介護に適した住宅改修に適用できる介護保険制度

また、既存の便器に設置して使う補高便座や腰掛便座の設置には、一定の条件がありますが介護保険が適用されます。
>>特定福祉用具販売とは 特徴と使い方

手がうまく使えない人はちり紙タイプのトイレットペーパーの方が使いやすい場合があります。あるいはウエットティッシュを配置するなどしましょう。本人が上げ下げしやすい下着を選ぶことも大切です。

また、照明を明るくして、手元や足元がよく見えるようにすることで、安心感と安全を確保できます。

水分をしっかり摂る

トイレの回数を減らしたいからといって、水分の摂取量を制限してはいけません。

あまり動かなくても、尿や汗となって水分は排出されています。

特に夏場は気付かない間に脱水を起こす場合もあるので、どれくらいの水分を摂っているかを必ず確認することが大切です。

ただしコーヒーや緑茶は、利尿作用でトイレが近くなるのであまりおすすめできません。 

排泄介助の方法

排泄の介助を行う際に最も大切なことは、できない部分だけを手伝うということです。

少しでも負担を軽くして、 楽にしてあげたいという気持ちはあるでしょう。
しかし、先回りして手を貸してしまうことは、決して本人のためになりません。

むしろ自立心をなくしてしまっ たり、「できるのに…」という不満が残ってしまったりします。

排泄介助をする時には、次に取り上げる3つのポイントに注意しましょう。

  • 排泄の声かけ

加齢と共に、尿意や便意が感じにくくなります。
そのため、ギリギリまでトイレに行かない人も多く、失禁を招く原因となってしまいます。
できるだけ時間を見計らってトイレに誘ってあげたり、定期的に声をかけたりするとよいでしょう。
>>トイレに間に合わないときの対策

  • できないことだけ手伝う

トイレまで介助があれば行ける人は、パンツの上げ下げや排泄行為もある程度は自分でできるはず。
ただし、パンツを下げるのはできても上げるのが困難という 場合もありますので、その時は手を貸してあげてください。

また、トイレットペーパーが切りにくい人には、切って渡してあげるとよいでしょう。
大便の後はキレイに拭けないことが多いので、ウォシュレットやおしりふきを使ったり、シャンプーの空き容器に水を入れたものを用意してかけてあげたりするのも良い方法です。

  • 急かさない

腹圧が弱まっていることが原因で、トイレに座ってもなかなか排尿や排便ができないことも多くあります。
そんな時は、決して「早くして」などと急かすような言葉や態度をしてはいけません。出るまで待ってあげるか、必要であればお腹のマッサージなどをしてあげましょう。

これらのポイントを踏まえたうえで、次にトイレでの具体的な介助の方法をご説明します。

トイレでの介助の方法

要介護者の身体の状態やトイレの設備、広さによってトイレでの介助方法は変わってくるかと思います。YouTubeで「トイレ、移乗」、「トイレ、介助」などと検索すると何種類かの動画が出てくるので、自分に合ったものを探してみてください。

また、下記にてトイレの介助方法の一例を紹介します。

  • 1)中に入ったら、まず要介護者を手すりにつかまらせるか、壁に寄りかからせて片手で下着を下ろさせます。この時にやりにくそうだったり、要望があったりすれば不自由なところを手伝います。
  • 2)下着やズボン等をきちんと下まで下ろしたのを確認したら、要介護者の両腕を介助者の首に回し、介助者は腰をしっかりと支えます。この時、片足を要介護者の足の間に入れて足を開かせるようにしてゆっくりと便座に座らせましょう。
  • 3)排泄が終わるまで待ちます。終わったのを確認したら、片手を手すりにつかまらせて腰を少し浮かせ、お尻を拭かせましょう。この時、トイレットペーパーを自分で切れない場合は手伝います。
    また、ウォシュレットがあれば操作してあげてください。
  • 4)手すりにつかまらせながら、片手で下着とズボンを上げさせます。ただし、難しい場合は手伝いましょう。
  • 5)座らせたときと同様、首に両腕を回してつかまらせ、腰を支えて立ち上がらせます。

ここでご紹介した注意点、手順を参考にしながら、本人が排泄しやすいよう必要なサポートをしてあげてください。